劇場公開日 2025年11月7日

「映画から遠いところに佇む映画」旅と日々 La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)

未評価 映画から遠いところに佇む映画

2025年11月9日
PCから投稿

 『ケイコ目を澄ませて』(2022)・『夜明けのすべて』(2024) と観る者を驚かせつつ強く揺さぶり続けた三宅唱監督の新作です。

 本作で一番印象的だったのは「言葉から遠い所で佇んでいたい」「私は言葉の檻に居る」と語るシム・ウンギョンさんの言葉でした。でも、その思いを伝えるには言葉がなくてはならないという自家撞着に陥ってしまいます。それが上の言葉に続く「しかし、いつも言葉に捕まってしまう」という事なのでしょう。

 そうだよなぁと思います。「意味」とか「解釈」「分析」の様な物に僕も疲れ切っていると感じます。でも、だからと言ってそれを表す「言葉」のない世界に行ったら不安で堪らなくなる事でしょう。

 同じ様に三宅監督も、 感動・共感・主張といった映画がこれまで背負わされて来た物から遠い作品を撮りたかったのかもと感じました。でも、それを表すのは「映画から遠い所で佇む映画」が必要なのです。

 本作は、観終えてから時間が経てば経つほど色んな思いがジワジワ滲み出て来ます。これぞ映画の最高の愉楽のひとときです。

 そして本作には励ましの特別な言葉がある訳ではないのですが、観終えてから「さあ、明日もがんばるか」と、う~んと伸びをしたくなりました。

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