「骨太オシャレ映画。文学性の高いアクション作品。」コラテラル ぽぽさんの映画レビュー(感想・評価)
骨太オシャレ映画。文学性の高いアクション作品。
オシャレ映画って雰囲気だけのものが多いが、これはシナリオが本当にすばらしい。表層的な美でなく土台の屈強さを感じる作品だった。
冒頭から「お、これは良い映画になる」予感。主人公マックスがタクシーに乗り込んだ途端に自動車整備の音が止み、静寂の中でマックスは車内を清掃して自分の世界へ没入していく。画もカッコイイし、これだけで優良ドライバーであることが推察できる。個人的には、後半の方で2匹のオオカミ?が道を横切っていくシーンが好き。
マックスと乗客の会話の展開もウィットに富み、期待通りだったと確信した。「地下鉄で死んだ男」の伏線回収は本当に見事だった!!!脚本家の方、かなり知性の高い方なんだろうなあ…。
ただ知的レベルが高い上に異文化面もあるので、やや難しい部分もあった。欧米では妊娠期間を9カ月で計算するのだと初めて知った。字幕は原音通り9カ月を採用していた。
そして音楽も効果的に使われている。真逆の性格のマックスとヴィンセントを、クラシック派とジャズ派で描き分けていた。車内音楽のクラシック→ジャズバー→韓国系クラブと、場面展開もナチュラルである。Kのクラブ音楽に乗せたガンアクションシーンは、残虐なのについノッてしまう見事な対位法だ。(それにしても、ここで韓国が入るのは2000年初頭ゆえだろうか?ワイスピやバックストリートボーイズのような、人種ごちゃまぜ編成ブームが彷彿される。)
殺し屋のヴィンセントがトム・クルーズだと後半になってから気づいた…。トム様ってこんな演技もできるのか。殺しのアクションシーンは相変わらず豪快だが。
この作品はタクシーというアイテムが存分に活かされ、爽快なスピード感で進んでいく。隙間時間で細切れで観るの良くなかったな~。