「主役はロサンゼルスの夜」コラテラル 広谷賢次さんの映画レビュー(感想・評価)
主役はロサンゼルスの夜
マイケル・マンが「ヒート」以来、初めてロサンゼルスを舞台にしたアクションスリラー。ストーリーは、一晩に5人のターゲットを殺そうとする凄腕の暗殺者と、たまたまその運転手を任されてしまった男の一夜を描くというもので、設定からして突っ込みどころは満載だ。だが、マンが撮りたかったのは、ずばりロサンゼルスの夜ではないだろうか? ダウンタウンの摩天楼が望める丘、街道沿いのジャズクラブ、ダウンタウンの裏路地、郊外のハイウェイ、コリアン地区、深夜のサブウェイ……挙げればきりがないが、どこも今までハリウッド映画が描いてきたようで描いてこなかったロサンゼルス一面を鮮やかに切り取っている。
「インタビュー・ウィズ・バンパイア」以来の悪役となったトム・クルーズも香港のクーロンあたりの仕立屋に作らせたという設定のグレーのスーツに白髪の短髪という出で立ちで登場。しっかりとマン映画に染まっている。
ちなみに、「ヒート」のオープニングシーンと、本作のラストに登場するサブウェイの駅は、同じ駅。マンによるとたまたま同じになったという。
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