「バカっぽい」コラテラル ドラゴンミズホさんの映画レビュー(感想・評価)
バカっぽい
意外に評価する人がいるのが信じられない。
ご都合主義のヒドい脚本にしか思えないのだが。
●大前提として何故、この運転手が引き回されるのか理由がわからない。そこらのチンピラを気にもしないで撃ち殺す冷徹な男だ。しかもターゲットを殺して警察に発見されようがおかまいない。都合の悪いタクシー運転手なんて人目のつかない路地裏で片付けて、別のタクシーを拾った方がいい。そもそも土地勘がわからないならナビゲイターと組むなりプロの仕事をするだろ。ガラスの割れた車でロスを乗り回すことの方がリスクだ。案の定、警官に呼び止められるがご都合主義でスルー。
●一見、クールで冷徹な殺しのプロのようだが、どう考えても雑でバカな殺し方しかしていない。人が居ようが、困難な状況だろうが銃をぶっ放すことしかしていない。計算もなにもない。最初の殺しからしてターゲットをビルから落とし、目撃されている。トム・クルーズがいかにクールに振る舞おうと、出だしからマヌケで三流な殺し屋である事が露呈しているのだ。
●運転手の母親に会いにいくのも無理くりすぎる。
●警官と病院でニアミスも、都合よすぎるしたいしてサスペンスに貢献していない。
●運転手に資料を奪われて捨てられるなんてマヌケすぎる。しかもなんでここぞとばかりに運転手は駆け出すんだ?母親が危険かもしれないのに?恥をさらされてキレたとかバカバカしい理由だ。
●麻薬の親玉を前に急にヒーローみたいにスラスラとハッタリをかましはじめる。それまでオドオドと噛みまくりだったのに。無茶苦茶だ。しかも、しっかり監視カメラで警察にもバレて。
●タクシーを転ばせた後、検事のピンチを知るが、何故自ら助けに行こうとするのか?いくら殺人犯に間違われたからといって普通は警察に助けを求めるだろう?しかも警官から銃を奪い取る変身ぶり。劇中でこの運転手をヒーローに成長させる要素なんて何一つなかったのに。
●乗り合わせただけの検事がいいヤツだからって、ヒロインよろしく命がけで助けようとするのが信じられない。
●カメオのジェイソン・ステイサムの出し方雑。
人物がそういう状況に陥る必然性がまるでなく、作り手のご都合だけで無理くり動いている。一見スタイリッシュに撮っているが、80年代に量産され消えていったB級バディものと同じ。もしかして企画当初はコメディだったんじゃないか?それをトム・クルーズ用に書き直したとか?コメディの方がうまくいくような題材に思える。いや、本当に。