「何故マックスは一緒に行動させられたのか」コラテラル Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
何故マックスは一緒に行動させられたのか
総合65点 ( ストーリー:40点|キャスト:80点|演出:80点|ビジュアル:75点|音楽:70点 )
邪魔者は躊躇無く排除する冷酷な殺し屋ビンセントが、見知らぬタクシー運転手マックスを引き連れて一緒に連続殺人に挑むという馬鹿げた物語。殺し屋は邪魔になっていそうな運転手を殺しもしないどころか彼に自由に行動させ、さらに傷だらけで目立つ車を変えもせずに任務遂行に挑み続ける。
何故ビンセントはマックスと彼の車にこだわり続けるのだろうか、そしてマックスをずっと生かし続けて母親の見舞いにまでいくのだろうか。それがこの作品の基盤となる最重要な部分である。しかしとにかくそれがずっと謎だった。
最初にマックスの車に乗ったときに彼が有能であって気に入ったのはわかる。だがビンセントの正体がばれて彼の最初の計画はすぐに破綻し、普通ならばこんなに面倒なことになるならばさっさと目撃者であるマックスを始末して車も変える。どんな特別な理由があるのか、どんな理由があって彼を気に入ったのか、もしそれがないならばどんなにくだらない物語なのかが観ている間ずっと気になり続けていた。
そしてその回答がないままに映画が終わってそのくだらない物語だけが残り、ただただがっかりした。結局ビンセントは理由もなくマックスと彼の車を使い続け、それが原因で任務に重大な支障をきたした。なんて馬鹿な殺し屋であり馬鹿な脚本であるのか。偶然入れ違いで殺し屋と標的を乗客として乗せたという偶然にもひいた。
L.A.の夜の街の撮影は上手くて演出も洗練されていている。冷たい雰囲気の中にも都会の闇を映したお洒落さすら感じさせる。主演2人の演技も良かった。ひたすら脚本が駄目。