「いいんだけど、相当なモヤモヤも残る」消防士 2001年、闘いの真実 kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
いいんだけど、相当なモヤモヤも残る
業務が命がけだから、消防士を扱った映画は熱いものが多い。本作は、韓国で実際にあった火災事故を題材にした映画。20年以上前の設定だということを考慮しても、韓国の消防士の置かれている状況が少し異質に感じてしまう。消火と救助が分業されていたり、手袋が軍手だったり、装備を自腹で購入したり、そもそも公務員でなかったり。しかも消火活動を行うには道が狭すぎる。さらにあれだけ違法駐車されていたら消防車がなかなか現場にたどり着けないよな。そんな環境でもくさったりせず、命をかけて火災現場から救助しようとする消防士の使命感はすごいと感じた。隊員同士の関係性も相当に深い。命を懸けて任務に挑む仲間って絆が強くなるんだろうなとは思うが、あの兄弟のような関係は韓国独自の特性もあるような気がする。ただ、初出動の隊員へのお粗末な指導とか、英雄的だが自分勝手な行動とかが鼻についたのも正直な感想だ。
後半、問題の火災事故に出動する彼らの行動が、明確な時刻とともに描かれていく。なかなかの緊迫感だし、炎の描写もそこそこ迫力がある。ただ、結末がなんともやるせない。あの亡くなった消防士たちは、あの親子に殺されたようなものだ。消防士の使命感と優しさに依存したあの依頼はどうかと思う。いや、あの状況で再度救助に向かう彼らの神経のネジがぶっ飛んでいるだけかもしれない。元々スッキリする終わり方ではないが、余計にモヤモヤしてしまった。このあたりはフィクションであってほしい。
あの親子への妙な怒りがあって、素直に感動できないでいたが、それでも最後は少し感動してしまった。自分はちょろい人間だなと思う。
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