「気が抜けない94分」脱走 かばこさんの映画レビュー(感想・評価)
気が抜けない94分
最初から最後までほぼ北朝鮮内で進行するのが異色。
冒頭から息詰まる展開で、ずっと緊張しっぱなし。
テンポよくスピード感がありスリル満載、それらが94分に凝縮されており弛むことなく一気に見られる。
何でもありの韓国映画なので、脱北成功直前で主人公が無念の最期、ということになるかもしれず、最後の最後まで気が抜けなかった。
入念に準備を重ねてきた脱走計画に、部下ドンヒョクが乱入してきて主人公の足をひっぱるのはお約束、絶体絶命の危機の波状攻撃だが都度救いが現れて、大分ご都合主義ながらそのパターンのバリエーションひとつひとつに工夫があり面白かった。
ヒョンサンはよくあるナチスドイツの優雅な美形将校みたい。北朝鮮にもこんなタイプいるのか。小指立ててリップクリーム塗っててひとめでおねえさんな雰囲気。父のドライバーの息子だったギュナムに、弟的なもの以外になにがしかの思いがあったんではと思わせる。
パーティーで思わせぶりな若いイケメンが映ったと思ったらやっぱりそういう相手でしたか。だが、このエピソードいる? ヒョンサンがゲイというのはうまく匂わせるだけで良かったのでは。
緊張感みなぎる中で、ここだけ空気がちがって蛇足のように思えました。
ギュナムが除隊間近で脱北を企てた理由、「失敗ができるところに行きたい」日本でも一度レールを外れたら戻れないと言われるし、韓国の超学歴偏重社会ではさらに失敗できない世の中なんだろうが、一度の失敗が本当の意味での命取りになってしまう北朝鮮の比ではないだろう。
ギュナムが脱北に成功した1年後に訪ねたドンヒョクの母と妹(?)は、韓国在住なのか?もしかしたら聞き漏らしたのかもだが、彼にはすでに脱北した母と家族がいたのか?
もしそうなら、脱北家族を持つドンヒョクはもっと冷遇されていそうだが、軍での扱いは普通の兵隊で、特に「こいつの家族は脱北者」と言った声もなかった。
ドンヒョクはどうしていますか、と聞かれて、「元気です」というのは優しいウソで切ない。
ギュナムに脱北を許したヒョンサンは、一緒に脱北するしかないと思ったら違った。
ギュナムのバイブルの「アムンゼン」の伝記、はピアノ兄貴から送られたものだったか。
ちょっといい話だが、軍の教室で少佐の制服のまましんみりできるのか。
ギュナムの数々の軍を欺く行為を許し、大勢の兵を動員して捜索した末に脱北成功されたら、責任者のヒョンサンは大失態で無事ではいられないと思う。身ぐるみはがれて暗いじめじめした監獄にぶち込まれて拷問された挙句銃殺刑を待っているほうがありそう。
ポストエンドクレジットの「おまけ」は、いらなかったような。
映画の余韻を秒殺してくれます。
ク・ギョファンはロンブー・淳か新納慎也似だと思いました。
イ・ジェフン、細マッチョでその昔のヒガシ似でシャープでカッコよかった。
41歳とは驚き。20代後半か、いってても30代半ばにしか見えません。
10年、なっっっがいですよね。それが普通と思って幸せに暮らしてる人もいるんだとは思うのですが。。
やたら上手くかわす展開がエンタメしてて面白かったです笑。本当にスリル満載でしたね!