でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男のレビュー・感想・評価
全313件中、121~140件目を表示
フィクションとノンフィクションの間という難しさ
冒頭30分の面白さとスピード感は
観てて震えが走る。
さすが三池監督。
とんでもねぇ掴み方だ。
そして「でっちあげ」のタイトルの出し方。
ブルっと来た。
前代未聞濃度の“教師が生徒へのイジメ”
しかし言い分は真逆。
どっちが正しい?
えっとぉ、書きたい感想が全てネタバレだわ(^_^;)
でも、私はスッキリ来なかった。
これはフィクションと
ノンフィクションの狭間で
パワーバランスを決め兼ねて
こうなったのかなーって気はした。
うーむ。
それにしても綾野剛はやっぱ上手いよ。
ガーシーみてぇな
しょうもない人間の被害なんかとっとと消えて
どんどん復活して
痺れる芝居を
宜しくお願い致します。
綾野剛が良すぎる
ひきこまれました。
冤罪というテーマでストーリー自体の評価はわかれるところもあるかもしれませんが(個人的には非常によかった)なにより綾野剛の演技が圧巻すぎました。
後半の意見陳述シーンの懐の深い演技は特に揺さぶられました。
小林薫の良さも加わり、この2人の演技だけでも見る価値があります。
最後の冤罪の影響を背負って生きることの辛さを表すくだりは感情を揺さぶられました。
主題歌もよかったです。
原作読んでもう1回見ます。
綾野剛…柴咲コウ…うまし
こっわ〜
身近にありそー、というか、自分に降りかかってくる事だってありそー😱
今現在も似たような理不尽な想いをしている人もいっぱいいそー😱
冤罪の映画やドキュメンタリー見るとほんとに辛い!
最近は大河原化工機の冤罪が勝訴して本当に良かった😭
それにしても10年後の薮下先生、息子さんの年齢からしてまだ50代くらいだよね?ちょっと老いすぎな気がするんだけど、心労のせい? あと、戦友の奥様亡くなっちゃったのね😢
ほんと、冤罪って苦しい😰
現実ってこんなものよね
演出が少々大げさに感じたところがあったものの、全体的にはとても良かった。
【正体】の鑑賞時にも感じたけど、自分の職責に誇りと矜持を持つって、大事だよね…!
【アプレンティス∶ドナルド・トランプのつくり方】に出てきた、『勝利を主張し続けること』『非を認めないこと』を民間レベルで実行すると、氷室親子のようになるのかしら。
など、これまでに観た映画を改めてかみしめるきっかけにもなったり。
創作ベースのお話だったら、いじめられっ子の親が勇気を振り絞って薮下先生側の証人になったり、同僚の教師が校長&教頭の事なかれ主義を内部告発したりするのだろうけど、現実ってそう甘くはないことを、あえてあっさりめに描いたと思われる、10年後の結末シーンで感じました。
氷室たくと君の人生が、歪んだものになっていませんように、と祈る気持ちです。
柴咲コウの無表情が、怖かった
現在ならもっと酷いことになるかも?
実話を基にしたフィクションなのだけど、本当にこんな事件があったのかと思うと、めちゃめちゃ怖くなってしまいました。
おちおち生きてられないです。
自分もいつはめらるかもしれない。
自分の知らない事で、訴えられるかも知れないと言うことですよね。
恐怖すぎます。
2003年は、まだスマホが出始めた時期です。
現在だとSNSなどで、あっと言う間に拡散されて、炎上してしまうでしょう。
自分の事を全然知らない人から、叩かれて、
罵倒されて、
間違っていても、大勢の考えが正解とされてしまう世の中は、本当に恐怖ですね。
自分の無実を証明するために、ずっとカメラやボイスレコーダーを持ち歩いて、回し続けないといけないなんて、嫌な時代です。
最近は教師の性犯罪で教室にカメラ設置ということが話題に上がっていますが、カメラがあればこの映画のようなことは、起こらなかったのでは?とは思いますが、プライバシーもあり本当に難しい問題です。
出演者はみなさん凄く良かったです。
特に綾野剛はやっぱりカメレオン俳優ですね。優しい教師役も合ってますが、サイコパス教師も目がヤバくて(笑)もっと観たかったかも?
柴咲コウの冷めた表情の狂った頭の母親役も、ある意味素敵でした。
ずっと味方でいてくれた家族の存在は、素晴らしくて、こんな家族になれたらないいなぁと思いましたね
がっかり
三池崇史×綾野剛という組み合わせに期待値MAXで待ち遠しく公開初日に行ってしまったのだが、20年前に「小学教師による児童に対するいじめ」を市教委が全国初認定したという実際にあった冤罪事件をほぼそのまま描いており予告編で想像していたとおりというかあまりにもタイトルのまんまでミステリー的面白さを最初から放棄しており原告の言い分と被告の言い分を順番に見せる構成は児童と教師という設定からも「怪物」をもう一回見せられた感じでがっかり。柴咲コウの怖い演技は確かにすごいが、動機の謎を深追いすることなくちょっと不幸な少女期が作り上げたモンスターマザーで片づけており後味も悪い。綾野剛の演技も学芸会のようで弁護士事務所での小林薫との2ショット長回し、法廷での1ショットズームイン長回しも監督の手抜きとしか見えず辛かった。映画の神様が呼んだ嵐の中での亀梨との対決シーンも(前もって知識を入れていたのが悪かったのだが‥)あざとく感じられああやるせない。
綾野剛ファンとして
ずっと楽しみにしていて鑑賞。
一人二役的な演技でファンとしてはかなり楽しめました。
実話に基づく作品なので、冒頭の児童体罰シーンではかなり衝撃的でしたが、ラストで逆転〜本当に良かった!
豪雨の中のシーンは、事前情報でたまたま豪雨になって人工的な雨ではないと話されていたので、一発勝負での?演技だったのかな?雨でより一層懇願する必死さが伝わってきました。
今回は、綾野剛さんファンとしてのレビューになり☆☆☆☆☆5
バッシングという土砂降りの雨にさらされる恐怖
20年前、日本で初めて教師による児童へのいじめが認定された体罰事件という実話に基づいている点が、この作品に計り知れない重みとリアリティを与えている。見ている人間は、この物語が「人ごとではない」普遍的な恐怖を内包していることに気づかされるはずだ。
物語は、小学校教諭・薮下誠一(綾野剛)が、教え子の母親である氷室律子(柴咲コウ)から凄惨な体罰を告発されるところから始まる 。この告発は、週刊春報の記者・鳴海三千彦(亀梨和也)によって「実名報道」され、薮下は瞬く間に「史上最悪の殺人教師」として世間の猛バッシングに晒される。彼の平穏な日常は音を立てて崩壊し、誹謗中傷と裏切りが彼を底なしの絶望へと突き落としていく。
本作を観て痛感させられるのは、「自分の信じたいものしか信じない」という人間の本質だ。劇中で象徴的に描かれる「土砂降りの雨」は、まさに世間の声、特にメディアが作り出すバッシングの嵐を視覚化したものだろう。薮下がどれだけ真実を訴えようとも、その声は土砂降りの騒音にかき消され、届けたい相手には届かない。週刊誌が簡単に「真実」を作り上げ、それを世間が鵜呑みにする構図は、現代社会における情報の危うさを浮き彫りにする。
映画はまた、現代社会における「責任」の所在にも深く切り込む。一度謝ってしまったらそれを認めることになり、悪くなくても悪いと認めてしまったらそれが事実になり、安易な謝罪が真実を歪める危険性を指摘する。
そういった日本人の「空気を読む」曖昧さが、時に悪い方向に働き、不用意な言動が「体罰」として事実化されてしまう恐ろしさを描いている。学校側が責任を恐れるあまり、無意識にクレーマーに加担してしまう構図は、教育現場の難しさと、複雑な世の中において教師への責任が過剰にのしかかっている現状を映し出す。
真実を見極めることの困難さも、本作の重要なテーマだ。藪下の弁護士は自分の足で証拠を集めたり、関係者に聞き取りを行ったりするなど、とにかく行動する。情報を精査する地道な作業をして初めて真実が明らかになる過程は、私たちが安易に情報を鵜呑みにせず、一歩立ち止まって考える勇気の必要性を教えてくれる。
最後の法廷での藪下の主張は、まさに今の教育現場に向けた、作り手からの切実なメッセージだろう。子供を真っ当に育てるのは大人の責任であり、ちゃんと叱る大人がいなければ、ろくでもない人間になってしまう。しかし、その「叱る」という行為が、いかに誤解され、一人の人間の命さえ奪いかねない恐ろしさを秘めているか。この映画は、私たちに「真実と嘘は表裏一体」であることを突きつけ、安易な断罪や、ものを考え続けることを放棄する人間の危うさに警鐘を鳴らす。
『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』は、観客の心の奥深くに突き刺さる「衝撃のエンターテインメント」でありながら、同時に私たち自身の社会や価値観、そして情報との向き合い方について深く考えさせる、忘れがたい一本となるだろう。
何気なく観た。やっぱり事実が大事なのか。
ある日、クラスの保護者から児童の体罰を疑われ、それに対し謝罪をしてしまった男性教師の訴えを描いた実際に起きた事件がベースになっている今作。
それぞれの立場から描かれるストーリーが対比になっている仕様で、その当事者の話になると相手が明らかに悪く見える。
まるで名作「怪物」を思い出すようなそれぞれの視点で描かれながら事実が明らかになっていく今作は、伝聞やマスコミによるバイアスを疑い、事実を明らかにしてそれを前提に話を進めることの難儀さが描かれていて、重かった。
そんなことを思っている自分もバイアスからは逃れられないんだろうな、と観ながら感じた。
そしてこの世の中には事実を訴えることを諦めた無罪の人たちがきっといて、そうした人をマスコミやニュースの情報から自分もいつのまにか周りと同調して非難しがちになっていたのかも。
事実は声を上げないと分からない。
そしてそれを争う裁判には証拠が必要になる。
いやー厳しいと感じた映画だったけど、結局残るのは子供たちに対する思いやりと家族の支えなのか。
記事をリアリティではないを疑うあの弁護士の眼が印象的でした。
個人的には学びを感じた、いい映画だと思った。
家族は信じて支えてくれる存在
この映画を観て最大の教訓は、自分でやってもいない事(とりわけ対人への暴力や暴言)をその場を収める為に、取り繕うような謝罪を絶対にしてはいけない。と学んだ。
政治家や有名人も一つの失言で退場を余儀なくさせられる事もあるが、聖職である教師の場合、このように民事訴訟を起こされるリスクがある。この映画は実際に福岡で起きた事案だが、子どもの嘘と虚言癖のある親がどんどん事を大きくし、それに乗ったマスコミ(またもや文春砲か?)や正義振りかざす弁護士(500人の弁護団って何?)手にかかると1人の教師など簡単に奈落の底に突き落とされる、。
映画を観ていると主人公の気持ちに入り込むので綾野剛が可哀想だし情け無いし、保身に走る上司や教育委員会も酷いし、マスコミは相変わらず視聴率や購読の為にセンセーショナルに焚き付ける。観てて苦しくなる位だった。救いは妻の木村文乃。あんな状況でもひたすら夫を信頼し支える。泣けてきた。(うちの妻も私が窮地に陥っても信じてくれるかしら?)
あとは小林薫だね。あんな人情弁護士が本当にいるのかと思うが綾野剛にすれば地獄に仏だったことでしょう。
柴咲コウは本当にこのような怖い母親役が出来る女優になったし、日焼けした悪徳実業家然とした迫田孝也や光石研、大倉孝二、小澤征悦などの名脇役の皆さんもいい味を出していた。
多くの役者の名演技に支えられた佳作だったと思います。
藪の外にいる私達は、藪の中に何を見たのか?
正義には、2種類あるそうです。科学的根拠に基づく正義と、感情に基づく正義です。どちらを行使するかは、皆様におまかせ…と、言いたいところですが、客観的な正義は、他者に刺さらず、感情まかせの正義に、ヒトの関心領域はあるものです。だから、判決文より、ゴシップ記事に強く惹かれる。もちろん、私もね。第一、それがなければ、私がこの映画を観ることはなかったはず。
怪物、だ~れだ?。
昔観た「怪物」を思い出しました。そう、怪物の正体とは、何なの。
サイコなママ。
サイコママを作り出したママ。
事実確認より、体裁が重視される職場。
都合のいい出来事だけ編集するゴシップ。
ゴシップ好きな私。
この原作、そして、この原作を映像化した製作者の意図は分かりかねます。ただこの映像を造り上げた三池監督は、凄いと思う。凄く刺さるから。
そもそも、映画は、でっち上げです。作り物です。ただ、編集された報道と、興行映画として造られた映像、怪物はどちらに潜んでいる、あるいは、どちらを好むと、皆様は思います?。
それにしても、サイコなママとその家族、今どこにいるんだろう…。この映画観て、裁判起こすかなぁ。
何が起きてもヘンじゃない、そんな時代です。この映画観て、覚悟しましょう。
なぜ、その正義を信じますか?。
大阪王将裁判
とある書き込みが発端となり、飲食チェーン店にフランチャイズ加盟していた法人が、破綻した事案。その後の裁判で、書き込みに誇大な表現が、盛り込まれていたと、裁判で認められたものの、双方の主張、どちらが完全な根拠ある正義なのか、藪の外にいる私には、ちょっと…。
優しさが勝つ社会であってほしい
一つの出来事を複数人の視点で語らせる手法かと思った。あぁ、これねと。でも、全然違う。立場や視点が変わればってどころの違いじゃない。あぁ、あれは実はこんなことだったのか…なんてこともほぼない。完全にどちらかが嘘をついているってこと。そういう意味で法廷劇にふさわしい。完全な負け裁判に思える中、どうやって挽回していくのかが見どころだ。ただし、法廷劇というくくりだけにとどまらないテーマの深さを感じる。
校長と教頭の態度、正義は我にあり!とばかりに自宅に押しかけるマスコミたち。声の大きな親に対する教育現場の弱さや、事なかれ主義でとりあえず謝罪させようとする学校側の態度は、どれも本当にありそうなシチュエーションと展開だ(そもそも実話を元にしているし)。
序盤での薮下先生の判断はことごとく悪手だ。相手がどれだけ怒っていても違うことは違うと毅然と言い返さないと泥沼にはまっていくんだよな。薮下先生の協調性や優しさ、子どもへの思いやりが逆に悪い方向に進んでいく。本当にこんなことが起こりそうだから怖い。自分は悪くないと最後まで言い切れる氷室夫妻のメンタルの強さとあまりにも対照的だった。考えさせられることの多い映画だ。
薮下先生は、事件当時何歳の設定なんだろう。ラストで10年後の姿が出てくるが、あまりにも老けすぎていないか。話し方とか佇まいが定年間近(いや、なんならもっと年取ったかのような見た目)に見えるのはちょっと違和感があった。
表面的な情報に踊らされる社会の怖さ
予告を観たときは、「どちらが真実?」と観るものに問うような展開を想像したが、そうではなかった。冒頭に「事実に基づく・・・」と掲げられたので鑑賞後に調べたら、福岡で起きた実在の事件に基づくものらしい。20年以上前の事件で、基本的には既に白黒はっきりしているので、曖昧な終わり方はしないので、ご安心を。
【物語】
薮下誠一(綾野剛)は小学校教諭。2003年のある日、クラスの生徒氷室拓翔(三浦綺羅)の母親律子(紫咲コウ)が学校を訪れ、薮下が拓翔にいじめ同然の体罰や差別的発言を行ったとして校長・教頭に詰め寄る。苦情を受けた校長と教頭は薮下に「面倒なこと起こしやがって」と言わんばかりの態度で、ろくに事実を確認しようともせず、ただただ騒ぎを丸く収めることだけしか考えない。 薮下には「親のいうことに反論するな。ただ謝れ」と迫る。言うことを聞かなければ担任を外すとまで言われた薮下は不服ながらも言われたとおりにする。
しかし、校長・教頭の意図に反して騒ぎは拡大。週刊誌が実名報道したため薮下は世間から猛烈なバッシングを受ける。騒動の収拾に終始する県教育委員会から停職処分を受け、さらには律子が民事訴訟を起こし、5800万円の賠償請求を受ける。世論の風を受けて律子には550人もの大弁護団が結成されるのに対し、弁護を引き受けてくれる弁護士が見つからない。
身に覚えの無いことで一方的に責め立てられ、学校・世間からも見放された薮下は絶望の淵に突き落とされる。
【感想】
法廷ものを観ると、いつも真実の追求の難しさを感じる。
今作の場合、客観的に見れば律子側には小学生の息子の証言以外に根拠はなく、明らかに主張はお粗末なのなのだが、その場を収めるためだけの謝罪や処分が根拠になってしまうという恐ろしさ。やはり声の大きい奴が勝つのかという絶望感、はたまたすぐ安易に盛り上がってしまう世間の無責任で野次馬的非難が、もう真実を主張することさえ封じ込めてしまいそうになるのが怖い。 今だったら、週刊誌が取り上げなくてもSNSの存在でより容易に炎上してしまうだろう。
そんな情報の怖さを考えさせられる。様々な情報が溢れかえる現代に生きている我々は、いつも「この情報は正しいのか?」と慎重な考えを常に持つことが必要なのだろう。 匿名ネット情報はもちろんだが、テレビ・新聞の情報だって慎重に扱うべきなのだと思う。実際この事件ではTVのワイドショーはこぞって「教師のいじめ」を報道したらしい。人間は誰しも個人の経験・願望・都合等で物事を観てしまう生き物だから、意識して多面的な情報を集めることが必要なのだと思う。
そういう意味で不満だったのは、理不尽に思える言動を続けた母親側の深堀が無かったこと。母親がなぜここまで一方的に薮下を責めたのか、息子の言葉を妄信したのか。何か理由があったのでは? 「そう思い込むのも分かる」と思える何かが。原作がそこまで書いていなかったということかも知れないが、藪下側の「謝罪してしまった」の裏側が十分描かれているのに対して、律子側は表面的な主張しか描かれていないのは残念。
役者では、ちょっと情けない薮下の戸惑い、焦り、絶望、憔悴をリアルに演じた綾野剛はさすが。柴咲コウは可愛さを完全に封印して、薮下を常に冷たい視線で責め立てる怖い女を好演している。 その他の役者の好演もあり、社会の怖さを垣間見ることができる本作は一見の価値があると思う。
氷山の一角
虚言癖のある親子と事なかれ主義の教育機関、無責任なマスコミによって人生を潰されかけた教師の話。作中で教師によるいじめという表現が使われたが、この状況は教師へのいじめと言える。
最初に児童母親の主張を映像化したシーンを流す演出は、当時の世間がこの事件の初期の報道に対すて世間がに抱く印象を観客に体験させる優れた演出だと思う。
テーマがテーマなだけに、決して気分が良くなる作品ではない。しかし、視聴後に観て良かったと思える作品だった。
原作のルポタージュを三池監督がアレンジすると、居並ぶ主役級俳優が重いテーマと真っ向勝負しさせ見応え十分の作品となりました。スリリングな演出もさすがです。
2003年に福岡市で起きた、日本で初めて教師による児童へのいじめが認定された体罰事件を題材にした福田ますみのルポタージュ「でっちあげ 福岡『殺人教師』事件の真相」を三池崇史監督が綾野剛を主演に迎え、映画化した作品です。
福岡市の市立小学校の男性教諭が、アメリカ人を先祖にもつとされる児童(事実は未認定)に対して、人種差別に基づくいじめを行ったとされて教師が処分されたものの、裁判後、いじめの事実が認定されないとして処分が取り消された事件。福岡市教育委員会が全国の教育委員会で初めて「教師によるいじめ」を認め、教諭を懲戒処分としたことで、マスメディアでも大きく取り上げられました。しかしその後、報道は収束。児童の両親側の主張のみを鵜のみにし煽情的に報じたメディア報道のあり方も問われたのです。
●ストーリー
2003年。小学校教諭の薮下誠一(綾野剛)は、教え子の氷室拓翔(三浦綺羅)への体罰を保護者の氷室律子(柴咲コウ)から告発されます。その内容は「死に方教えてやろうか」と恫喝するなど、体罰という言葉では収まらないほど凄惨なもので、市の教育委員会は日本で初めて「教師による生徒へのいじめ」と認定したほどだったのです。
それを嗅ぎつけた週刊春報の記者・鳴海三千彦(亀梨和也)は薮下の実名報道に踏み切り、「史上最悪の殺人教師」など過激な言葉で飾られた記事は世間を震撼させます。たちまちほかのマスコミにもセンセーショナルに報道され、マスコミの標的となった薮下は
世論に猛バッシングを受け、停職処分となり、絶望の底へ突き落とされていきます。
世間でも律子を擁護する声は多く、550人もの大弁護団が結成され前代未聞の民事訴訟に発展。誰もが律子側の勝利を確信するなか、初公判に立った薮下は「すべて事実無根のでっちあげ」だと完全否認するのでした。
●解説
ルポタージュを原作としている本作は、ほとんど実際に起こった事件に即して描かれていることが恐ろしく感じられることでしょう。というのも描かれている内容が、誰の身に起こってもおかしくないえん罪だからです。痴漢冤罪事件と同様に、どんなに当人が身の潔白を主張しても、周囲が騒ぎ立てて、マスコミが追随して報道してしまうと、やってもないことなのに犯罪者に仕立て上げらよれてしまう恐ろしさが、本作で克明に描かれたのです。まして2003年当時台頭していたのがモンスターピアレンツでした。こうした口やかましい保護者に対して、学校サイドはとにかく頭を下げてやり過ごすという安易な逃げ方が横行していたのです。なんでも保護者のいいなりにしてしまうという空気の支配が、本件をこじらせ、無実の教師を追い込んでいったのです。
それを名匠三池監督がアレンジすると、居並ぶ主役級俳優が重いテーマと真っ向勝負しさせ見応え十分の作品となりました。スリリングな演出もさすがです。
特に冒頭のいじめを受けたと主張する教え子の氷室拓翔の視点から描かれるサデステックな担任の薮下と『でっちあげ』のタイトルを挟んで描かれる実際の気弱でお人好しな教師の薮下の実像の二つのシークエンスの対比が真逆に描かれることで、一気に観客を一体どっちが本当なんだろうと物語にぐいぐい引き込んでいくのです。『でっちあげ』のタイトル以降、ストーリーの流れが急流に変わる時、観客はジェットコースターに乗ったような興奮を感じながら結末に向かって疾走することになるのです。
まぁとにかく本作での綾野剛の演技がすごすぎます。冒頭登場する薮下の教え子へのいじめる方は強烈です、見ていてこんなやつが、生きていていいのか?と胸糞が悪くなるくらいの嫌悪感を綾野剛演じる薮下に抱きました。その演技はもはや「演じる」なんて言葉では足りないのです。人として壊れているのではという狂気に包まれていました。
ところがシークエンスが変わって、薮下本人の視点で描かれだすと綾野剛演じる薮下は一転します。まるで同一人物とは思えないほど、腰が低くなり、校長や教頭の求められるまま言いなりになって、いじめを渋々認めてしまう気弱な人物にからりと変わってしまうのです。この薮下の落差の激しい演じ方の違いが本作の大きなポイントとなりました。
これまでの綾野剛出演作品に驚いてきた人でも、きっと本作でさらにガーンと大きく衝撃を受けることでしょう。
しかし本作は綾野剛だけの作品ではありませんでした。
本作でモンスターピアレンツを演じている柴咲コウもなかなかヤバいのです。我が子を案じる心配そうな眼差し。でもなんかヘンなのです。ときに見せる目つきの強烈さはどう見ても異常に見えます。彼女のまばたきもせず、こちらをずっと凝視する面立ちは、早い話いっちゃっているです。この演技だけで演じている氷室律子がどんなに息子を溺愛し。パラノイアに陥っているのか説得力を持って訴えかけてきたのです。
さらにその他の共演者の“クセの強さ”も特筆ものでした。
その中で際立つのは週刊春報の記者の鳴海三千彦のいい加減な取材態度でした。演じているのは亀梨和也です。この記者の実際の名前は西岡研介といい週刊文春の記者でした。 当事者から話を聞くのは取材の基本であるのに、西岡が教諭に対する聞き取りを全く行なわず『殺人教師』というレッテルをかぶせたのでした。そういう実際の記者のでたらめな取材を色濃く反映した演技でした。
余談ですが、西岡にも取材した原作者の福田は、裁判の経過を福田が伝えても西岡は聞こうとしなかったそうです、『週刊文春』に記事を書いた後は、この事件についての関心を失ったのだろうと福田は評しました。事件記者にとって、取材対象は“消費”していくだけの存在なのかもしれません。残された被告の薮下がどんなに苦しむとも、野となれ山となれと投げ捨てるだけのものでしょうか。
原作のルポルタージュは…
そう言えばこんな事件もあった様なぐらいで原作になったルポルタージュは未読。三池崇史監督だからと観に行った。
三池崇史監督らしいおふざけやダラダラ感もなく被告となった教師と原告側の生徒の家族からの視点で描かれ果たして真実は如何に❓
事実を一つ一つ積み上げマスコミや被害者家族のでっちあげを崩して行く。
法廷劇が大半だけど淡々と描かれ柴咲コウがほとんど瞼を動かさない❗️
世の中には息をする様に嘘をつき嘘を自分で事実と記憶し理不尽さを感じない人間がゴロゴロいる怖さ❗️
柴咲コウの名演技❗️
綾野剛は実際、ガーシーから誹謗中傷を受けまくり半ば引退扱いにされていただけに映画と重ねて見てしまいまさに迫真の演技❗️
脇を固める俳優陣、中でも人権弁護士役の小林薫は重苦しいストーリーの光。
またもや名バイプレイヤーの光石研が実に嫌な役。
スリリングさや派手さはなくてもじっくり怖さや社会の理不尽さを観たい方には是非❗️
冤罪はあってはならない
最初の冒頭からイジメがえぐかった。
観ていて目を閉じてしまった…
言った言わないの証言で殺人扱い。
何ひとつ証拠もなく、何故ここまで律子さんは教師をはがイジメするのか理解できなかったですね。また法廷での律子さんの子供はの愛情は薄い気がします。涙ひとつも見せませんでしたしね。一体何がしたかったのか…
また民衆も職場も味方をしてくれない世の中。
他人事とは思えない…考えさせられました。
全313件中、121~140件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。