でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男のレビュー・感想・評価
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一体感
とある小学校にて児童に対し虐めをしていたとして教諭が訴えられるが、原告の保護者と教諭との供述は全く逆の内容であり…といった物語。
遅ればせながら、評価が高いため鑑賞!!
これは…本当に恐ろしい作品ですよ。
初っ端、体罰というより虐めと言うべき描写が見せられる。
…なんて教師だ。教師どころか、いち人間としてアウトだろ、と胸糞悪い展開。そして法廷へ。さて、この極悪人にどんな正義の鉄槌がくだされるのかと期待していたら…うん?これはどういうことだ!?
と、序盤から驚かせてくれる構成。この時点では、いうてこの人の言い分でしょ〜などと思っていたが、ここからの展開はもう目を背けたくなるほど。。
これは負の輪廻か、個人のつまらんプライドか…いずれにせよ何故人ってここまで他人を平然と壊せるのだろう…。
本当に怖いのは人間だと改めて痛感させられる作品だった。こんなことが現実でも起こっているだなんて。
しかし、映画作品としては本当に秀逸。どれだけ絶望に陥っても闘う勇気が必要なこと、そしてどんな状況でも自分を信じてくれる人が1人でもいるならば…。
私自身の話になりますが、職場で不当な扱いを受け続け、勇気を出して然るべき機関に駆け込み、紆余曲折の末状況を変えることができたことを思い出し、涙無しにはいられませんでした。
そしてワタクシ個人的な映画館での醍醐味というのが他の観客の皆様との「一体感」。
法廷で最後に意見を述べるシーン。この静かな長回しよ…。他の観客の息を呑む音すら聞こえてくる…。
この時に勝手に1人で、会場の皆様と同じ気持ちになっている!!…なんて感じているのですが(笑)これこそが映画館での醍醐味だと思っています。コメディで同じ場面で笑ったりとかね。
個人的経験も重ねながら、素晴らしき一体感を感じさせてくれた今年ベスト級の作品でした。
角度を変えると見えてくる「別の真実」。
「冤罪」を晴らす物語である。こどもに体罰を加えたとして両親から告発があった教師が、自らの罪を晴らすまでがとてもドラマティックに描かれている。悪い奴らが乱暴なほど明確になっているので、何も考えずに映画の世界に没入しやすい作りになっている。たぶん、殺人教師にされた薮下の苦悩を観客は共有するため、エンディングで罪が晴れた時は一種のカタルシスを感じるだろう。そして湯上谷弁護士や支えてくれた家族に感謝の気持ちがあふれて満足感を覚えるだろう。一方で真実を見ようとせずに薮下を罪に陥れた人々には強い憤りを感じる。事実を明らかにせずに一方的に薮下を断罪した校長、教頭、教育委員会。被害者の子の母親の話を鵜呑みにしてセンセーショナルな記事で世間を煽った週刊誌記者。真実を確かめずに原告に乗っかった弁護士軍団など。「正義」や「体面」を前面に押し出すとこんなことが起こるんだと分かりやすく描いている。誰も(映画の中では)薮下に謝罪していない。おそらくみんな、本人には申し訳ないことをしたかもしれないが、職務でしたことであって自分には責任がないと考えているのだろう。これも恐ろしい。
冤罪を晴らす薮下と湯上谷弁護士の奮闘と家族の支えは心温まるヒューマンドラマである。一方、冤罪を作り出す側はコメディかホラーである。母親律子とその夫のモンスターペアレントぶりが怖すぎる。詐欺師でなければ何かにとりつかれた精神病者である。ろくな調査もせず、保護者に迎合するように薮下に罪を着せる校長と教頭の掛け合いは、バカを演じるコントのようである。550名も弁護士が原告側に集まった経緯に興味があるが、法律家のくせに「真実を疑わない」おバカさん集団である。彼らの側にも調べればそれなりの事情があるだろうが、この映画では不要である。これもある意味一方的な真実である。
名優たちの熱演に乗せられて、「真実を疑う」ことの大切さを教えてくれる作品でした。
「絶妙にいい」
何を信じるか
やっぱり綾野剛はすごい
どうやら実話らしいですが昨今の学校ではこういったことは多発してそうですよね。なんなら親子だけではなく複数の子どもたちでの教師に対するでっちあげなんかもあるんだろうなと見ていて思いました。内容的にはどこまで事実を描いてるのかわかりませんがうまくまとまっていて見ていてそれほど飽きのこない内容だったかなと思います。
私が注目すべき点はやはり綾野剛の悪役を演じた時に発揮する演技力の良さ。冒頭は本当に見ていられないくらい痛い映像が流れていきますがあの綾野剛をずっと見ていたいなと思わせるくらい彼の悪役ぶりってすごいなといつも関心します。
なので、今作の本来の人の良い教師役もそのうちもう一個の人格が現れて暴走すんのかなとか勝手に思ってましたがそれはありませんでしたね笑
あと、柴咲コウもやはり顔立ちもあんな感じなので冷酷なサイコパス女みたいなのがやっぱり似合いますよね。あと異様な雰囲気を醸し出す夫も外で不倫してるとか何かそういう要素も出てきそうな感じがしてたのですが、そこらへんの夫の要素はなくただただほぼほぼ空気な存在でした。あとは北村一輝さんもなんかありそうな気はして見てましたがそこらへんも特に何もなく。
ま、その辺は実話にそういう事実がなかったのでしょうからしょうがないですね。
そんなこんなで基本的には全体として救いのない内容が続いていく中で見るのに体力が必要です。
とにかく演者の方々はかなり豪華で演技は見ていて間違いないですね、柴咲コウの息子役の子もうまかったと思います。
とにかく綾野剛の悪役っぷりが好きな方は絶対見ましょう!
真実とはなんなのか、、心が揺さぶられました!!
2003年に起きた実話に基づいた作品。
導入から引き込まれる綾野剛さんの演技力、、演技とはいえ体罰としてこどもが傷つくシーンは胸が痛みました、、。
率直な感想は、これが本当に起きたことなのかと、、。
法廷で裁判になり、一方的に攻撃される構図にも心が痛みました。
私も最初は流れてくる映像を真実と捉え、途中まで観ていました。
しかし、途中からの逆転劇というか、事実の捏造、真実とは?という疑念が強く残りました。
劇中の綾野さんの「なぜ一方的にしか話をきかないのか」というようなセリフがとても印象的でした。メディアを使い、どちらか一方の話だけを鵜呑みにし、さもこれが事実かのように報道され、第三者から攻撃されるのは20年経ったいまでも変わらないのかもしれないと思いました。
真実は何か、どれが嘘なのか現代ではよりわかりにくくなってきています。
自分がみたものすべてが真実とは限らないということを理解したうえで情報を取っていくのか大事だなと感じました。
諦めずに立ち向かい、応援してくれる人とともに立ち上がった先生の心の強さにとても感動しました。その背景の辛さはご本人にしかわからないことではありますが、、。
私も仕事に対して真摯に向き合っていこうと思った映画でした。
社会がでっちあげた。
そもそも母親が躾ができずクソガキに育った子供を利用して自分の憂さを晴らすために嘘をついてひとりの教師を社会が陥れた事件。
まず学校の管理職が教育委員会やPTA、親に正面からぶつからず事なかれ主義が招いた、それを病んだ母親が週刊誌にリークして世間を巻き込むことになるのだがおかしいと思い声を上げたのはたった一人の母親。
金八先生の教え子や熱中時代の子どもたちなら先生は悪くないと庇う行動に出たし、それに親も同調しただろう。
陥れた要因のひとつにマスコミの報道があるが、ゴシップの記事を鵜呑みにして一方の嘘さえ真実であるかのように広まり、一個人が晒される社会は何としても変えなければならないよね。
ましてこの事件から20年以上が経ち、市民の全員がスマホでカメラを持ち歩いてる現代社会では、言い訳すら悪事に仕立て上げられてしまう。
一筋の光はと言えば妻と子供が最後まで信じてくれたことと正義の弁護士との出会い。
柴咲コウ演じる母親は怖かった。
怖かった
佳作
チラシや予告で、殺人教師と呼ばれた男は実は…という構図ははっきりしてるのでネタバレにしませんが、それでも嫌だという方はご覧になってから読んでください。
最初に教師によるいじめを告発した母親の視点で始まり、後で同じシーンを教師による視点で繰り返し、全く違う話になっているという展開に、両者の違いの異常性を体感させる手法が凄いし、怖さを実感させる。
一方の言葉だけを鵜呑みにして、客観的事実を確認しないままその場をやり過ごす事がいかに悪手であるか、カスハラやモンペに対する認識が高くなっている現在もこのような事は起こっているのではないかと思わせる。
正直、最終的な爽快感は得られない。何故、このような訴えがされたのか、一部については、母親の叱責を逃れる為に子供が嘘をついたと理解出来るシーンがあるが、それだけでは説明出来ない。普通の弁護士物なら相手の事情まで明らかにする所だが、そういった親切さはない。それがよりリアルだったと思う。
死に方、教えてやろうか?
真実とは
情報が人を殺す。社会が作り上げる“でっちあげ”の恐怖。
単なる「事件の映画化」ではない。
情報の拡散が人を追い詰め、命さえ奪いかねない社会の構造や、職業的な正義と個人の尊厳がぶつかり合う瞬間を描いた、静かでありながら重みのある人間ドラマだった。
構成は章立てで、視点が切り替わるたびに視点が揺れることで「どちらが真実か分からない」という心理の追体験になる。
その不確かさこそが、この作品の持つ怖さであり、メディアや世間の“見方”がいかに人を決めつけ、消費していくのかを問いかけてくる。
綾野剛は、感情を抑えつつも徐々に心を削られていく教師の姿を丁寧に演じていて、目線ひとつで観る側の胸を締めつける。
柴咲コウもまた、激情と冷静さを行き来する繊細な芝居で、観客の判断を揺さぶってくる。
二人の対峙は、派手な演出はなくとも十分にスリリングだった。
そして、光石研の存在感が忘れられない。
出番は限られているが、彼の沈黙と表情には、言葉以上の重みがあり、何度も心をえぐられた。
この映画が描こうとしているのは、真実よりも「人は何を信じるのか」という問いなのかもしれない。
• 世界へ入り込む度:★★★★☆
• 感情ゆさぶられ度:★★★★★
• エネルギー消費度:★★★★★
• 配信でも観ます度:★★★★☆
• 人にすすめたい度:★★★★☆
【制作エピソード】
薮下がマスコミの報道により極限まで追い詰められ、雨の中で傘も差さずに鳴海の胸ぐらを掴み、感情を爆発させながら自らの思いを訴えるシーン。実はこのシーンは人工的に雨降らしを行っているのではなく、なんと本物の豪雨だった。テスト段階では晴天だった天候が本番直前で急に雲行きが怪しくなると、あっという間に強い雨が降りだしたという。
モンスター教師かと思いきや
観る者まで力技でねじ伏せる
◉早い者勝ち、その他大勢勝ち
事実に基づくと言いながら、私にはとてつもなく理不尽で突飛な出来事。そして黒色が力任せに白色を侵食していくようなストーリー展開を、しばらく唖然としながら観ていた。たとえ主題を訴えるための濃縮の結果であっても、思わず笑ってしまうほどの強引さ。それとも私の常識と理解力の、どちらも足りなかったか? 諍いは先に主張した者勝ち、だが後からでも声の大きかった者勝ち。
けれど、PSTDと国籍で嘘をつき、虐めの客観的証拠がなくとも、裁判は勝てるのですね。それが得心出来ず。もう一つは、夫婦は何が目的で、「殺人教師」のでっちあげを画策したのか、説明が欲しかった。金が狙いじゃないでしょう。
まぁ世間も社会も世界も、これほど怖いものもないと言う理解を得ることが出来ました。悪巧みをした者勝ち、深く考えずにそれに乗っかった者勝ち。無論、それだけじゃないと祈りつつですけれど。
◉役者は怪物
綾野剛が、純粋に生きる一人の社会人を好演していたと思うし、綾野剛の妻子と勇気ある弁護士以外、演じる気になれば殺したいぐらいの悪者を演じることが出来るのが役者なんだと、改めて感動もしました。しばらくは、柴咲コウの顔を見たくなくなった。
子は自分の後を継いでくれたが、妻には先立たれた綾野剛と、そのもとに懲戒処分が解かれたことを告げに訪れた小林薫。でもひたすらに生きる人の悲哀と微かな爽やかさ…などでは済まない、痛々しい読後感が残りました。
狂気と怒り
最初から綾野剛の狂気が半端ない
「死に方を教えてやろうか」とかピノキオをしている場面は怖すぎる。
あと最初の綾野剛の顔がもう死んでた
でもそこがでっちあげだとは全く思わなかった。完全に騙された。
その後は柴咲コウの狂気が全開だった
傘を持ちながら見つめてくるシーンはホラー映画と変わらない
あと校長室に呼び出されたときの掛け合いがうまく噛み合ってしまっている感じが現実感が激強
校長と教頭にはイライラ
法廷をメインに映画を作るのは難しいと思うがとても綺麗にまとめていた
サイコパスに見えた。。
3章からなる構成。
お母さん、先生、先生の意見陳述の3つ。
何が真実か分からないような展開なのかと思っていたら違かった。
流れ的に真実は片方にしか思えないような作りでした。
実話らしいけど、元の話はまったく知らなかった。
先生側の視点が見ていて辛かった。
ココが一番ドキドキするところでしたかね。
それに、柴咲コウが私には単なるサイコパスに見えた。
もっと、見る側に判断を委ねる的な作りでも良かったように思うが、実話ベースだから仕方がない。。
裏取りもせずにセンセーショナルに報道するマスコミ、嘘を見抜けず550人もの弁護士が信じて弁護団を作ったり、恐怖でしかない。。
モンスターペアレントという言葉だけでは、言い表せない。
柴咲コウの表情には、狂気しか感じなかった。
実話だとすれば、実話の親子、校長、教頭は今どうしているのかが気になってしまった。
やっぱり綾野剛は名優なんだろうね。。
人の良すぎる先生役を上手く演じていたと思う。
口コミでは高評価の映画。
三池崇史監督。
う~ん、ずいぶん、脚本と綾野剛に助けられた感じなのかな。。
ロッキー2な構成は成功。
原作には記載のなかった近況も
流石綾野剛
流石綾野剛です。
初めふたつの視点で描かれますが、綾野剛の演技力が光ります。
この話は実際2003年に発生した福岡での事件を題材にしたと記憶していますが、実際は穏やかで熱心な教育者でした。
なので、物語全体としては綾野剛は被害者であり、優しすぎる人物像を演じています。
綾野剛はこう見ると、怖い役がやはり1番だと感じました。
さて、結局は題名通りでっちあげだったというのが事の顛末です。
結局のところ2003年でもそして現代社会でも社会は見たいものだけを見て、信じたいものだけを盲目的に信じて批判を行います。
それが嘘だったらという根本的なことは昔も今も変わらず気にしません。
愚かですね。
昨今ではますます盲目的に情報を信じて、誹謗中傷が横行し、政治にまで浸透し始めました。
私たちは今一度、情報の脆弱性を再確認し、自身で調べ立ち止まるという視点が重要だと思います。
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