「タイトルなし(ネタバレ)」でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男 りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし(ネタバレ)
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2003年、ある民事裁判。
小学校教師の薮下誠一(綾野剛)は、児童・氷室拓翔(三浦綺羅)への体罰・自殺強要により拓翔少年をPTSDに追い込んだことで訴えられた。
裁判より以前、マスコミは薮下は「殺人教師」と呼びつらい、言語道断と弾劾していた。
裁判は冒頭、拓翔の母・氷室律子(柴咲コウ)の証言から始まった・・・
といったところからはじまる物語。
巻頭、律子の口から証言される薮下の行為は正視に耐えないほどの凄まじさ。
しかし、薮下が法廷で口にしたのは、「すべて事実無根の・・・」とタイトル『でっちあげ』と映し出される。
このタイトルが出た時点で、この映画は只者ではない、と確信。
周防正行監督『それでもボクはやってない』に匹敵する冤罪映画の力作。
柴咲コウ演じるモンスターペアレント、ややステレオタイプっぽい演技なれど、怖いねぇ。
ほんと、かかわりたくないタイプ。
綾野剛の演技も凄まじい。
アバンタイトルまでの悪魔のごとき人物と、被告の身となっても拓翔少年を気遣う人の好さ、その両方をリアリティをもって演じている。
薮下の弁護を引き受ける弁護士役に小林薫。
深みのあるいい演技だ。
若い頃ならば、彼が薮下の役を演じていたかもしれない。
「殺人教師・薮下」をでっちあげてしまう週刊誌記者役の亀梨和也。
かつてアイドルだったことなど微塵も感じさせない演技だ。
それにしても、当事者でない者が「正義」の言下で偽情報を信じてしまうことの怖さ。
怖い怖い。
いま観るべき映画の1本でしょう。
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