「やはり三池崇史監督は、上手い。 冒頭からタイトルが出るまでの不穏な空気の演出は、流石!」でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男 mac-inさんの映画レビュー(感想・評価)
やはり三池崇史監督は、上手い。 冒頭からタイトルが出るまでの不穏な空気の演出は、流石!
やはり三池崇史監督は、上手い。
特に、冒頭からタイトルが出るまでの不穏な空気の演出は、流石。その後も、三池監督にしては地味ながら、外さない堅実さがある。
最初は、黒澤明の「羅生門」のように、互い立場から証言を言い合う形で進行していくと思っていたが、映画のスタンスは、殺人教諭と言われた綾野剛扮する薮下先生の立場から描いていく(羅生門の原作の「薮の中」の「薮」が名前の中にあるのは意図的?)。
当初原告側の証言によるひどい教師と思わせる映像が流れてゆき、その後に薮下先生の供述が映像となって流れる。見る側は、とてもいい先生としか思えない。それが少しづつズレを学校側の圧力により認めてゆくうちに、殺人教師が形成される過程がリアル。
対する被害児童の母親(柴咲コウ)のなんとも言えない闇を抱えているような無表情の演技がすごい。これでは全く揺がない態度に、学校側も認めざるを得ないと思えた。
そしてマスコミに知れ渡り、薮下先生は「殺人教師」のレッテルを貼られる。
後半は、小林薫演じる湯上弁護士と出会い、原告側の不備をついてゆく。結果、薮下教諭の賠償責任は棄却され、市の責任のみを認定(民事訴訟なので、刑の確定のようなものはない。無罪、有罪ではなく棄却または責任の認定となる)。ただ「いじめ」の有無はうやむやに。
綾野剛は、市井の子供思いの先生を好演。その後のバッシングによる焦燥感もリアルな演技だった。こんなにやられてしまう綾野剛って結構見ものでした。で、その後の名誉回復した後の安堵感も良かった。
弁護士役の小林薫は定番の良さ。
妻役の木村文乃は、芯の強さと優しさがよく出ていたし。
そして何より柴咲コウが怖い。結局彼女は「闇」としか描かれていない。
(最近の柴崎コウは「蛇の道」など怖い演技が冴える)
実話だったということで、映画としては、様々な部分を切り落とし、2時間ほどにまとめられている。
今回、上映時間の制約から描かれなかった部分も気になる。
原作を読めということかもしれないが、ぜひNetflixなどでドラマ化して、あの児童の両親の闇や、学校側、それにエスカレートしていったマスコミについても描いて欲しいと思った。
その時の監督は当然、三池崇史監督で!
久々に三池監督のスマッシュヒットとなった作品。
やはり三池崇史は上手い!
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