「邦題のセンスもアレだが、本編のラストもどうにかならんかったのかな、と思った」秘顔 ひがん Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
邦題のセンスもアレだが、本編のラストもどうにかならんかったのかな、と思った
2025.7.1 字幕 MOVIX京都
2024年の韓国映画(115分、R18+)
リメイク元はスペイン映画『The Hidden Face(2001年)』
失踪した婚約者を巡るスリラー映画
監督はキム・デウ
脚本はノ・ドク&ホン・ウンミ
原題は『히든 페이스』、英題は『Hidden Face』で、ともに「秘められた本性」という意味
物語の舞台は、韓国の高陽市近郊
楽団の指揮者として活躍しているソンジン(ソン・スンホン)は、楽団長へヨン(パク・チヨン)の娘のチェリスト・スヨン(チョ・ヨジョン)と婚約していた
金持ちに生まれたへヨンは何でも母親に頼み込み、今度は郊外にある豪邸を買ってもらっていた
そこは、スヨンのチェロの師匠であるパク・ヒョンフン(ピョン・ジュンヒ)がかつて住んでいた家で、それを全面リフォームすることになっていた
内装も全て終えた豪邸に足を運び入れたソンジンは、戸惑いながらも新居に馴染もうと努力を重ねていった
ある日のこと、突然スヨンの姿が消え、家には「動画を見て」という書き置きと、動画ファイルの入ったノートPCだけが置かれていた
家出をしたのかは分からないが、スヨンは理由も言わずにソンジンの元から消えてしまう
へヨンと相談するものの、ひとまずは帰ってくるのを待つとして、警察に相談することは避けることになった
スヨンは楽団のチェリストでもあり、さすがに補充が必要となっていた
そこに、スヨンの元同窓生であるミジュ(パク・ジヒョン)が面接にやってきた
聞けば、スヨンから頼まれたとのことで、彼女もスヨンの行き先は知らなかった
ソンジンはやむを得ずに面接をして、彼女の腕を確かめた
技術は拙いものの、楽曲に関する感じ方は似通っていて、彼女を採用することになったのである
物語は、4幕構成になっていて、「現在(失踪後)」「その3ヶ月前(失踪に至るまで)」「現在の7ヶ月前(建物が作られる経緯)」と進み、最後に結びとなっていた
ネタバレに関してはそこまでのものはなく、スヨンとミジュの秘めたる関係というものが暴露されていく
スヨンのプライドの高さゆえに思い立った悪戯だったが、自分を捨てて男に走ったことへの復讐心がミジュにあのような決断をさせている
真性ではなくバイということなのだろうが、そっち方面よりはSとMに関する描かれ方の方が色濃くなっていたように感じた
建物に関するネタバレもあるが、師匠の夫が731部隊に併合されていたという、プチ日本軍ネタがあったのはお約束のようなものだろうか
そこでの再現映像はなく、スヨンとミジュの若かりし頃の悪戯が描かれるのだが、スヨンは一切肌を見せないところは徹底していた
スヨンが行方不明のままだったら、そのまま母親と関係を持ってしまうのではと思わせる何かがあったが、それをスヨンが見ていたらどうなっていたのかな、とか余計なことを考えてしまう
母親の方もスヨンと同じ性質を持っているが、夫とされる人物は出てこないので、無茶な展開になってしまいそうな予感もした
いっそのこと、ミジュとの関係が終わった後に母親から言い寄られて断ることができず、とかだったらサプライズだったかもしれない
ここまでくるとほぼハーレクインロマンスではあるが、その行為がスヨンのみならずミジュをも逆撫ですることになって、さらに混沌としても良かったのかな、と思った
いずれにせよ、毒があるようで薄めで、ラストの展開も「いつの間にか」みたいな感じになっていたのは解せなかった
ミジュが閉じ込められた先で何を思って従順になったのかが描かれず、ソンジン不在の中でミジュとスヨンの形勢逆転のシーンは必要だったように思う
R18+なので、高校時代の絡みは描けなくても、成人期のスヨンとミジュのセックスは描けると思うので、そこで暴力的な描写があった方が説得力が増しただろう
そこをスルーして「数週間後」みたいになっているのがネックなので、そこまで徹底的に演じられる役者を配した方が良かったのではないだろうか