「性別も世代も考え方が違っても大切なこと」映画 おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか! おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0性別も世代も考え方が違っても大切なこと

2025年7月6日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

癒される

本作は、同名コミックが原作で、2024年に放送されたテレビドラマの劇場版です。原作未読ですが、ドラマは現代に生きづらさを感じるさまざまな世代に寄り添う良作だったので、本作もちょっと興味があり、公開2日目に鑑賞してきました。夕方の上映回だったのですが、なんと観客は自分だけ!大スクリーンを独り占めというのは本当に気持ちがよく、勢い評価もちょっとだけ甘くなってしまいます。

ストーリーは、昭和の価値観で会社でも家庭でも周囲に自分の考えを押し付けてきたものの、ゲイの大学生・大地との出会いを機に自分をアップデートすることができた沖田誠が、かつて自分のパワハラが原因で退職した元部下・佐藤が取引相手として現れたことで、改めて佐藤と向き合っていく姿を描くとともに、「好き」に向かって真っ直ぐに歩み始めた誠の家族や大地のその後の姿を描くというもの。

そんなに難しい話ではないので、テレビドラマ未視聴でも本作のストーリーは十分に理解できると思います。しかし、ドラマのその後を描く作品なので、登場人物の背景を知らないと、作中で一喜一憂する姿に共感しづらく、本作を十分に楽しめないかもしれません。

それでも、「好き」を貫く大切さと難しさを通して、今の時代に生きづらさを感じている人の存在、その一方で、みんなが生きやすい世の中にするためのルールや新常識に適応することの必要性が、しっかりと伝わってきます。世代も性別も考え方も違っても、互いを理解しようと歩み寄ることが大切だと自然に思えてきます。説教くさくなく、ありふれた日常を通して描くことで、それぞれがそれぞれの立場で悩み苦しんでいることが伝わり、誰の心にも優しく沁みるのではないかと思います。

常識も価値観も時代とともに大きく変化するのですから、その時々にそれを受け入れ、自分の働き方や生き方をアップデートしなければいけないのは当然のことです。その昔、自分も不用意な言動で周囲の人を傷つけた記憶があり、今となっては謝罪の機会ももてず、後悔だけが残っています。せめてこれからは、もっと相手の気持ちに寄り添えるように努めたいと思います。長い時間をかけて培われた自分の考えを変えるのはなかなか大変なことですが、精進していこうと思います。

キャストは、原田泰造さん、中島颯太さん、城桧吏さん、大原梓さん、富田靖子さん、東啓介さん、松下由樹さん、渡辺哲さんらドラマ版キャストに、曽田陵介さん、トータス松本さん、池田朱那さん、山崎紘菜さんらが加わっています。中でも富田靖子さんの脇での立ち回りが、地味に涙を誘います。

おじゃる
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