「時代の空気が不足。」ブルーボーイ事件 t2lawさんの映画レビュー(感想・評価)
時代の空気が不足。
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1969年の松本俊夫監督によるatg作品『薔薇の葬列』。ピーターの主役デビュー作で、オイディプスをモチーフにした、新宿2丁目舞台の実験映画だった。スクリーンに映し出された、性倒錯が混沌した終末世界は、まさにワンダーランドだった。そんな1969年に、本作の『ブルーボーイ事件』の医師が有罪判決を受けていたのだ。
団塊の世代が青年(アオハル)で、造反有理の叫び声で、ガラガラと戦後の価値観を破壊していた時代でもある。この年、中学2年の映画ファンの小生は、10.21の騒動の中、日活名画座(現在は新宿丸井)で洒落たフランス映画に身を委ねていたことを思い出す。スクリーンのある5階から、余韻に浸って地上まで階段を下りると、肩を組み放歌する若い人々が目についた。高円寺の自宅へ戻ると、テレビでは新宿の燃える騒乱を伝えていた。
本作は、そんなアノコロの空気を纏った様々なエピソードのひとつだろう。とはいえ、昨今のLGBTポリコレ主張の、声高な理屈の悪臭がプンプンしてしまう。そりゃテーマは正義なのだろうが、類型的な二元論に仕上げているあたりが、気に食わない。
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