ブラックバッグのレビュー・感想・評価
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スパイアクションではなく会話劇かな...
上映時間が100分未満で、テンポよいスパイ映画かと思いきや違ってました。会話劇という感じかしら?
ケイト・ブランシェットさんは、すっかり熟女の領域に達しましたが、相変わらず芸達者でした。ピアース・ブロスナンさんは、かつては007の現場の実戦部隊のボンド役から、この作品ではNCSCの管理職役を演じているのが年月の流れを感じました。欲をいえば、NCSCの組織背景や諜報員の人間の深掘りがもう少し欲しかったです。そのあたりが解りにくかったのが残念でした。
世界を股にかけ仕事してるスパイの皆さんの世間の狭さよ(笑) 94分でサクッと観れる小粋でスマートなスパイ•スリラーもといコメディ? ひょっとして「割れ鍋に綴じ蓋」スパイ夫婦のラブ•ストーリー?
主人公はイギリスの国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)のエリート諜報員のジョージ(マイケル•ファスペンダーがお見事と言えるほどの好演をしています)。彼は何千万人の生命に関わるような不正プログラム「セヴェルス」を組織内から盗み出した裏切り者をあぶり出す極秘任務につきます。容疑者は5人。その中には彼の妻キャスリン(負けず劣らずお見事なケイト•ブランシェット)も含まれています。
ということで、スパイものなのですが、これがなんとまあ、ちまちまとした会話劇。登場人物たちが皆、けっこう内向的で精神的な問題も抱え、なんだかこういった諜報機関以外の世界では成功が覚束ないタイプのように思われます。特に主人公のジョージは冷静沈着でスパイとしては有能だと思われますが、お前、奥さんのキャスリン以外に友だちいないだろ、とツッコミたくなるような孤独を抱え込んでるタイプです。本篇を観た感じだと彼の趣味は釣りと料理。なるほどね。
で、キャスリンのほうもまあジョージといっしょにいれば、「割れ鍋に綴じ蓋」みたいな感じ。ふたりは「職場結婚」なんでしょうね。ふたりともスパイが天職で、相当アタマの出来もいいんでしょうけど、他の世界では非常に難しいタイプだと思います。ふたりの間には子供はいません。持たない選択をしたのだと思われます。
タイトルにある「ブラックバッグ」はスパイたちがそれぞれ持っている黒いブリーフケースのことでしょう。そこから転じて、ずっと自分のカバンの中の自分だけが見えるファイルに閉じ込めておく極秘任務のことを指すようになったと思われます。本篇を観る限りは、このNCSCという組織はなんだか個人商店の集まりみたいな感じで、組織にとって重要な報告、連絡、相談は組織図上の関係に沿ってではなく、個人商店間の個人的な関係によって行われてるのではないかと思えてきました。
さて、裏切り者をあぶり出すにあたって、ジョージは趣味の料理をフル活用して、自分プラス容疑者5人の夕食会を開きます。本篇にはこの夕食会が都合2回出てきます。最初の会でジョージは薬を一服盛ってメンバーの口を滑らかにさせます。5人はキャスリンを除くと、男性、女性、各2人ですが、一対ずつ男女の関係になっていて、なんだか世間が狭いな、といった感じです。仕事の性格上、守秘しなければならない内容を取り扱っていますから、どうしても内向きになってしまうんでしょうね。社交的に振る舞って広く外に相手を求めたら、ハニートラップに引っかかっちゃったでは目もあてられませんから。
結局、スパイ衛星の画像を使っての追跡やら、ウソ発見器を使っての訊問やら、ジョージがもう一方の趣味の釣りにある人物を連れ出してのハラの内の探り合いやら、2度目の食事会やらを経て、実行犯はあぶり出されて処置されますが、一連の出来事の根本原因は幹部同士の権力闘争だったということがわかってきます。すなわち、ジョージに裏切り者のあぶり出しを命じたジョージの上司(謎の死を遂げます)とキャスリンの上司アーサー(かつてのジェームズ•ボンドのピアース•ブロスナンが演じてます。イケオジのラスボスですな)の間のヘゲモニー争いです。アーサーは何かと目障りな部下のキャスリンとその夫でライバルの部下でもあるジョージの失脚までも狙った一石で何鳥も落とせる作戦を展開していたと思われますが、活き造りを食べている間に不発に終わったようです。
ということで、けっこうちまちまとしたお話なんですけど、かなり面白かったです。あの夫婦、ラスボスの弱みは握ったし、ほとぼりが冷めた頃には自由にできるかもしれないカネのありかを知ってるし、NCSCきってのパワー•カップルになれたのではないでしょうか。
信頼のインフラが崩れる音を聞け
スティーヴン・ソダーバーグという男は、つくづく「構造の人」だと思う。『トラフィック』では麻薬取引という制度を、『コンテイジョン』では感染症と経済を、そしてこの『ブラックバッグ』では“信頼”そのものを制度として撮っている。サイバーセキュリティの専門組織を舞台に、夫婦でスパイ、つまり「監視し合う愛」を描く。一見スパイ映画の皮を被っているが、これは情報社会の倫理をめぐる寓話である。
主人公ジョージは、国家サイバーセキュリティセンターの諜報員。上司から「組織内に裏切り者がいる」と命じられ、同僚5人の調査を始めるが、容疑者の中に妻キャスリンがいる。
彼は淡々と命令に従い、妻を含む全員を自宅に呼び、晩餐会の料理に薬を仕込み、心理戦を仕掛ける。つまり、家庭が職場に、夫婦が監視網に変わる瞬間だ。この構図に、現代の情報社会の滑稽さが詰まっている。我々もSNSで互いの発言を監視し、「不正」「裏切り」「誤情報」を検出するジョージでありキャスリンなのだ。
物語は静かに進む。アクションも爆破もない。だが、沈黙の合間に走る情報のやりとりが生々しい。夫婦間の嘘を解析する過程は、まるでネットワーク診断ログのようで、“人間関係というシステム監査”のようでもある。やがて、上司スティーグリッツが裏で全員を利用していたことが明かされ、若い諜報員ジェームズが実行犯として撃たれ、池に沈められる。制度は温存され、真実は水底へ。――国家も企業も結婚も、みな同じ構造だ。内部統制が崩れても、上層部は処罰されない。
ソダーバーグは、冷たいカメラでこの制度疲労を映す。照明は硬質で、会話は間合いに支配され、俳優の演技は感情を削ぎ落とす。マイケル・ファスベンダーは「合理的な狂気」を体現し、ケイト・ブランシェットは“見られること”のプロとして、一切の情を切り捨てた表情で支配する。彼らの会話はほとんど法廷調書のようで、「愛しています」も「信じています」も、情報開示と隠蔽の手続きの一部に過ぎない。
興味深いのは、作品が描く“セキュリティと倫理の矛盾”である。守るために疑い、信頼を確かめるために監視する。サイバーセキュリティの専門家が「ゼロトラスト」を叫ぶように、この夫婦も“ゼロトラスト婚”を生きている。それでもジョージは「相手のことを知り、触れないようにする」と語る。ここにソダーバーグ流の解答がある。完全な監視の果てに、残るのは沈黙による共犯だけなのだ。
スパイ映画として見れば地味すぎる。だが、この地味さこそが現代のリアリズムだ。戦争も諜報も、いまやコンピュータの画面と人間関係の歪みの中で進行する。「ブラックバッグ」という違法捜査の隠語が、いまや我々の社会全体のメタファーになっている。政治、企業、恋愛、すべての組織が誰かを“ブラックバッグ”している。この映画は、その構造的暴力の可視化だ。
ソダーバーグは最後に、観客自身を監視対象に変える。スクリーンを見つめる我々もまた、「信じたいものしか信じない」情報中毒者であると突きつけられる。映画館を出るとき、ふとスマホを見て、我々の通知履歴の中にも“ブラックバッグ”の影があることに気づく。この映画の恐ろしさは、そこにある。
【"英国諜報員の密やかな憂鬱。”今作は組織内極秘情報漏洩者を見つけ出す任務を負う男が愛妻を含めた五人の同僚の誰かの嘘を暴く姿を描いたアクション無きスタイリッシュスパイ会話映画である。】
■倫敦の国家サイバーセキュリティ組織が舞台。
諜報員ジョージ(マイケル・ファスペンダー)は”ブラックバック”と呼ぶミッション遂行を命じられる。”ブラックバック”とは、核のメルトダウンを引き起こすプログラム”セベルス”を盗み出した組織内の情報漏洩者を見つけ出す事である。
そして、ジョージは愛妻キャサリン(ケイト・ブランシェット)を含めた敏腕の同僚5人を調べていくのであった。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・序盤、ジョージが同僚の諜報員フレディ(トム・バーク)、情報分析官クラリサ(マリサ・アベラ)、ジミー(レゲジャン・ペイジ)、精神分析医ゾーイ(ナオミ・ハリス)を招く食事会に提供する食事を、自ら鮮やかな手つきで調理するシーンからスタイリッシュである。
素早い包丁遣いで玉ねぎをみじん切りにし、煮ている肉の内部温度を温度計で測り、煮汁が白シャツに飛ぶと、ササっと着替えるジョージ。だが、表情は沈痛でありながら、その料理に薬を混ぜるのである。
・酒と薬の影響なのか、会話は弾む。フレディとクラリサ、ジミーとゾーイが付き合っている事が分かるのだが、序でにフレディがゾーイと浮気をしている事までバレてしまい、激怒したクラリスはフレディの掌にナイフを突き立てるのである。キャー!
・気まずい雰囲気のまま食事会は終わるが、部屋のゴミ箱に自分が行っていない映画の半券を見つけるジョージの表情は、更に憂鬱になるのである。愛妻のキャサリンは特に敏腕であり、一番怪しいからである。
・上層部のスティーグリッツ(ピアース・ブロスナン)に呼ばれた彼らは、”セベルス”が悪用されると、多くの民が犠牲になる事を説明し、更にジョージに調査継続を指示するのである。
・キャサリンがスイスへの国外出張に行く事をジョージに告げると、彼はクラリサと共に、衛星中継が切り替わる僅かな時間で、妻が怪しげな男と接触する姿を密かに衛星画像で見て、更に彼の眉間の皺は深くなるのである。
だが、彼はキャサリンの4人の嘘発見器での取り調べを行い、ジミーを強引に”釣り”に誘うのである。この辺りで大体分かるよね・・。
■そして、2度目の5人の会食。
料理も酒も無い中、ジョージは調査結果を述べるのである。全てはスティーグリッツが、特に優秀な人間を罠に掛けた事を・・。
所謂、”出る杭を打つ”という奴である。
そして、罠に引っ掛かった男をジョージは射殺し、池に沈め、一方、キャサリンは日本料理店で“活き作り”の刺身を頼んだスティーグリッツの脇にそっと座り、”一言言って”去るのである。
更には、キッチリ、エレベーター内でもスティーグリッツに釘を刺すのである。
・妻キャサリンの嫌疑が晴れたジョージは、ベッドで”情報漏洩の見返りの大金は?”と聞くとキャサリンは”スイス銀行に開設した口座の中よ。”と言い、初めてジョージは笑顔を浮かべ、キャサリンとベッドに倒れ込むのである。
<今作は、組織内極秘情報漏洩者を見つけ出す任務を負った男が愛妻を含めた五人の同僚の誰かの嘘を暴く任務を遂行する姿を描いたアクション無きスタイリッシュなスパイ会話劇なのである。>
派手なアクションシーンは皆無。ヒリヒリするような心理戦で緊張を高めてゆく。なかなか話が読めなくて見ているこちら側も緊張してゆく。ただ難しい話でないので、ラストの種明かしには、しっかりカタルシスがある。
監督は、「セックスと嘘とビデオテープ」、「トラフィック」、「オーシャンズ11」などのスティーヴン・ソダーバーグ。
脚本が「ジュラシック・パーク」(1作目)や最近の「ジュラシック・ワールド/復活の大地」、「ミッション:インポッシブル」(1作目)のデヴィッド・コープ。それで面白くないわけがないと思った。
今回はスパイもの。一筋縄にはいかないスパイものだった。派手なアクションシーンは皆無。ヒリヒリするような心理戦で緊張を高めてゆく。なかなか話が読めなくて見ているこちら側も緊張してゆく。ただ難しい話でないので、ラストの種明かしには、しっかりカタルシスがある。
マイケル・ファスベンダー演じる諜報員のジョージは、内部の裏切り者を見つける極秘任務(ブラックバッグ)に付く。容疑者は、妻の諜報員キャスリン(ケイト・ブランシェット)と同僚の4人。彼らを自宅のディナーに招待して、探りを入れるが…。
スパイの日常というか、スパイ夫婦の私生活を描いている。夫婦でお互いがスパイだと気が抜けない。でも結婚を維持してゆくには、知恵が必要で…。
マイケル・ファスベンダーとケイト・ブランシェットの重量級の役者が貫禄の演技で、リアルなスパイを演じている。それに元007役のピアース・ブロスナンが上司に。ダニエル・クレイグ版007のマネーペニー役のナオミ・ハリスも出ている。
かなり007を意識している。ただ雰囲気は映画「裏切りのサーカス」。地味でカッコいい。
音楽(デヴィッド・ホームズ)は、ラロ・シフリン(「スパイ大作戦」「ダーティハリー」などの音楽)を意識したような、昔ながらの「スパイ音楽」。そんなところもカッコよくて楽しい。
クライマックスは、銃弾1発で決まる。
スタイリッシュで、無駄がなく、テンポよくラストに向けてキリキリと話を詰めてゆく快感。
久々に、ソダーバーグ節を楽しんだ。
中盤以降から見応えあり
前情報ゼロで、評価が高いとだけ知り
行ってきました✨
スパイものと認識していましたが
全編会話劇のようで中盤までは
少々退屈に感じましたが、
嘘発見器の件くらいから
どんどん引き込まれていきます。
イギリスのイメージのまま
男性はジェントルな感じで
女性はエレガントで美しい。
アガサ・クリスティの推理小説を
読んでいるような上品さを感じる作品でした。
700万ポンドは誰のもの?ブラックバッグは極秘任務。
2025年10月2日(木)
家内の指令を受け池袋TOBUへグレステンの包丁砥ぎに来る。グレステンは砥ぎのメンテナンス(有料)があり、切れ味が保てるのが良い。包丁砥ぎの待ち時間にTOHOシネマズ池袋で「ブラックバッグ」を。
ロンドン。国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)の諜報員ジョージ(マイケル・ファスベンダー)は、上司から極秘開発されたソフト「セヴェルス」を外部に流出させた犯人捜しの指令を受ける。容疑者は5人、そのうちの一人はジョージの妻で敏腕諜報員のキャサリン(ケイト・ブランシェット)だった。
ジョージは4人の容疑者を家に招いて妻と6人で食事会を開く。そして色々な事が判って来るが、指令を出した上司は毒殺されてしまう。果たして犯人は5人のうちの誰なのか。
諜報員ものなら世界を股にかけて活躍する事が多いが、本作は部内の犯人捜しなので室内でのシーンが多い。本部内、ジョージの自宅等、屋外もジョージが釣りに行く湖位だ。
海外に行くのは仕事で出張するキャサリンだけだし、エクスプロージョンがドローンからの攻撃1回だけ。銃撃は、ラストの真犯人が1発で倒される一撃のみ。変わった諜報員ものである。
NCSCと言う組織がMI-6ほど馴染みがない?のと、アクションが少ない分知的推理に重きを置いているかと言うと、ジョージが容疑者を嘘発見器にかけての問答はあるものの深みが足りない。展開が早く(上映時間94分)観る側が頭の中で情報を整理する前に話が進む。
じっくり推理を展開できる深みが欲しかったかな。
NCSCの幹部がピアース・ブロスナン、容疑者の一人が007でマネペニーを演じていた ナオミ・ハリスなどキャスティングも遊んでいるか。
人を知るには怒りの尺度を図るのが肝心だが、ラリって痴話喧嘩させるのが一番手っ取り早いのだろう
2025.10.2 字幕 TOHOシネマズ二条
2025年のアメリカ映画(94分、G)
スパイの炙り出しを任された諜報員を描いたミステリー映画
監督はスティーヴン・ソダーバーグ
脚本はデヴィッド・コープ
原題の『Black Bag』には、「違法捜査」のほかに「流用された費用」という意味がある
物語の舞台は、イギリスのロンドン
イギリス国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)のエージェントであるジョージ・ウッドハウス(マイケル・ファスベンダー)は、局長のフィリップ・ミーチャム(グスタフ・スカルスガルド)から、「NCSCの中にスパイがいる」と言われ、5人の容疑者を告げられた
ケースオフィサーのフレディ(トム・バーク)と彼の恋人でもある衛星画像抽出係のクラリサ(マリア・アベラ)、防諜担当の諜報員のジェームズ(レゲ=ジャン・ペイジ)と彼の恋人でもある局内カウンセラーのゾーイ(ナオミ・ハリス)、それに加えて、ジョージの妻キャスリン(ケイト・ブランシェット)の名前もあった
「妻が犯人でもできるか?」と問われたジョージは、頷き任務にあたることになった
ジョージは3組のカップルの食事会として彼らを自宅に招き、得意な料理を披露していく
妻にはチャナマサラを食べるなと言い、そこには「DZM5(ジアゼパム5mg)」という薬物が多量に盛り込まれていた
それを過剰に摂取することで興奮状態になり、隠しているものが露見すると考えられた
また、ジョージは「ゲーム」と称して「右隣の人の誓いを立てる」というものを始め、ピロートークを交えた過激な話題を振り撒いていく
ゾーイはジェームズに「相手の後でフィニッシュする」と誓いを立て、ジェームズはクラリサに「ジジイを好きになるな」と誓いを立てられてしまう
そしてヒートアップしつつある中で、クラリサはフレディに対して「彼女とヤルのをやめる」と突きつけた
クラリサはフレディが誰かと浮気をしていると睨んでいたのだが、フレディは身の潔白を主張したいがために語気が荒ぶってしまう
クラリサも我慢の限界が来てしまい、とうとう食事用のナイフでフレディの甲を突き刺してしまうのである
映画は、ほぼ会話劇となっていて、メインはジョージの家の食卓だったりする
ほとんど変わり映えのないところに、諜報員あるあるネタで内輪受け的な会話が展開されまくる
映画のタイトルにもなっている「Black Bag」は諜報員などが行う「違法な捜査」を意味し、会話の中にも何度も登場している
諜報員の抱える秘密を「ブラックバッグ」と言ったりするのだが、実はもう一つの意味が最後に明かされている
それは、「流用された資金」という意味があり、NCSCのスティーグリッツ(ピアース・ブロスナン)の思惑から生じている、「セヴェルス(メルトダウンを起こさせるプログラムの入ったデバイス)」をキャスリンがロシアの反政府組織のクリコフ(Orli Shuka)に売り払ったように見せかける700万ポンドのことを指している
ラストにて、まだ700万ポンドは口座の中にあるという会話があるのだが、スティーグリッツに辞職勧告をしつつ、黒幕を沈めることに成功した2人へのささやかな報酬のようになっていた
ジョージとキャスリンは、同じ目論見の中で別々の罠にハマっていて、それが補完しあう関係になっていた
ジョージに衛星切替のタイミングでキャスリンを監視させ、そのタイミングを図ってクリコフとパブリチュク将軍(Daniel Dow)を隠れ家から脱出させた
それを夫の失態だと思い込まされたキャスリンは、ドローンを使って逃げた2人を始末することになり、それが夫婦の枷になると考えられていた
それを看過したジョージはキャスリンと共に黒幕を表に引きずり出して、あるトラップを仕掛ける
それが「テーブルに置かれた銃」だったのである
かなりネタバレ部分がわかりにくくなっていて、人間関係も複雑なように思える
だが、ミーチャムが死んだことによって昇進できるスティーグリッツが、自分がコントロールできないキャスリンとジョージを始末しようとしたことは理解できる
フレディはスティーグリッツから直接的な指示を受けていて、そこで登場する「セヴェルス」のことを泥酔時にゾーイに話ししていた
ゾーイの正義感はフレディに密告するという形で伝わっていて、完全に蚊帳の外にいたのはクラリサだけだった
これらの思惑の連鎖を利用したものの、看過されて返り討ちにあっているのだが、それを可能にしたのが「2人が夫婦でいられる秘訣」であったとも言える
ジョージは「相手のことを知って、そこにふれないようにする」のだが、これは監視カメラを使わなくてもできることだったりする
より相手を理解するには「怒りの感情を引き出すこと」なのだが、それに一役買っていたのが薬入りのチャナマサラだった
また、激情を生みやすいのは痴話喧嘩の部分であり、ジョージはそれぞれの隠したいことをすでに入手していたのだろう
前半のテーブルでは「クラリサを焚き付けてフレディを刺す」という展開になっていたが、そこではフレディの密会相手がゾーイだったことはバラしていない
知り得た情報をどこまで出すかという話術のスキルが描かれていて、これが「相手のことを知りつつ、ふれてはいけないところにはふれない」につながっていたりする
ジョージにとっては、仕事も夫婦関係も根本は同じとなっていて、その対極にいるのが何も知らないクラリサだった
彼女の激情を利用して場をヒートアップさせていくやり口などは、かなり凝ったものではあるが、実に周りくどい展開をしていくなあと思った
いずれにせよ、ジョージとキャスリンには別々の罠が仕掛けていて、ジョージの失態をキャスリンは助けるだろうというところを看過していたところまでは黒幕の作戦通りだったのだろう
だが、お互いを知り尽くして信頼しあっている2人だからこそ、「嘘を効果的につく」ことができていて、それが「映画の半券問題」だったりする
おそらくは、キャスリンも誰かが映画の半券を仕込んだことを知っていて、夫の前では「それを知らないふりを貫いた」のだと思う
その稚拙さを「侮辱的」と評するキャスリンだったが、ジョージのこととなると上手くはコントロールできなかったようだ
ここにスティーグリッツの言うキャスリンの弱点があったのだが、それを見破れても、程度の低い罠を張ったせいで全てが台無しになっているのだろう
その辺りがストーリーの根幹になると思うのだが、実に「わかりにくい」と言う一言で片付いてしまう映画だったように思えた
アクションシーンは全くありません
スパイモノと言えばアクション。ですが、ケイト・ブランシェットですもの。そんなの、ありませんことよ。途中でハメられてる!!と思うけれど、皆が怪しいの。あの湖に何個沈んでいるのかなぁ。
映画館で拍手が鳴ってました。(外国の方かも)
私も、拍手すれば良かったー!それくらい満足。
追伸
海外出張に行く妻を見送る夫が、あれこれ言うけれどLove you.の、ひとことを送る妻。このシーンが一番印象に残りました。何もかも曖昧な内容なのに、これだけはハッキリしていて素敵なのよ。
脇の甘いスパイ
職場内での浮気や飲酒時の情報漏洩など、諜報機関の職員の割には迂闊な行動が目立つ。そのせいで序盤の「我々にとって浮気は簡単すぎる亅という台詞に説得力がなくなっている。
また、セキュリティに関わる規則を破る点や、(映像作品の性質上やむを得ないものの)感情がすぐに顔に出る点など、主人公夫婦以外の登場人物の精神面の脆さに少し違和感を覚える。
人物像の設定にやや粗があるものの、90分程度の比較的短い上映時間で複雑なストーリーをうまくまとめた良作であり、スパイや内部の裏切り者といったテーマが好きな人は十分満足できると思う。
Bland
90分台と観やすい尺なのが大助かりで、頭脳戦ミステリーなのも面白そうと思って観たんですが、べらぼうに地味かつ動きがなさすぎる展開であまり好みではありませんでした。
諜報員のジョージが取引やらなんやらで自分の奥さんが怪しいと言われ、なんとかして真犯人を見つけたろうと躍起になる話で、容疑者候補を自宅へ招集→外での諜報活動→嘘発見器で嘘つきを探す→再度自宅へ招集という進み方自体はシンプルなんですが、展開がどうなっているとか、登場人物の感情だとか、何もかも言葉にも仕草にも出てこないので非常にわかりづらかったです。
夫婦がカッコつけながらイチャイチャし、付属としてミステリーがついてくるといった感じなので、そっちがおまけなんだと呆気を取られたのは確かです。
ジョージが優秀なのかおとぼけさんなのか分からない微妙なラインを突きまくるのも悩ましいところで、決めるところ決めたなーと思ったらボロが出たりしつつも、なんとか表情だけ保っている状態でやっているのでカッコよさを感じられなかったのは残念でした。
全体的に動機が色恋沙汰多めなのも気になったところで、そんな狭いサークルの中でわちゃわちゃした色々ともつれていっちゃうでしょう…と頭の良い連中のはずなのにバカっぽさが出てしまっていたなと思いました。
ラストのゲームのシーンの駆け引きもそんなに捻りが無いなぁと盛り上がりきれず、そしてあっさり終わってしまったので、スタイリッシュではあるんですが胸につかえたモヤモヤは結局取れずじまいでした。
スパイ映画と銘打っていながら、ガッツリ室内での出来事をメインに展開していき、多少の爆発が添えられてはいますが、スピーディーなアクションもあるんじゃない?と微かに期待していたものは華麗にぶち壊されました。
食べたことがないのでアレなんですが、魚の活け造りってあんなビチビチ動くの?というところが衝撃的でした。誰か連れていってください。
究極の雰囲気映画じゃないかなと思いました。
好みではありませんでしたが、好きな人は凄い好きだろうなーというタイプの作品でした。
鑑賞日 9/27
鑑賞時間 18:25〜20:05
アンチ・ボンド‼️
今作はソダーバーグ監督による「男女6人スパイ物語」‼️諜報員マイケル・ファスベンダーに課せられた任務は二重スパイをあぶり出す事。容疑者は組織内のカウンセラー女医、女性情報分析官、そして3人の諜報員。しかも諜報員の一人は愛する妻ケイト・ブランシェットである。そんな6人はそれぞれ複雑な人間関係にあり、夫婦をはじめとする3組のカップルで成り立ってる。そんな人間関係の中で繰り広げられる頭脳戦と心理戦‼️まるでソダーバーグ監督の「セックスと嘘とビデオテープ」のスパイ版とでも言いましょうか⁉️本作にはハリウッドの他のスパイ映画みたいな派手なアクション・シーンは一切ナシ‼️どちらかと言えば「国際諜報局」や「パーマーの危機脱出」みたいな、アンチ・ボンドな作風‼️そういう意味ではイギリス的な感じがします‼️そんなアンチ・ボンドな作品にピアース・ブロスナンがキャスティングされてるのもナイスですね‼️冒頭、ファスベンダーが指令を受けにバーへ赴くシーンの背中のショットからワクワクするし、男女6人が揃う二つの夕食のシーンの会話劇の面白さもゾクゾクさせられる‼️この夕食シーンの会話劇が見せ場のスパイ映画だなんて、なんて素晴らしいんでしょう‼️そして主人公と、容疑者である妻との関係が、偽りの夫婦関係ではなく、真実の愛に満ちてるのも映画の風格を高めてると思うし、鑑賞後の幸福感も高い‼️
小説か解説本希望
ケイト・ブランシェット夫妻が勝ちましたってことで良いんだよね。
旦那さんが人智を超えた洞察力で解決したね。
何が起きたのかは分からなかった。
ここまで事件についてが描かれないってことは、そこは重要度低いんだろなと判断して、深く考えないことにしたよ。
ケイト・ブランシェットの赤いジャケットかっこよかったね。
集中して観れば大筋は理解可能だけど・・・
監督スティーブン・ソダーバーグ、脚本マイケル・コープの二重スパイを炙り出すミステリードラマ。
英国諜報部員の破格の年収を思わせるような優雅でスタイリッシュでクールなシャレオツ仕様。
マイケル・ファスベンダー主演の難解な映画と言うと説明されない暗喩がたくさん散りばめられた「悪の法則」を思い出すが、本作は短い尺にもかかわらず、直接本筋とは関係ないが如何にも意味ありげな会話ややり取りで必要な情報を迷彩的に隠し、説明も少なく、コードネームを交えた会話などで鑑賞者の情報処理能力を問うような内容。
さらにファスベンダーやケイト・ブランシェットが全く表情を変えない事も視覚的な情報を得ることができず難解度合いを上げている(ように思う)。
極端に言えば実際は何も起こっておらず、ほぼダイニングや会議室等の屋内での心理的な会話劇なので、頭を使う割には退屈でレビューが低い理由はわかる。
当然頭の悪い自分自身も拾いきれていない情報が山ほどあるはずだが、全て拾えたとしても観終わった後の爽快感や納得感は薄そうなのでもう一度観たいとは思わない。
ストーリーそのものについてレビューするとどうしてもネタバレに繋がってしまうので難しいが、あの夫婦は自分達が嵌められた事以外は基本全て気付いていると思って観るとある程度は整理しやすいのではないかと思う。
特に映画の半券を誰が捨てたかなんか途中からお互いがわかってたように思うしw
英国では「活け造り」がイリーガルってはじめて知った。
一度ちゃんとシメるか、元の姿に戻さなければ良いってことかな?
おもしろいけど
導入が薄くて入り込みづらかったかもしれない。
まずなんでこの5人が疑われたのかとか
そもそもセヴェルスって何?とか
大勢の人が死ぬのは分かったけど
それがなんなのか分かるのはだいぶ後半だし
最初の晩餐会も、誰が諜報員で
誰がカウンセラーで、誰と誰が同僚で部下で……
みたいな関係性がほぼ出ないまま、
本人達からしてもこれは謎メンなんだな〜って
ことくらいしか分からず、
ただもう既に腹の探り合いはされていて
伏線とかももしかしたらあったのかもしれないけど
ふわっとしたままなんか進んでっちゃって
これ妻が一番怪しいんじゃね?ってなりつつも
それも罠で、結局はただの最強夫婦でしたっていう。
キャストはみんなかっこいい&綺麗だし
スパイものにアクションシーンがなくても
全然いいと思うんだけど、
120分くらいあってもいいので
だからこそもう少し導入とか人間関係を
濃いめにしてほしかったな〜と思いました!
なんかちょっと物足りなさが残るというか
もう少し浸かりたかったな。
嘘発見器のシーンとかも
なんとなく置いてけぼりになってしまったので
配信されたらまた観たいと思います。
夫婦のブラックバックを探るな!
ブラックバッグ Black Bag
諜報活動組織ではよくある事なのだろう。それ故に社内にカウンセラーが常駐し、定期にストレス健診が行われ、今回の内部調査が敢行された。
その調査は最重要任務で、期間は1週間のうちに組織内部の裏切り者候補5名男女が指名され、その中に彼(ジョージ)の妻も含まれ、「black bag job」(ブラックバッグ・ジョブ)することだ。
ジョージ夫婦共にベテラン諜報部員で、夫婦関係は組織公認であり、互いに一瞬たりとも気の置けない、かつ気の置かない微妙な信頼関係が刺さる。
詰まるところ、この在り方をブラックバックと言うのであろう。
さて、裏切り者探しには、
薬物入り食事会、相互密告ゲーム、嘘発見器、同僚暗殺、社内不倫、密告呼び出し尋問、内部違法捜査、衛星透視などのブラックバッグ・ジョブが満載なのだ。
そして、捜査期限の日に、最後の晩餐会が自宅で行われる。
誰一人遅刻もなく、ジョージを含め6人は、重厚なテーブルに拳銃が徐ろに載せられた食堂で自白を迫られるのだが…
ここからの展開は詰まらないが、気になる点がある。
絨毯を何故、新しく変えられていたのか?
既に犯人が分かっていたのにこんな晩餐会を何故したのか?
妻はあの映画を見たか?
あの700万ポンドはどうしたのか?
この周到な裏切り者処分はこれが初めてか?
あの釣り小屋と池は誰の所有だろうか?
それにしても、
今回のケイト・ブランシェットは、諜報部員らしからぬキレのなさ、趣味悪さ、集中力の欠如を感じてしまった。
それ故に、ラストがオバハン臭く、旬を超えたかなぁ
レビュー31
(о´∀`о)
ブラックバッグ Black Bag
「オーシャンズ」シリーズのスティーブン・ソダーバーグ監督と「ミッション:インポッシブル」の脚本家デビッド・コープがタッグを組み、
エリート諜報員と二重スパイが最重要機密をめぐり繰り広げる頭脳戦を描いたミステリーサスペンス。
イギリスの国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)のエリート諜報員ジョージは、
世界を揺るがす不正プログラム「セヴェルス」を盗み出した組織内部の裏切り者を見つける極秘任務に乗り出す。
容疑者は諜報員のフレディ、ジミー、情報分析官のクラリサ、局内カウンセラーのゾーイ、そしてジョージの愛妻である凄腕諜報員キャスリンの5人。
ある夜、ジョージは裏切り者の動向を探るべく、容疑者全員をディナーに招待する。
食事に仕込まれた薬とアルコールの効果で、容疑者たちの意外な関係性が浮かび上がるなか、
ジョージは彼らにあるゲームを仕掛ける。
諜報員ジョージをマイケル・ファスベンダー、
彼の妻で容疑者でもあるキャスリンをケイト・ブランシェット、
4人の容疑者を「マッドマックス フュリオサ」のトム・バーク、「Back to Black エイミーのすべて」のマリサ・アベラ、
「ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り」のレゲ=ジャン・ペイジ、
「007」シリーズのナオミ・ハリスが演じた。
ブラックバッグ
Black Bag
2025/アメリカ
「ブラックバック」という言葉は、劇中でスパイや諜報活動の文脈で使われている隠語で、**極秘の作戦や情報を指すスラング**
英語の「black bag job」(ブラックバッグ・ジョブ)を基にしたもので、FBIや諜報機関が令状なしの違法な侵入捜索(例: 家宅捜索や盗聴)を行う秘密の活動を意味します。
「夫婦の話」という設定を、活かしきれているようには思えない。
マイケル・ファスベンダーが演じる、同僚の中から裏切り者を見つけ出そうとする諜報員が、血も涙もないような嫌な奴で、これで、本当に友人がいるのだろうかとか、夫婦仲は良いのだろうかと勘ぐりたくなる。
序盤で、彼と、彼の妻を含む6人の男女(3組のカップル)が晩餐会に集められて、このまま、犯人探しの密室劇が繰り広げられるのかと思っていると、セックスだの、浮気だのといった下賤な話と痴話喧嘩に終始して、その日が終わってしまったことには拍子抜けしてしまった。
やがて、主人公の妻が、隠し口座を持っているとか、チューリッヒで怪しい男と接触しているとかといったことが明らかになって、彼女に対する疑念が一気に高まるのだが、こういう展開ならば、逆に、彼女は裏切り者ではないのだろうと容易に予想できてしまい、ミステリーとしてはお粗末であると言わざるを得ない。
その後、人工衛星を勝手に使ったせいで窮地に陥った主人公と、裏切り者と疑われた妻が、力を合わせて真犯人を見つけ出すような展開になるのかと期待していると、結局、主人公が、ウソ発見器を使った尋問を行っただけで、ここでも、何だか肩透かしを食ってしまった。
おまけに、裏切り者が明らかになる前に、事件の黒幕が分かってしまったり、ロシアの反体制派がドローンで吹き飛ばされるという派手なシーンがあったりして、「これは、最後に描くべきだったのでは?」と思ってしまう。
ラストは、探偵映画さながらに、再び6人を一堂に集めて、「裏切り者はお前だ!」という展開になるのだが、おそらく、推理の決め手となったのは心理カウンセラーの証言で、だとしたら、その直前に明らかになった白人の諜報員と心理カウンセラーの浮気の話とか、冒頭の晩餐会におけるやり取りとかは、一体何だったのだろうという違和感が残った。
それに続くエンディングも、夫婦の愛の勝利みたいな終わり方になっているのだが、そもそも、同じ職場で働きながら、互いに職務上の秘密を抱えている者同士が、仕事とプライベートを完全に切り離して、真実の愛を育むことなどできるのだろうかという素朴な疑問を抱かざるを得なかった。
金曜日からが
私の理解力が乏しいのと金曜仕事帰りのレイト鑑賞でボケ〜っとしてたのもあり、二重スパイが誰かはわかったけど所々?となりました。
そもそもブラックバッグとは?って感じだったし、パンフ読んで「最高機密・極秘任務」だと知った。そうだったのか!セヴェルスも途中まで何なのかよくわからず。
最初のディナーシーンはとても重要なのでしょうが、まだ人間関係も掴めていないのに会話が進むので、ちょっと待って!状態。
金曜日からが解決編って感じで一気に動き出す。それまではひたすら淡々と
二度目のダイニングシーン(あの家はセットで本物のレンガ造りの家を建てたらしい!)での何気に怖いセリフ「カーペットが新しくなってる」なんか2回言ってた気がする。
ミーチャムは何で殺されたんだろう?ジョージ殺せばいいのでは?と思ったり。話終わっちゃうか。
私なら絶対あのテーブルに投げ出された銃使わないな〜。
色々謎が残ったけど、ジョージとキャスリン夫婦描写がとても良かったです。
ポーカーフェイスなジョージが妻の前ではデレる?のが良い。二人の愛の物語だったんだな。
リアル系スパイ物ならやっぱり裏切りのサーカスの方が見応えありです。
人間くさいリアルスパイ
マイケル・ファスベンダー×ケイト・ブランシェット×スティーヴン・ソダーバーグ
という座組のスパイ映画とあっては、観ずにはおれない。
マイケル・ファスベンダー演じるジョージと、
その妻キャスリンを演じるケイト・ブランシェットの演技が醸し出す本物感及び
緊迫感がスクリーンからビシビシ伝わってくる。
このふたりの対決なのか!?と冒頭から引き込まれていった。
裏切り者の疑いがある4 人+ジョージ夫妻の6人での夕食シーンの
会話が実にリアルだし、人間のイヤなところも浮き彫りになったりと、
当人たちも驚いた様子で、ジョージが仕掛けたゲームも裏切り者を特定するための
布石だったのだろう。ここは見応えがあった。
そこから妻に疑いをかけるジョージ、妻にも罠を仕掛けて、
キレ者の妻がそれに気づかないなんてことあるんだろうか・・・と思いながら
ハラハラして観ていた。
NCSCの建物内におけるジョージの動きは特に緊張が走る。
マリサ・アベラ演じるクラリサに監視カメラの映像をジャックさせるシーンや
この布石となる、クラリサ宅に侵入するシーン等、その尋常ならざる行動が
実に効いていると思う。
ラスト近くのキャスリンが特定された裏切り者を銃で撃ち抜くシーンは、
本作最大の見どころだろうし、これを見るために本作を鑑賞したと言っても過言ではないほど
ケイト・ブランシェットの所作や表情が抜群に素晴らしかった。
実にマジメというか淡々としている作品だが、
リアルなスパイ映画としてオススメしたい。
私は満足した。
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