ブラックバッグのレビュー・感想・評価
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ソダーバーグがミニマリズム趣味を炸裂させてスパイ映画に挑戦
この映画の筋書きにおけるわかりにくさ、不親切さを無理くり擁護しようというわけではないのだが、ソダーバーグという監督はギミックのあるストーリーを好みつつ、必要最小限の描写で説明し切ろうとするところがあって、思えば『オーシャンズ』シリーズや『ローガン・ラッキー』もトリックの部分はかなり入り組んでいて、一度観ただけでは理路整然と説明できなかったりする。それでいて適当ではなくきちんとロジカルに作られていることが見返すごとにわかってくる仕掛けになっており、それはソダバが「映画とは二度三度見返す価値があるもの」だと信じているからだと思う。
さりとて誰もが同じ映画を繰り返し観るわけではないし、ギミックの部分を詳細に理解しなくとも楽しめる作品であるというのも大前提としてある。本作の場合は、一見するとスパイ同士の騙し合いでありながら、本質としては人間同士の信頼と疑いにまつわる心理ゲームが主軸になっていて、その点ではデビュー作『セックスと嘘とビデオテープ』にも直結する作品であり、むしろスパイ要素は主ではなく従だという気がする。スパイ戦をしながら痴話喧嘩をしているコメディという捉え方もできる。
もちろんジャンル映画大好きなソダーバーグだけに、王道であり同時に異色であるスパイ映画としても成立していて、ソダーバーグ好きにはたまらないと同時に、もうちょっととっつきやすく作れば間口が広がるのに……いや、そうなるともはやソダバ映画じゃなくなるのか……と逡巡してしまう、ファン泣かせの作品でもある。ひとつだけ不満を述べると、早撮りの撮影監督でもあるソダーバーグさん、効率を重視しすぎたからなのかはわからないですが、映画界の至宝ケイト・ブランシェットのことはもう少し魅力的に撮れていても良かったんじゃないですかね。
家庭内『ミッション:インポッシブル』の楽しみ方
イギリスの国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)に勤務する諜報員、ジョージが、上司から世界を揺るがす不正プログラムを盗み出した組織内部の裏切り者、4人を夕食に招く。もう1人の容疑者はあろうことか同じく諜報員である妻のキャスリンだ。
その後、物語の舞台は必然的に家の外へ飛び出すが、主戦場はダイニングやベッドルーム。そこで展開する夫婦間の探り合いが見どころだ。つまりこれは、主に家庭内で繰り広げられる『ミッション:インポッシブル』。ロケーション・ムービーとしての楽しさや、そこで炸裂する危険なスタントシーンはないし、ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーが似たようような設定で共演した『Mr.&Ms.スミス』('05年)ほどの派手さはないが、それでもスパイ映画は作れるという、監督、スティーブン・ソダーバーグの意気込みとプライドがひしひしと伝わってくる1作だ。
このような世界観をスパイ映画マニアも待っていたのか、映画は世界でそこそこヒット。ジャンル映画としての新しい在り方を証明してみせた。惜しむらくは、キャスティングが若干鮮度に欠ける点。しかしこれも、好みの問題としてスルーできるレベルだと思う。
伏線が無いから何も推理出来ない
イギリスの国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)のエリート諜報員ジョージは、世界を脅威に陥れる不正プログラム・セヴェルスを盗み出した組織内部の裏切り者を見つけるという極秘任務を命じられた。容疑者は諜報員のフレディ、ジミー、情報分析官のクラリサ、局内カウンセラーのゾーイ、そしてジョージの妻で凄腕諜報員キャスリンの5人。ある夜、ジョージは裏切り者の動向を探るべく、容疑者全員をディナーに招待した。食事に仕込まれた薬とアルコールの効果で、容疑者たちの意外な関係性が浮かび上がるなか、ジョージは彼らに右隣の人に関するゲームを仕掛けた。さてどうなる、という話。
諜報員ジョージの推理を面白く観るのかもしれないが、伏線が無いから何も推理出来ない。
妻役のケイト・ブランシェットは魅力的だったが。
クラリサ役のマリサ・アベラは美しかった。
映画館で見るほどの内容では…
丁寧な説明省略の不親切、洗練
人狼ゲームと英国生活の景観を楽しみたい人におすすめ
700万ポンドは誰のもの?ブラックバッグは極秘任務。
2025年10月2日(木)
家内の指令を受け池袋TOBUへグレステンの包丁砥ぎに来る。グレステンは砥ぎのメンテナンス(有料)があり、切れ味が保てるのが良い。包丁砥ぎの待ち時間にTOHOシネマズ池袋で「ブラックバッグ」を。
ロンドン。国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)の諜報員ジョージ(マイケル・ファスベンダー)は、上司から極秘開発されたソフト「セヴェルス」を外部に流出させた犯人捜しの指令を受ける。容疑者は5人、そのうちの一人はジョージの妻で敏腕諜報員のキャサリン(ケイト・ブランシェット)だった。
ジョージは4人の容疑者を家に招いて妻と6人で食事会を開く。そして色々な事が判って来るが、指令を出した上司は毒殺されてしまう。果たして犯人は5人のうちの誰なのか。
諜報員ものなら世界を股にかけて活躍する事が多いが、本作は部内の犯人捜しなので室内でのシーンが多い。本部内、ジョージの自宅等、屋外もジョージが釣りに行く湖位だ。
海外に行くのは仕事で出張するキャサリンだけだし、エクスプロージョンがドローンからの攻撃1回だけ。銃撃は、ラストの真犯人が1発で倒される一撃のみ。変わった諜報員ものである。
NCSCと言う組織がMI-6ほど馴染みがない?のと、アクションが少ない分知的推理に重きを置いているかと言うと、ジョージが容疑者を嘘発見器にかけての問答はあるものの深みが足りない。展開が早く(上映時間94分)観る側が頭の中で情報を整理する前に話が進む。
じっくり推理を展開できる深みが欲しかったかな。
NCSCの幹部がピアース・ブロスナン、容疑者の一人が007でマネペニーを演じていた ナオミ・ハリスなどキャスティングも遊んでいるか。
入り込まないし入り込めない
小気味良い
寝た
人を知るには怒りの尺度を図るのが肝心だが、ラリって痴話喧嘩させるのが一番手っ取り早いのだろう
2025.10.2 字幕 TOHOシネマズ二条
2025年のアメリカ映画(94分、G)
スパイの炙り出しを任された諜報員を描いたミステリー映画
監督はスティーヴン・ソダーバーグ
脚本はデヴィッド・コープ
原題の『Black Bag』には、「違法捜査」のほかに「流用された費用」という意味がある
物語の舞台は、イギリスのロンドン
イギリス国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)のエージェントであるジョージ・ウッドハウス(マイケル・ファスベンダー)は、局長のフィリップ・ミーチャム(グスタフ・スカルスガルド)から、「NCSCの中にスパイがいる」と言われ、5人の容疑者を告げられた
ケースオフィサーのフレディ(トム・バーク)と彼の恋人でもある衛星画像抽出係のクラリサ(マリア・アベラ)、防諜担当の諜報員のジェームズ(レゲ=ジャン・ペイジ)と彼の恋人でもある局内カウンセラーのゾーイ(ナオミ・ハリス)、それに加えて、ジョージの妻キャスリン(ケイト・ブランシェット)の名前もあった
「妻が犯人でもできるか?」と問われたジョージは、頷き任務にあたることになった
ジョージは3組のカップルの食事会として彼らを自宅に招き、得意な料理を披露していく
妻にはチャナマサラを食べるなと言い、そこには「DZM5(ジアゼパム5mg)」という薬物が多量に盛り込まれていた
それを過剰に摂取することで興奮状態になり、隠しているものが露見すると考えられた
また、ジョージは「ゲーム」と称して「右隣の人の誓いを立てる」というものを始め、ピロートークを交えた過激な話題を振り撒いていく
ゾーイはジェームズに「相手の後でフィニッシュする」と誓いを立て、ジェームズはクラリサに「ジジイを好きになるな」と誓いを立てられてしまう
そしてヒートアップしつつある中で、クラリサはフレディに対して「彼女とヤルのをやめる」と突きつけた
クラリサはフレディが誰かと浮気をしていると睨んでいたのだが、フレディは身の潔白を主張したいがために語気が荒ぶってしまう
クラリサも我慢の限界が来てしまい、とうとう食事用のナイフでフレディの甲を突き刺してしまうのである
映画は、ほぼ会話劇となっていて、メインはジョージの家の食卓だったりする
ほとんど変わり映えのないところに、諜報員あるあるネタで内輪受け的な会話が展開されまくる
映画のタイトルにもなっている「Black Bag」は諜報員などが行う「違法な捜査」を意味し、会話の中にも何度も登場している
諜報員の抱える秘密を「ブラックバッグ」と言ったりするのだが、実はもう一つの意味が最後に明かされている
それは、「流用された資金」という意味があり、NCSCのスティーグリッツ(ピアース・ブロスナン)の思惑から生じている、「セヴェルス(メルトダウンを起こさせるプログラムの入ったデバイス)」をキャスリンがロシアの反政府組織のクリコフ(Orli Shuka)に売り払ったように見せかける700万ポンドのことを指している
ラストにて、まだ700万ポンドは口座の中にあるという会話があるのだが、スティーグリッツに辞職勧告をしつつ、黒幕を沈めることに成功した2人へのささやかな報酬のようになっていた
ジョージとキャスリンは、同じ目論見の中で別々の罠にハマっていて、それが補完しあう関係になっていた
ジョージに衛星切替のタイミングでキャスリンを監視させ、そのタイミングを図ってクリコフとパブリチュク将軍(Daniel Dow)を隠れ家から脱出させた
それを夫の失態だと思い込まされたキャスリンは、ドローンを使って逃げた2人を始末することになり、それが夫婦の枷になると考えられていた
それを看過したジョージはキャスリンと共に黒幕を表に引きずり出して、あるトラップを仕掛ける
それが「テーブルに置かれた銃」だったのである
かなりネタバレ部分がわかりにくくなっていて、人間関係も複雑なように思える
だが、ミーチャムが死んだことによって昇進できるスティーグリッツが、自分がコントロールできないキャスリンとジョージを始末しようとしたことは理解できる
フレディはスティーグリッツから直接的な指示を受けていて、そこで登場する「セヴェルス」のことを泥酔時にゾーイに話ししていた
ゾーイの正義感はフレディに密告するという形で伝わっていて、完全に蚊帳の外にいたのはクラリサだけだった
これらの思惑の連鎖を利用したものの、看過されて返り討ちにあっているのだが、それを可能にしたのが「2人が夫婦でいられる秘訣」であったとも言える
ジョージは「相手のことを知って、そこにふれないようにする」のだが、これは監視カメラを使わなくてもできることだったりする
より相手を理解するには「怒りの感情を引き出すこと」なのだが、それに一役買っていたのが薬入りのチャナマサラだった
また、激情を生みやすいのは痴話喧嘩の部分であり、ジョージはそれぞれの隠したいことをすでに入手していたのだろう
前半のテーブルでは「クラリサを焚き付けてフレディを刺す」という展開になっていたが、そこではフレディの密会相手がゾーイだったことはバラしていない
知り得た情報をどこまで出すかという話術のスキルが描かれていて、これが「相手のことを知りつつ、ふれてはいけないところにはふれない」につながっていたりする
ジョージにとっては、仕事も夫婦関係も根本は同じとなっていて、その対極にいるのが何も知らないクラリサだった
彼女の激情を利用して場をヒートアップさせていくやり口などは、かなり凝ったものではあるが、実に周りくどい展開をしていくなあと思った
いずれにせよ、ジョージとキャスリンには別々の罠が仕掛けていて、ジョージの失態をキャスリンは助けるだろうというところを看過していたところまでは黒幕の作戦通りだったのだろう
だが、お互いを知り尽くして信頼しあっている2人だからこそ、「嘘を効果的につく」ことができていて、それが「映画の半券問題」だったりする
おそらくは、キャスリンも誰かが映画の半券を仕込んだことを知っていて、夫の前では「それを知らないふりを貫いた」のだと思う
その稚拙さを「侮辱的」と評するキャスリンだったが、ジョージのこととなると上手くはコントロールできなかったようだ
ここにスティーグリッツの言うキャスリンの弱点があったのだが、それを見破れても、程度の低い罠を張ったせいで全てが台無しになっているのだろう
その辺りがストーリーの根幹になると思うのだが、実に「わかりにくい」と言う一言で片付いてしまう映画だったように思えた
アクションシーンは全くありません
スパイモノと言えばアクション。ですが、ケイト・ブランシェットですもの。そんなの、ありませんことよ。途中でハメられてる!!と思うけれど、皆が怪しいの。あの湖に何個沈んでいるのかなぁ。
映画館で拍手が鳴ってました。(外国の方かも)
私も、拍手すれば良かったー!それくらい満足。
追伸
海外出張に行く妻を見送る夫が、あれこれ言うけれどLove you.の、ひとことを送る妻。このシーンが一番印象に残りました。何もかも曖昧な内容なのに、これだけはハッキリしていて素敵なのよ。
トレンチコート姿のケイト様がただ美しい
話は会議室で行われます。
冒頭から何をやっているのか分からない。正直眠い。
宣伝で二重スパイとかあったので凄くハラハラドキドキするのかと思ったら、ほとんどが室内で何か話している。
しかし誰がどういう関係なのかも分からず…。もっとそのずっと前に、アクションやスリリングなシーンがあって、役どころを印象づける物があっても良いような気がする。
しかし94分と長くないのに1時間ぐらい経っても進展がない。そして終わった。
終わる15分ぐらい前に、少ない観客なのに2人が帰った。多分ラスト30分ぐらいから期待したのだろうが、裏切られた。私もです。その人は私より15分有意義な時間を過ごせたかもしれない。
私は映画館に見に行って、鑑賞直後は低評価でも2点以下にはしたくありません。色々考え良かった点や自身が思い至らなかった点を考えるからです。
しかし今作は途中退場こそしませんでしたがそれに近いから、評価できません。
映画会社によると大ヒット上映中だそうです。
映画会社も配給会社も静止画と少ない文字だけ。期待度がわかります。
全世界で4340万ドルの興行収入を得ました。しかし予算は少なくとも5000万ドルです。
でも撮影はほとんど室内だしどこに金がいるのだろう。
多分9割以上ギャランティでしょう(憶測)
ソダーバーグだな~
良くも悪くもソダーバーグだな~という感じ。
お洒落。
スタイリッシュ。
キャストもいい。
でも時々わけがわからない(笑)。
(え?動機がそれ?とか、人間関係どうなってるの?とか。何が一番大事なの?とか)
かつ派手なアクションも無い。
ほぼほぼ会話で話が進むので、好みがとても分かれる映画だと思う。
私には面白かったが「ミッション・インポッシブル」のようなスパイ映画を期待してはいけない。
(そもそもそれを期待するような人はこの映画を観に行かないか)
昨今長い映画が多いが、短くまとめているところも上手いと思う。
観終わった感想としては、間違っても諜報員にだけはならないように、かも😅
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