佐藤さんと佐藤さんのレビュー・感想・評価
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岸井ゆきのが出色、久々にいい邦画を観た。
久々に「いい邦画を観た」と感じさせる一作。恋人同士の同棲、結婚、子どもの誕生──人生の節目が続く中で、司法試験に落ち続けるタモツと、キャリアを着実に積むサチとの間に生まれる微妙なズレが丁寧に描かれる。夫の育児の割合が増えることで生じる夫婦の軋轢は、誰しもが身につまされる“あり得るリアル”だ。
そこに、離婚経験のある居酒屋の女将や熟年離婚といった周囲の人々の物語が絡み、作品全体がより厚みを増す。岸井ゆきのはスクリーンを自由自在に駆け回るような存在感で物語をぐいと引き寄せ、監督は役者の魅力を巧みに引き出している。脚本も堅実で、ちょい役の佐々木希までしっかり印象を残す。
日常に潜む揺らぎとリアルを見事に切り取った、温度のある邦画。
痛い・・
岸井ゆきの、さすがだね。
佐藤さんはふたりでも別個性
予定外で鑑賞しました
まじめで普通な人々が陥る傾向なのかな
特別でもないし
忙しすぎるし尊重することと冷静に会話をして
意思疎通ができたら。マニュアルみたいだけど笑
でもその忙しさであったり苛立ちだったりが
日々がさらっと垣間見えてよかった
その二人の結論が
別れで子供を通じた関係になったことは
どちらかが想いを秘めているときはいいのかな
20代カップルの結婚、子育てを描いたビタースイートな良作
他人同士の佐藤さんと佐藤さんが、佐藤さんになり、佐藤さんと佐藤さんになる話。
結婚前は男性は利他的に頼もしく振る舞い、女性は自己愛が強いように感じるが、子どもが生まれると精神状態が逆転するように思う。母は強し、というやつだ。
この映画の男性も田舎育ちの長男で、自覚なくわがままに育ったため、自己愛が強く最後まで自分だけの理屈を貫いて女性の心を傷つけてしまう。甘やかされて育っているから根拠のない自己肯定感が強く、女性から見たら自信があって頼もしく見えるタイプ。この手の男は、まじめないい子ちゃんタイプが多く、うまく操縦できれば、パートナーとしては悪くないチョイスだと思う。
この映画では、女性の方が仕事に恵まれたために、男性がコンプレックスを抱くようになってしまう。今時はよく聞く話だ。
かけがえのない相手とすれ違う切なさに身がつまる思いだった。パートナーがいる人は、改めて相手の存在の大切さを考えると思う。
素晴らしい映画なのにかける映画館を間違えてるのでは
これは話題になってるのかなってないのかわからないけど映画はとても良かった。天野監督は前作「ミセスノイズィ」からまた大きく飛躍したのではないか。でもあまり噂を聞かないし、明日からの上映回数を見る限り勿体なさすぎ。TOHOシネマズなんてポップコーンに映画がくっついてくるような映画ファンがいない映画でやってはいけない映画(でもいちばん行く映画館なんだけど)とあるカップルのクロニクル。
冒頭の自転車の倒れるタイミング、過去へ飛ぶテンポが早くていい。そして無敵の岸井ゆきのが魅せる。画面が持つなぁ。そして宮沢氷魚もいいが、ベンガルをそこに配置するか、という意表のつかれ方のと、三浦 獠太、佐々木希、中島歩、などちょい役でのキャスティングが非常に決まっている。短い出番で人生が滲み出ているし、わかるわ〜という感じがある。割と前半でどんな展開になるのか予想できてしまうが、時代を追っていきながらの普遍性が効いている。間の悪いレトロ喫茶店の婆さんとかボヤ騒動を起こす隣りの婆さんとか、迷惑な両親だとか(基本的に心はない)、詰めた弁当の回収とか電動自転車もまんまクロニクルだったり。特に何も起こらないじーっとした岸井ゆきのの間が画面に残っていて、それらの間の中で何かが生まれたり、崩れたりしている人生を見たような感じがする。
ひょっとしてこのカップルクロニクル映画、「ワンデイ」や「花束みたいな恋をした」や「ちょっと思い出しただけ」のようなものをイメージして作られたのだとすると筋が違う。華やかな恋愛、ウキウキする恋愛が半々でもないから。だからTOHOシネマズでやってもね、と思う。カップルに辛いものをカップルしか来ない映画館でやってもしょうがない。もったいない。こんなことを言ってもしょうがないが、なぜ新宿武蔵野とかテアトル系でやらなかったのか不思議。というのをポスターを見ながら思った。ちょうどTOHOシネマズで『平場の月』のポスターも見たが、これも中身と違って観客をバカにしたようなダメなポスターだと思った。
ストレスだらけの15 年
キャストに惹かれて見ましたが、期待が高すぎた
岸井ゆきのさんと宮沢氷魚さんと好きな2人が主演で、いい映画のバロメーターとも言える吉岡睦男さんと中島歩さんが出てるとなれば期待できるだろう、と拝見しました。
あらすじと冒頭の言葉で話の流れが理解できてしまうものの、過程が楽しければ……と見ていましたが、自分が男だからなのか、実際に夫婦仲がよくないからなのか、岸井さんの魅力に取り込まれたからなのか、保が一方的に悪いように思えてしまい、正直あまり気持ちのいい話の終わり方とは思えませんでした。
もう少し捻りがあれば……とか、90分くらいでまとまってれば……とか、カメラの手ぶれがもう少し抑えられてれば……とか思いながら帰宅中です。
人としての器の小さい男たち
『立つ瀬がない』で割り切れてしまう男。
『どれほどの覚悟を持って引き受けても報われることのない』女。
立場や環境の違いなど背景はさまざまではあっても、同じような目標を持ち、同じようなキャリアを目指す場合に、なんでこんなに圧倒的に女性のほうが不利なのだろう。
母乳を与えたくても、男性(父親)には不可能で、この点だけは役割を代替できない。
が、それ以外の点では、いまだに〝子育て〟は男にとっては、他の何かを犠牲にしているかのように捉えている人が多い。そして、女にとっての〝子育て〟は当然の義務であって他の何か(仕事やキャリア)を後回しにすること=犠牲にしている、とは捉えてくれない。
「立つ瀬がない」とは、Google先生によれば、『自分の立場や面目が失われ、どう振る舞っても居場所や弁明の余地がない状態』を意味する。
子育てにおいては、立場や面目なんてどうでもいいことです。
なのに、男の場合、それらが一緒くたになって論じられたり、同情されたりする。
「もう修復できないから、離婚しよう」みたいなことを平気な顔をして言える男の厚かましさ。
早目に交代してあげる、と譲歩してあげてるみたいに振る舞える傲慢さ。
ベンガルも中島歩も、どちらのタイプの男も、身近に思い浮かべることができるほど本当に実在してます。
ラストの岸井ゆきのさんの表情と涙は、悔しさ、やるせなさ、もどかしさなどありとあらゆる感情を表しているようで、決して〝何も割り切れてなんかいない〟ことがまざまざと伝わってきて、思わずもらい泣きしてしまいます。
「夫婦は一番近い他人」
夫婦が働いて収入を得るという生活の基盤を描出している。夫が働き妻は専業主婦、夫が働き妻はパート等で働き補助収入を得るが家事・子育ての主は妻、夫も妻も働き収入を得て、家事・子育てもバランスよく二人でおこなう。このような夫婦の在り方が社会通念のようになっている。
夫は司法試験合格を目指し日々勉強し、妻も働きフォローする、二人は社会通念とマッチしていた。しかし夫が目指していた司法試験に妻が合格し、妻が働き夫は補助収入を得るが、家事・育児も夫が主でおこなっている。夫は愚痴もこぼさず家事をおこなうがどこかに男のプライドが隠れている。夫と妻の何気ない日常の言葉遣いや態度によって、夫婦感に小さな穴が開いていく展開の脚本の見事さ、天野監督の丁寧な演出、宮沢氷魚、岸井ゆきのの繊細な演技をとおして、映画は社会通念をひっくり返したのだ。
働いている妻が何気なく「トイレットペーパーないよ」という一言。夫は「僕に買ってこいということか」と口論になる。この一言で夫の心が乱れる繊細さがうまい。弁護士として忙しく働く妻をフォローしつつも、どこかに羨望の眼差しを妻に向ける夫。勉強したいが子育てで疲れ切って寝てしまうもどかしさ。いっそのこと田舎に帰って別の仕事をするか、悩む夫の姿が痛々しい。夫の気持ちの変化にまったく気づかない妻。小さな穴が時間をかけて徐々に修復不能になるほど大きくなる。
同じ家で生活し一番近い夫婦という関係。近いから相手のことを何もかも理解しているかといえばそう簡単ではない。お互いが何を一番大事にしているか、それぞれ違うからだ。
結婚して50年の夫が妻から離婚を迫られるシーンはまさに夫が抱く社会通念上、寝耳に水であろう。しかし妻はまったく違った感覚しか持っていなかった。夫婦の関係性を描出するなかでこの挿話は非常に重たいものを弁護士の妻に突き付けた。
ラストシーンで岸井ゆきのが涙するシーンには胸がつまった。どこで間違えたのかという後悔の念が表情ににじみでている。夫婦は一番近い他人なのだ。
公式予告がほぼネタバレ
岸井ゆきの33才の現在にピッタリな役柄だと勝手に思う。 相変わらず...
岸井ゆきの33才の現在にピッタリな役柄だと勝手に思う。
相変わらず "泣き顔" もハマっている。
途中で司法試験に受からない夫タモツが弟夫婦がいる実家に帰り、妻に「こっちで暮らそう」と言うのに対して、離婚弁護士として大忙しの妻サチが「逃げてる」と言う下りが刺さってしまう。元々タイプが違う2人なのだ。
ダフル主演の宮沢氷魚(みやざわ ひお)は『騙し絵の牙』や『レジェンド&バタフライ』で見てたらしいが記憶にはほとんど残ってなかった俳優。今度でちゃんと憶えました。
予告編の空気と、俳優の2人が好きなので見る。ジェンダーもあるけど...
予告編の空気と、俳優の2人が好きなので見る。ジェンダーもあるけど、弁護士を目指す2人の関係性もある。
ただ、彼が弁護士になったから、問題は解消されたわけではなかったところに、現実の厳しさがあった。ただ彼が拗ねてたわけではなく、2人の決定的な相性の悪さはあったのだろう。
いいドラマだった。丁寧だった。
身につまされる…
大好きなのに
思い重い…
男女のあり方を考えさせられる巧いつくり
佐藤サチと佐藤タモツの2人が同棲し子どもができて結婚していく姿を描いた物語。好みが違うのにどこか気が合うという大学時代の2人はとても微笑ましい。でも、サチが社会人になりタモツが司法浪人を続けるあたりから関係性がおかしくなる。さらに、1人で勉強するタモツを支えようと、サチが一緒に司法試験の勉強を始め、サチが先に合格したことでさらにギクシャクしていく。
男のプライドって面倒くさいなと思う。いろんなことを「教えてあげていた」タモツにとって、サチに司法試験を先に合格されることが悔しいことは理解できる。自分は勉強を続けながら、弁護士として活躍するサチを見るのは本当につらかったと思う。地元の友達にすごいすごいとチヤホヤされたことでそちらに逃げたくなるのもわかる。多少僻んだとしても仕方ない。そんな気持ちで観ていた。
子どもができたことでタモツの負担が増えたのも同情できる要素だ。ただ、サチの負担も増えている。どちらがどうがんばっているということではない。だから、タモツが後半放つ言葉の数々があまりにも残念だった。そもそもお前が早く司法試験に合格しないからだろ!と思ってしまう。でも、サチが一方的な被害者かといえばそうとも思えない。サチの心ない言葉でタモツが傷ついたことはたくさんあるように見えたから。
最近の恋愛ものは女性の自立や生きづらさを描かないと成り立たない傾向にある。藤原さくら演じる後輩がサチのことを「佐藤さんは佐藤サチのままでいられる」と羨むシーンは、サチの奔放性を描いたように見えるが、夫婦別姓に対する問題提起のようにも思える。
夫婦や男女のあり方って難しい。浮気されて離婚しようとしていた後輩の女性や、離婚調停を行うサチのクライアントの男性たちの言動は、男女が真の意味でわかり合えない存在なんじゃないかと思わせるものだった。だからこそ、本作では男女の間にある溝に儚げでも橋みたいなものを架けてほしかった。いや、でもいろいろと考えさせられたことは確か。いい映画だ。
全60件中、21~40件目を表示
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