佐藤さんと佐藤さんのレビュー・感想・評価
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ボタンの掛け違い
目的と手段
自分の価値観を改めて確認。
様々な価値観と選択が描かれているので、きっと見た人それぞれに響く部分があると思います。
見終わった後、誰かと話したくなる映画でした。
(なので、試写会トークショー後の観客同士の交流会が楽しみでした)
主夫も珍しくない時代になりましたが、それでも“男の役割”“女の役割”といった社会的なバイアスがまだまだ根強く残っている。
佐藤さんと佐藤さんが結婚して、男女の役割(昭和的な価値観)が逆転することで改めて浮き彫りになる部分にハッとさせられますが、
それよりも当事者同士の中にも無意識に古い価値観が残っていて、結局は自分の内なる価値観に苦しめられていることが衝撃でした。
愛だけでは腹は膨れない。
日常生活を送る為には経済活動が必要だけど
そこには目的と手段が入れ替わる落とし穴がある。
映画のメインビジュアルに「⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎までの15年」と書かれているので、ネタバレではないと思いますが
もしラストが気になる方は読み飛ばしてください
↓↓↓
様々な価値観が広がる現代において“見方によっては”一周回ってド昭和な着地点に感じました。
そもそもサチはタモツが追いかける夢を叶える手助けがしたかっただけで、決して自分が追いかけたい夢を持っていたわけではない。
むしろタモツのパートナーとして一緒に日常を生きていくことが望みだった筈。
大好きな相手の夢を叶える為に協力したことが仇となり、結局自分の本来の望みは叶えられなかった。
(もちろん仕事にはやりがいも感じていたと思うけど)
いつのまにか目的と手段が入れ替わって、むしろ自分の当初の望みを犠牲にした形になったのではないか?
私は性格が悪いので、ついうがった見方をしてしまうのですが。「弁護士」という職業バイアスを剥がせば、夢を追う男に貢ぐだけ貢いで捨てられる女に見えなくもない。
「彼の夢が私の夢」と心底思えるのなら本望でしょうが。サチの場合はそうではない。
途中からはタモツの意思に関係なく「ここで諦めてしまっては、今までの私の努力(犠牲)が無駄になってしまう。」というプレッシャーに変わっていく。
タモツ側も世間の目というプレッシャーに加えてサチからのプレッシャーを受け続けた結果、ラストの決断になったのだと感じます。
自分を信じてくれたサチの努力を無駄にしない苦渋の選択。
結局、どちらかが何かしらの犠牲にならないといけないのか?
タイトルが思い出せませんが、
ロースクールに通う恋人をフルバックアップして、彼が合格したら、「次は私の番」と言って自分の夢に向かう映画があったなぁ。
実際、家事や育児は本当に大変な仕事です。
お金を生まないから軽んじられているけど、もっと評価されるべき!
サチもタモツも自分に手一杯の忙しさのなかで2人で家事をやりくりするけれど、
サチはお弁当に込められた愛情に気づかず、タモツも苛立ちを言葉に出来ず、負のループにハマっていく。
お互いに対するリスペクトがあれば、もっと違っていた気がしますが、心の余裕がない。
人生に夢や目的があるべきだとは全く思いませんが、人生を共に過ごしたいと思える相手に巡り逢えるなんて、そうそう無い。奇跡だと思って良いレベル。
家族になると、近すぎる甘えでつい言葉足らずになるけど、同じ目的を共有しあえていれば、手段はいくらでも微調整できる。
その都度お互いが向き合って、生活の優先順位を変えつつ自分たちのスタイルを作っていけば良いのだけど
やっぱり忙しすぎるのが問題ですよね。
共稼ぎで家事に追われて子育てするビジョンにはメリットが感じられない。
おひとり様でも充分幸せだし、時間もお金も全て自分のハンドリングできて、良くも悪くも自己責任で完結する。
結婚しない選択。子どもを持たない選択。
そりゃー、ますます少子化になるよ。
でも、2人で生きるって、嬉しさや楽しさが倍になって、悲しさや辛さが半分になるところにメリットがあるはず。
(家事の集約でタイパもあがるし)
そもそも別の人格の2人が一緒に住むのだから衝突もあるだろうけど
2人の多様性を受け入れられないようでは、世界平和は程遠い。
家族は社会の最小ピース(←単位と平和をかけてみた)
そんなわけで、トークショーの後の観客同士の交流をすごく楽しみにしていました。
とくにお隣りが男性だったので、どんな感想をお待ちだったのか興味津々でしたが
家族が発熱して帰ることに。
熱で辛い家族を看病したいから帰る選択をしたのであって、決して私は自分のやりたいことを犠牲にしていないと思いたい。
『ミセス・ノイズィ』でも心が揺さぶられっぱなしでしたが、天野千尋監督が『石とシャーデンフロイデ』の共同脚本で参加されていたと知りました!
きめ細やかで大好きな映画なので、具体的にはどんな風に参加されていたのか??ますますファンになりました。
主演の岸井ゆきのさん宮沢氷魚さんや中島歩さんが素晴らしいのは言うまでもなく、
とくに佐々木希さんとベンガルさんの説得力が素晴らしかった!!
あわい
先行試写会にて鑑賞。
同姓の男女の同姓から結婚、離婚までの時間を描いた作品ということで、映画としてはなかなか珍しい題材だなと思いながら、結婚する予定も願望も無い自分が観たらどう感じるんだろうとちょっぴり不安もあったりしたり。
予想はしていましたが中々にヘビーな作品でした。
幸せ2割不幸せ8割のようなギスギスした雰囲気の中にわずかに感じられる幸せを目一杯浴びられるのなら良かったんですが、それよりも先になんでこの人と同居できてるんだろうという不快感が勝ってしまい物語にうまいこと乗れなかったです。
保の沸点が低すぎるのが生活に支障をきたしたんじゃ無いかなーと何度も思ってしまいました。
不機嫌になるスピードがとんでもなく早いですし、「トイレットペーパー無かったよ」という言葉に自分が買ってくるように言われたと過敏に反応してキレる辺りから、これは保がだいぶヤバいやつなお話なんじゃと思ってしまいました。
弁護士試験が難しいのは様々なメディアや作品で取り上げられているので、何年もかかってしまうというのは重々承知なのですが、その大切な試験を一回放り捨てようとし、なんなら願書の提出を紗千に任せており、出した出せなかった問答で喧嘩にはなっていましたが、こればっかりは保が悪すぎない?頭おかしいんじゃない?となってしまいました。
あえて効率の悪い勉強の様子が見られるのも意図的だとは思うんですが、寝起きからの勉強なんて頭に入るわけないじゃないと笑ってしまいました。
実家に戻ってのNPO法人を立ち上げるーだとか、3人で移り住もうーとか戯言を吐いてるのも紗千の事はガン無視で自分優先で物事を発しているので流石に気色悪かったです。
紗千も言っている通り、完全に逃げているのにそれすらも正当化しようとする保には腹が立ちっぱなしでしたし、それを電話でサクッと伝える姿勢も嫌いでした。
しかも地元のえぇお姉さんに色目使っちゃってさぁ…保さんさぁ…とため息をついてしまいました。
紗千が多忙だったがために弁当を食べられなかった事を責めるのはまぁまだ…と思いましたが、その弁当を思いっきり捨てるシーンは流石に不快でした。
映画を評価する基準の一つとして、食べ物を粗末にしないというのがデカくあるので、ここは大減点でした。
そのせいもあって、保と紗千のその後の展開もなんだか綺麗なように見えて、やっぱ保が無理やり主導権を握ってなんとかしたようになって、なんやかんや紗千がやっぱり損してない?おかしくない?と疑問が晴れる事なく終わっていったのでモヤモヤしっぱなしでした。
地味に2人の子供が他の子供を積み木で殴り、流血沙汰になってる中々にヤベー状況があるのですが、その話は宙ぶらりんで夫婦の話し合い喧嘩になってしまっているので、子供のこの後怖すぎない…?と子供がいた事のない自分でも恐怖を覚えてしまいました。
そこについても突っ込んでいってほしかったですが、今作の主題はそこじゃないというのがもどかしいところ。
全編に渡っての空気のギスギスっぷりは主演2人の雰囲気作りが上手すぎるのもあっての賜物だったと思うので、キャラや展開に嫌悪感が生まれるのも当たり前なのかなと思いました。
自分には合わなかったのですが、人それぞれが歩んできた人生によって見方も変わってくるのかなと思いました。
鑑賞日 11/13
鑑賞時間 18:30〜20:24
観ていて辛い作品
試写会にて観賞
観ていて辛かった
何という作品を作ってしまったんだ笑
異性と付き合っていく、結婚する上で誰でも経験すると思う閉塞感ややりきれなさがとても丁寧に描かれていた
周りがやたら幸せそうに見えるとことか
付き合うって幸せや楽しさよりも自分が我慢したり自己犠牲のほうが多いと思う
岸井ゆきの(佐藤サチ)と宮沢氷魚(佐藤タモツ)の二人がまるで佐藤夫妻に憑依したかのようだった
特に岸井ゆきのさんの表情による描写は見事
ラストはやっぱりこうなるよね
タモツにとってサチの嫌みったらしい「養育費払えるの」は相当堪えたと思う
これこそ性格の不一致なんだろうね
「ほら、そういうとこだよ」って、どういうとこ?
ふがいない彼氏を支える彼女の物語はたくさんあるが、司法試験の受験を支えるために一緒に勉強し、妻の方が受かってしまうストーリーは面白い。さらに子どもが産まれ、家計のために妻は弁護士として活躍、夫は家庭でくすぶることになる。
無邪気で頑張り屋の妻の佐藤サチ(岸井ゆきのさん)が、無自覚に夫タモツ(宮沢氷魚)を傷つけていく。「合格おめでとう」が書かれたケーキのチョコを、不合格が分かった瞬間にパクっと証拠隠滅する。夫が丹精込めたお弁当を多忙を理由に手を付けず持ち帰り、処分されると「食べるのに!」と怒る。いろんな表情の岸井ゆきのさんが楽しい。
しかしこの映画、なぜかパズルの部品がひとつにまとまらないような感覚を覚えた。
まず時系列的に、今どのぐらいの絶望度や疲弊度を描いてるの?というのがはっきりしなかった。願書の締め切りに遅れるぐらいやる気を失い、試験をあきらめてNPOを始めると言い出したわりに、またふたりが固唾をのんで合格発表に臨むとは、感情のリズムがよくわからない。
笑顔の下に不満をためこみ、ついには…っていう爆発力がもっと作れたように思うのだ。
もうひとつ、タモツとの葛藤を描く映画のはずだが、サチにとっての衝突の種が意外にあっさり流されてしまっているようにも見えた。
子どもへの責任をタモツに任せ、母としての気持ちが見えにくい。 「一緒に故郷に引っ越して暮らそう」という提案はサチの弁護士としての仕事を軽視する発言でもあるのに、そこには噛みつかなかったこと。
つまり、サチは夫の合格を最優先して、結果的にそこに安住してしまったということだろうか。それに対し、「合格してから離婚する」とは! 男のプライドを守るための、情けないけれどすごい反撃だと思う。
結局誰が悪かったのかといえば、タモツの器が小さいのはもちろんだが、サチの愛もちょっと浅かったかもしれない。
主演お二人と監督の挨拶付きの先行上映で鑑賞。それもあってなのか、ストーリーよりもふたりの演技、表情が余韻として残りました。
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