「完全にデザインされた高品質エンタティメント」映画「F1(R) エフワン」 kozukaさんの映画レビュー(感想・評価)
完全にデザインされた高品質エンタティメント
今、モータースポーツ界で最も人気の高いF1が全面協力し、さらに人気の裾野を広げるべく製作された完璧なエンタティメント映画。
トップガン マーヴェリックの監督のジョセフ・コシンスキー、プロデューサーのジェリー・ブラッカイマー、脚本のアーレン・クルーガーチームで製作されており、考え方はほぼ一緒で戦闘機をF1に置き換えた。安易とも言えるが確信犯的安易であり、内容は文句のつけようがないくらい面白いのだから驚く。
過去にその世界でトップを目指せると言われたヒーローが何らかの理由で挫折し、その世界から姿を消したのが、熟年になってカムバックし今の時代の期待の若手と確執しながら、実は経験と叡智で組織を蘇らせ、若手からも信頼を得る。そこに恋愛要素も盛り込まれる、という正に雛形通りのストーリーでありながら、退屈せず引き込まれ2時間30分があっという間というマジックのような映画なのだが、それはなぜなのか・・
まずはF1が全面的に協力する舞台設定の緻密さリアリティ、そして魅力的なキャラクター設定の緻密さ。とりわけソニー(ブラッド・ピット)のキャラクターはブラッド・ピットならではで、彼以外にこの映画の主役は考えられないくらいにはまっている。
旧友でチームオーナーのルーベン(ハビエル・バルデム)はF1ドライバー時代のチームメイト、若手レーサーのジョシュア(ダムソン・イドリス)は黒人でマザコンのファッショニスタ。チーフエンジニアのケイト(ケリー・コンドン)は元宇宙工学のエンジニアからの転職で離婚歴のある女性(イケオジの大好物)とメインキャラクターが作り込まれて魅力的なところがストーリーは単純だが感情移入できるのだ。
そして最大の魅力は惜しみない費用を注ぎ込んだ完璧な映像にある。実際のF1パイロットやスタッフ、実際のグランプリに乗り込んだリアルな撮影。本物のレーシングカーをピットが運転し撮影したレーシングシーンにVFX。
ハンス・ジマーによる大音量の音楽、ビートはさらなる高揚感をもたらす。
逆に言うと大画面と大音量でないと面白さは半減する。
たった500円ほどの追加で観れるので強力にIMAXでの鑑賞を推奨する。
しかし、戦略的にこうした映画を製作できるハリウッドはやはりエンタティメント製作に関しては頂点であることにゆるぎない。
