「「トップガンマーヴェリック以来の「ハリウッドパワーフルスロットル‼️」(予習オススメです)」映画「F1(R) エフワン」 菊千代さんの映画レビュー(感想・評価)
「トップガンマーヴェリック以来の「ハリウッドパワーフルスロットル‼️」(予習オススメです)
一年に一本くらいはこんなハリウッドパワー全開!な映画が観たい。
F1を知らない映画ファンには「なんのこっちゃ?かもしれないが、それでも映像は凄い!」
全体のストーリーとしては、トップガンマーヴェリックを観た方なら「そもそもあって、無い様なもの」そんな感じだが、
深い事は考えず純粋に映像を楽しみ、F1のシートに座るってこんななんか!と興奮できれば充分かと思う。
正直、何十年もブランクがある還暦の元F1レーサーが復活し、インディでもGTでも無くF1のチャンプになるんて有り得ん事(そもそもライセンスが発行されないのでは?)だが、そんな誰もが『有り得んやろ!」と言われるのを一笑し、とにかく圧倒的な映像・VFX・サウンドを、浴びせまくって寄り倒す力技は「これぞハリウッド〜〜〜」
でも、これでいい。
映画館じゃなきゃ面白さの1/10も伝わらない作品だけど、絶対!邦画では撮れない“画”。
やっぱりハリウッドスゲーと思わせてくれる作品だ。
最初に「ストーリーが、あって無い様なもの」と書いたが、それはあくまで設定の話で、F1の戦略について何も知らない人には、なんのこっちゃ?となってしまうかもしれない。
映画で描かれたのはほぼ決勝レースの模様だが、基本的にF1は金、土、日の週末3日間、まずは金曜日にフリー走行が行われ実際にコースを走らせながらマシンのセッティングや戦略が組み立てられていく(本来マシン設計の段階からレースは始まってる様なものだが、ここら辺についてはかなり薄味)。土曜日の予選は決勝レースのスターティンググリッドを決めるためのタイムアタック。Q1、Q2、Q3の3回にわたって行われ、Q1とQ2のそれぞれでタイムが遅かった5台が順々に脱落し、10台によって競われるQ3で最速タイムを記録したドライバーがポールポジションを獲得できる。
(逆を言えば、Q3の走行をしているかどうかもその後のチーム戦略に影響するのだが、その辺りも今一つ触れられて無い)
日曜日の決勝レースは予選で決定したスターティンググリッドからスタートし、305km以上(約東京から名古屋くらいまで)の距離を80〜90分位で走り順位を決める(最高速度時速350kmオーバー。ちなみに、新幹線のぞみの東京〜名古屋間所用時間が1時間27分なので、どれだけ早いかなんとなく想像がつくかと思う。また、フォーミュラーカーの重量は軽自動車並み、飛行機の離陸速度が機体重量によって異なるが240〜280kmなのでダウンフォースが無ければ普通に飛んでしまう)
レース映像と共に、F1ならではの戦略・駆け引きが見どころではあるが、フォーメーションラップ(スタート前にコースを1周する)で、マシントラブルを演出してほかのマシンのタイヤが冷えてしまうのを狙ってスタートするところや、ジュシュアをサポートするため、何度もほかのマシンに接触して部品をサーキット内にまき散らし、セーフティーカーを走らせることで全車をゆっくり走らせるという荒技に、どれくらいのリアリティがあるのか本当のところを知りたいが、F1を運営しているFIA共同製作だという事を考えるとあながちフィクションと切り捨てられないのかもしれない。
そして、F1といえばピットストップ・タイヤ交換が必須!これはルール上決まっている。
各グランプリでひとりのドライバーが使えるのはソフト8セット、ミディアム3セット、ハード2セット(ソフトは「速いが消耗しやすい」、ミディアムは「バランス型」、ハードは「遅いが長持ちしやすい」)
決勝レースではこのうち、少なくとも2種類のタイヤを使わなければいけない(使えるタイヤも各GP毎に選択肢は限られてるので、映画の中でも色々なプランが設定されていた)。
また、タイヤはグリップ力を得るために柔らかいゴムででき、走れば走るほど減りも早い。より長持ちしてグリップ力のあるタイヤを使えば良い様に思うが、レース展開を面白くさせる為あえて長持ちさせないように設定されている訳で、そもそもトレッド(ゴム)の厚さも乗用車が30mmほどあるのに比べてF1では3mmしかないギリギリの状態、ただ早く走るだけでは無く、いかにタイヤを消耗させずに走るかも重要な戦略。
タイヤの選択・消耗がレースの鍵を握っていると言っても過言では無いし、タイヤをめぐる駆け引きがレースの醍醐味の一つでもある。
ラストアブダビの奇跡はまさにこのタイヤのおかげなのだが、予選走行の少ないAPXは未使用のニュータイヤが2本残っており、残り3周の再スタートでトップマシンと互換に戦う事ができた。その裏に何があり、ラストの奇跡がなぜ起こったのか、多少の予備知識が無いと意味がわからないかと思う。
そんな、予備知識があるか無いかで大分作品の見え方も変わってくるのかもしれないが、まあとにかく有無を言わせぬ圧倒的な映像はやはり凄いとしか言いようが無い。
・・・だからこそ、たいして必要もない女性テクニカルディレクターとのラブロマンスなんかが安っぽくて仕方ないのだが、間違いなく来年のアカデミー賞視覚効果賞の候補に上がるだろう。
(それにしても、今さながら「ゴジラ-1.0」よくぞアカデミー賞視覚効果賞取ったよな・・・としみじみ。人数は少なくても“こんな映像見せたる愛”の勝利)
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