「迫力の映像と音を体感!」映画「F1(R) エフワン」 ありのさんの映画レビュー(感想・評価)
迫力の映像と音を体感!
実際にサーキットで撮影されたレースシーンが迫力満点である。まるで自分もマシンに乗っているかのような臨場感あふれる映像と音に興奮しっぱなしだった。
アバンタイトルのデイトナ24時間耐久レースに始まり、オランダ、ベルギー、メキシコ、アメリカ、日本等々、世界各国のサーキットで展開される激しいレースシーンは、おそらくCGを駆使している個所もあるだろうが、かなり実写にこだわって作られているように見える。生の迫力を追求しようという製作サイドの熱意が画面から伝わって来た。
個人的に目を見張ったのは、ソニーが目の前を走るマシンを追い抜くカメラワークである。前方を向いていたカメラがすれ違いざまに後方へパンするカメラワークに度肝を抜かされた。時速300㎞を超えるとも言われるF1レース。撮影時には流石にそれよりも速度を落としていると思うが、相当早いスピードで走っていたことは間違いない。それを実写で追いかけて撮影するということが如何に凄いことか。これまでのカーレース映画では味わえないような映像体験ができた。
しかも、ソニー役のブラッド・ピット本人が実際に運転しているところまできっちりと映っている。紛れもなくこれが本物の映像だということがよく分かる。
また、レース中の駆け引きも中々面白く観れた。ソニーはギャンブル好きな性格ということで、彼のアイディアを活かした作戦がレースシーンをスリリングに見せている。リアリティという問題はさておき、モータースポーツに疎い自分のような者でも楽しく観れるように上手く工夫されていると思った。
ちなみに、今作の製作、監督、脚本、撮影といったメインスタッフは「トップガン マーヴェリック」とほぼ同じ布陣ということである。そのため、どうしても両作品を比較してみたくなる。
はっきり言って、プロット自体は「トップガン マーヴェリック」とほぼ同じである。
型破りなベテラン主人公が現役復帰して生意気なルーキーと対立しながら師弟の関係を築いていく。そこにちょっとしたロマンスがスパイスとして投入され、最後は勝利を掴むという流れ。これは完全に「トップガン マーヴェリック」と一緒である。ハリウッド映画らしいと言えばそれまでだが、正に王道の展開である。
ただ、「トップガン マーヴェリック」は「トップガン」という土台があった上での続編なので、36年越しのドラマチックさも相まってかなりエモーショナルな作品になっていたが、「F1/エフワン」は単体作品である。その点が大きく異なるように思う。似たようなプロットではあるけれども、本作の方が若干ドラマが薄く感じられてしまった。
中盤で”あるアクシデント”が描かれ、これが物語の流れを大きく変えるかと思ったのだが、そこまで活かしきれなかったのが惜しまれる。
キャスト陣では、ソニーを演じたブラッド・ピットの存在感。これに尽きると思う。還暦を超えて尚、自らアクションシーンを演じるというのは、同年代のトム・クルーズを意識してのことだろうか。今作にかける彼の意気込みがひしひしと伝わって来た。
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