「悔しいけど、これは満点」映画「F1(R) エフワン」 Yukさんの映画レビュー(感想・評価)
悔しいけど、これは満点
カネにモノを言わせたハリウッドエンタメパワーに押し切られてしまったようで何だか悔しい。完全に製作者の思う壺。高尚な味わい深い何かがあるわけではないが、何の文句も出ない。
F1の面白さを上手く抽出し(F1ファンがニヤニヤしてしまうツボだらけ)、ブラッド・ピットのカッコ良さは言うまでもなく、文句無しのスペクタクルと、熾烈な勝負の世界、心に深い傷を抱える中年男が、人生の最後の一搾りを賭ける悲哀とロマンを織り込んだ脚本。
ボロワゴンでの車中生活にコインランドリー、着古したTシャツにジーンズ、普通の60歳のおじさんがやると物悲しい光景だが、ブラピだと格好良くなってしまうのは不思議だ。
ライバルのドライバーや関係者が本人役で登場。F1チームの代表たちに芝居をさせていたのが面白かった(記者会見のシーンでマクラーレンとフェラーリの代表に喋らせたり、最後にピアースに声をかけるメルセデスチーム代表もホンモノなどなど)。最後の表彰台シーンは、ホンモノのアブダビグランプリ表彰式の直後に観客もそのままで撮影されて話題になっていた。やたらと花火が上がってるのも映画用ではない。
本物のF1の世界に、”エイペックスGP”が溶け込んで戦っているという構図がこの映画の一番良いアイディア。
F1ファンじゃない人も、この嘘っぽくない雰囲気を感じたのでは。
7度のチャンピオン、ルイス・ハミルトンが、編集した走行シーンの全てをチェックして、音を含めて監修したとか。ブラピがこの映画のためにトレーニングを始めたのもハミルトンのアドバイス。
ハンス・ジマーの音楽は毎度お馴染みのドコドコシンセビートだが、映像を盛り上げる仕事としては一級品。
主人公ソニー・ヘイズが追い求めるのは、栄誉でも富でもない。ドライブする喜び、快楽ともいうべき境地を選択した清々しいラストも良い。
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