「劇場で「体感」すべき映画であることは間違いない」映画「F1(R) エフワン」 tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
劇場で「体感」すべき映画であることは間違いない
レーシングカーに設置したカメラによってブラッド・ピット本人がそれを運転していることが分かる映像のみならず、一匹狼で向こう見ずな主人公のキャラクター設定にしても、「トップガン マーヴェリック」を彷彿とさせるのは、この映画の宣伝文句のとおり。
CGによる映像処理は、当然しているに違いないのだが、それを感じさせないほどライブ感に溢れたレース・シーンは見応えがあるし、鈴鹿をはじめとする世界各国の実際のサーキットコースでのロケも、「本物」感を高めている。
主人公が、レース中に音が消え去り、空を飛べるようになることがあると語ったところで、クライマックスでは、こうした「ゾーン」に入った主人公の走りが描かれるのだろうと予想できるし、実際にそうなるのだが、それでも手に汗を握ってレース展開を見守ってしまうのは、やはり、臨場感と迫力に満ちた映像に引き込まれるからだろう。
タイヤの種類とその交換時期に関する戦術だけでなく、ピットを出る時に狙いを定めた車の行く手を阻んだり、車体や看板の破片をコース上に散乱させてレース全体のベースを落としたりといった、反則まがいの手口があることを描いているのは興味深いし、クラッシュによる離脱を含めて、レースの結果を左右するのは、マシンの性能やドライバーの運転テクニックだけではないということも分かって、カーレースの奥深さのようなものも感じることができた。
物語としては、ベテランと若者の確執にしても、主人公が命の危険を顧みずにカーレーサーに復帰した理由(ただ好きだから)にしても、美人のテクニカル・ディレクターとのロマンスにしても、どこかありきたりで掘り下げ不足の感が否めないし、チーム内の話に終始して、ライバル・チームのドライバーの顔さえ分からないため、レース・シーンがドラマとしての盛り上がりに欠けるのも、物足りないと言わざるを得ない。
その一方で、この手のカーレースを題材とした映画には必ずあると言っても過言ではない「レース中に登場人物が事故死する」というエピソードが無く、人の死で感動を演出するといった安易な手法が用いられていないところには、好感を持つことができた。
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