映画「F1(R) エフワン」のレビュー・感想・評価
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嫌いな人を探す方が難しい王道胸熱映画
ストーリーに特に斬新な点は見当たらないTHE王道。
トップガンマーベリックチーム制作ということもあって、構成は似ている。全盛期を過ぎた常識破りの主人公✖️生意気若者が徐々にチームになって目標達成をするというフォーマット。
「先の展開が読めないー!どうなるのー!」みたいなドキドキ感は皆無。
でも良いんです。
こういうサクセスストーリーは何度見たって感動するし、胸が熱くなる。嫌いな人なんていないんだから。
ただ、THE王道だからこそ、一歩間違えれば一気につまらなくなる。そこがF1は見事すぎた。
脚本のセンスが光る言葉選び。
ここぞというところでピタリとハマる音楽。
まるで自分がレーシングカーに乗っているかのような、臨場感あふれるカメラワーク。
トドめに、還暦を迎えたなんて信じられないイケおじの見本のようなブラッドピットが完璧に演じる魅力溢れるソニー。
全てのピースが完璧に近くて、最後のクライマックスはあまりのおもしろさにニヤケ顔が止まらなかった。口元で手を覆って見たぐらい。
F1についての知識は「グランツーリスモ」で見た時に得た知識ぐらいしかなかったけれど、十分に楽しめた。
むしろ、F1というスポーツを通して、チームビルディングの仕方や、結果を残すために、愚直にひたむきにやれることは全部やる姿勢、周りの意見を聞き入れ謙虚になることでの成長、いろんなことを学べた。
それにしても、ブラピといい、トムクルーズといい、人類の60代は高齢ではなくなったのか?本当にすごい。
ただ、ひとつ作品でネガティブなことを言うとしたら、ハリウッドお得意のいきなりのロマンス展開。
「よ!!出ましたー!!」と脳内でかけ声あげました。その点も王道を貫いていました笑
“地上版トップガン”の名に偽りなし!〜超高速エンタメ×ブラピ神降臨 〜
謳い文句も完璧👌
『主演ブラッド・ピット×映画「トップガン マーヴェリック」の製作陣× F1® 🏁の全面協力!』
とあらば、
これは鑑賞するしかありません😎
今月(2025年6月)は、トム・クルーズの『MI:ファイナルレコニング』に始まり、
吉沢亮×横浜流星の『国宝』、実話ベースの『フロントライン』と、話題作が多かったせいか、日曜昼の映画館はチケット発券すらひと苦労の大混雑😅
コロナ禍で閑散としていた頃を思えば、嬉しい活気が戻ってきたようで、ちょっと感慨深い🤫
さて、
映画予告編の間になんとかチケットを発券し、座席にライドオン🏎️
スタートシグナルを待つ。
赤いランプが5つ点灯し、次の瞬間消滅したら、F1レースの一斉スタート合図🏁
そのレース内容はというと🤫
まさに“王道”といった内容でございました😎もちろんいい意味で。
2025年最高レベルの超高速“体感”エンターテイメント!!
まさに地上版『トップガン』。
その謳い文句に偽りなしです!!!
特に素晴らしかったのは、最新技術のカメラワーク。まるで自分がF1レーサーになって運転しているかのようなあの体感は他では味わえません。映画ラストの3周は手に汗握りながら、きっと神に祈りを捧げたくなるはず🤫
そしてやっぱりこの人、主演のブラッド・ピット。トム・クルーズ同様、ハリウッドには超人級の中年スター🌟俳優が健在だ。「中年の憧れ」というには烏滸がましく、まさに「神」と崇めたくなるような肉体と精神の持ち主たち。あんな60代身近にいたら、そりゃ惚れるでしょうよ、モテるでしょうよ😎
ラストのストーリーに変化球は入りません!!!
コレでいいし
コレがいいんです😎
ただひとつ
公開時期が悪かった?まだ「トップガン マーヴェリック」の記憶も新しく、トムの最新作とも被ってる😅
「中高年後押しムービー」、ほんの少しだけ渋滞気味ということで、満点ならず🤫ですが…
これらの作品をまだ一度もご鑑賞になったことのない貴方でしたら、本作が人生最高の一本になる可能性もある良作映画です🎬
ぜひ映画館でのご鑑賞をおすすめします🏁
ブラピと最新技術に導かれ、映画館でF1マシンのコックピットに座る
F1の知識ほぼ皆無なので、レースの戦略的な部分については説明された以上のことはよくわからず、映像の迫力とドラマ、ブラピとハンス・ジマーを楽しむことに全振りした。
F1ファンの鑑賞に堪えるものであると同時に、F1をよく知らない層にレースへの関心を持ってもらうこともコシンスキー監督の念頭にはあったそうだ。確かにこの飛ぶようなマシンのスピードに没入できる主観映像は、F1の魅力はこういうことなのかもしれないと感覚的に想像させてくれる。
マシンが生み出すスピードのスリルと爽快感。準備段階からレース中の情報戦に至るまで、想像以上に大人数のスタッフが関わるチームスポーツであることの難しさと奥深さ。そこに垣間見える人間ドラマ。
自分の顔の映るカットは全てブラピ自ら運転するという体を張った撮影だったそうだが、数ヶ月の訓練で実際のコースを時速320kmで走れるところまで持っていく(しかも運転しながら演技もする)のは並大抵のことではないはずだ。同じ課題をクリアしているJP役のダムソン・イドリスももちろんすごいが、撮影当時20代前半のダムソンに対し、ブラピはアラ還ですよ……トム・クルーズみたいにそういうことばっかりやってきたわけでもないし……それでもやり遂げてしまうところにスター俳優のプロ意識の高さを感じる。
ひと昔前のIMAXカメラといえばホイテ・ヴァン・ホイテマがえっほえっほと担いでいるイメージだったが、今回はついにF1マシンに搭載できるまでに小型化された。しかもぐりんっと回る。Appleのエンジニアチームが、本作撮影のために新たにオンボードシステムを開発したという。
「観客をF1マシンの中に入れる」というのがコシンスキー監督の本作における目標だったそうだが、本当にF1マシンに乗せられたかのような臨場感とスピードを目で感じることができる。
メインキャスト2人の挑戦と最新の映像技術によって、F1ドライバーの視点で見るレース、クライマックスでソニーに訪れるゾーンの感覚までも映画館で擬似体験できる、まさに映画館で体感すべき映画だ。
本作は地上版トップガンと宣伝されていて、確かにドラマ部分の大筋は本作と同じコシンスキー監督作品でスタッフも重なる「トップガン マーヴェリック」と何かしらかぶるのだが、主演2人、トムとブラピの個性は対照的だ。
これは完全に私の主観だが、トムはポジティブに頑張って不可能を超える姿がカッコいい(イーサン・ハントに引っ張られてます)。一方、ブラピは肩の力の抜けた、アンニュイな色気が魅力。
そして、ブラピのこの魅力は年齢不相応になるということがない。ソニー・ヘイズに扮したブラピはスタイルも筋肉もそこらのアラ還では遠く及ばないほど若々しいが、頬や目尻には相応の皺が刻まれ、ソニーが老兵扱いされることを自然に見せている。それでいて、彼の色気は質的に若い頃からほとんど変わらないし、そこに無理がない。多分彼は、若さを保つ努力ではなく、カッコよく年を取る努力をしているのだと思う。
物語の方はある意味典型的な、ミドルエイジに勇気を与える系ドラマだ。
ソニーの過去についてさらっと説明はされるものの、彼自身が心理的にどんな苦痛や葛藤を経験したかはほとんど触れられていない印象で、そのせいかキャラクターとして感情移入させる引力に今ひとつ欠けたのは残念なところ。その欠落をブラピのスターオーラが補っている感じだった。
ソニーがレースで自ら上位に食い込んで結果を出すのではなく、汚れ役を買って出てチームの成績を押し上げる展開は主人公の振る舞いとしては意外で面白かった。
ケイトと恋に落ちるくだりはベタな展開。カードゲームで負けて見せてラブシーンに持ち込む、あの展開に納得感をもたらすことができるのはソニー設定のブラピしかいない。ブラピはドライビングだけではなく、こっち方面でも見た目以上に高度なことをやっている。
ラストはしっかりソニーが結果をさらっていく。若干非現実的過ぎる気もしたが、ミドルエイジ応援歌なのでこれでいい。
そして、流しの運転手……じゃないプロドライバーに戻り楽しく生きてゆくソニー。はーカッコいい。ブラピは本物のスター。
Pitt in Time
そもそもオレはスポーツ(を題材にした)映画はあんまり好きではない。カーレースについては、世間では近年は「グランツーリスモ」(’23)「フォードvsフェラーリ」(’19)、「ラッシュ/プライドと友情」(’13)あたりが名作と言われているけど、オレがこれらを楽しんだとしても、その対象は「レース」ではない。登場人物の葛藤などのドラマであり、不謹慎であるのは十分承知だが、「クラッシュ」にときめく。なので、「カーレース」でなく、「カーアクション」なら発奮剤として、オレの中では有効。
車を愛でる趣味のないオレにとって、カーレース映画といえば、クルーズの「デイズ・オブ・サンダー」(’90)一択。クルマでなくって「スター」を愛でる。スタイリッシュな映像演出、サントラな音楽。有望なキャラクターが登場し、MAKE LOVEして、中盤挫折して、奮起して、イエイ!なシンプルなストーリー。そしてちょうどいい上映時間(107分)。
今回、本編開始前、本作のサントラの宣伝が写された。サントラの宣伝っていつ以来よ?
胸が高鳴る。オレのただ唯一の不安点は「F1」であること。いやいや、「戦闘機」は知らなくとも、「トップガン」(’86)は楽しかったじゃないか。
本作、F1界の全面協力を受けて製作、その裏には非常に厳格な条件、制約と交渉があったとのこと。F1を危険なスポーツとして誇張しないこと、実在チームに誤解を与えない、各グランプリでの撮影にはFIA、主催者、チーム、スポンサーとの個別契約が必要、などなど。
つまり、「F1」という世界を映画にするには、これだけの制約、そして「ホンモノ」を見せるには、ドライバーの訓練、精神状態の表現、マシンの本気度、(オレが不謹慎に期待する)クラッシュシーンのストーリーボードに1年を費やすという、リアルな追及の上に成り立っている。
そして、「映画」側のスタッフもコジンスキー監督組の「リアル」のようで、「トロン:レガシー」(’12)、「オブリビオン」(’13)で発揮した機械工学畑の「グラフィック」な映像(黒と白のエクスタシー)、サントラと言えば、の(うるさくないほうの)ハンス・ジマー、そして「スター」ブラッド・ピット。その役作り。
もう万全の体制。
そう、本作クルーズの「トップガン マーベリック」(’22)のオジサン応援歌を、「デイズ・オブ・サンダー」でやりました、という、オレ大喜びの企画。
「F1(R) エフワン」
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ピットかっこいい、(リアルとは別次元の)黒と白のエクスタシーがとんでもなく美しい。
だが、このシンプルなストーリーに、155分は要らない。コンセプトは80-90年代のMTVなムービーなのに、155分は長い、長い。スポンサーを映すのに合わせて155分かかったんじゃねえか、と勝手に想像してしまう長さだ。
レースに興味のないオレとってみれば、「変化が分からないレース映像」に飽きてしまった。実際、CGもふんだんに使われており、俯瞰で観る画は、スピード感はなくなる。「本物」にこだわることと、映画で「表現」するレースの持つ疾走感、爽快感の体現は違う。上映時間がさらにそれを損なってしまっている。
映画の持つファンタジーと本物を両方突き詰めた結果、仕方のないことかもしれない。いわゆる倒すべき「敵」は作れない、クラッシュシーンは「スポーツ」の範囲内。オレが楽しむ映画ではなかったということ。
ただ、オレが個人的に一番かっこいいと思う、ピットの「声と間のとり方」を観るだけでも十分楽しいんだけどね。
「これだけ」で100分とかだったら、オレの中ですごい映画になってたんだけど。
追記
お前が勝つんかい。
この辺も中年過ぎたクルーズとピットの違いでもあるよね。クルーズはスターとして尊敬するが、ピットの「憧れるニキ感」は増していてとてもうれしい。
映画『F1/エフワン』のこと
★このレビューは配給会社のご案内を受けて鑑賞して執筆しています。
ネタバレの記述も多々ありますので、まだ本作ご覧になっていない方は、
ご鑑賞後にご一読いただけますと幸いです。
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車上で暮らすロートルのレーサーがデイトナで勝利する。生活はグダグタだが彼のテクニックは本物だ。次はどこで走るか、地図を見つめる彼の元にかつての仲間がやってくる。F1の運転席を用意したイギリスに来てくれ。単刀直入な申し出を受けた彼はサーキットへと向かう。
連戦連敗でポイントゼロのチームには、天賦の才を持つ若者がいる。一匹狼で自分のスタイルを貫く男とは相容れない。当然のように二人は衝突を繰り返す。勝つためには手段を選ばない。型破りな走行でチームを振り回す男と血気盛んに突っ込んでいく若者。連敗が続く中で、男が入賞し初のポイントを得る。
誰よりも早くサーキットに到着した男は独りで黙々と走る。レース前のミーティングでは勝つためのプランC(通常はAとBの2プランが目安)を呈示する。レースを型でとらえるのではなく、サーキットを走るドライバー視点で考える。その行動と言動を懐疑的に受け止めていたスタッフはレースを重ねていく過程で男を認めていく。自ずと男の傍らを併走するクルーの数が増えていく。
才能豊かな若者には勝つための経験が足りない。マシン、タイヤ、天候によるコースコンディションの変化、ライバルチームたちの動き。レースの行方を左右するあらゆる要素を俯瞰し、勝つために自分がなすべきことを見極める。無線を通じて耳に届く男の言葉がチームの仲間たちを動かしていく。やがてトップを狙える絶好のチャンスが訪れる。
「コーナーの先まで待て。そしてトップを獲れ」——男の言葉を耳にしながらも、若者は一気にアクセルを踏み込む。
夢、友情、信頼、相克、寛容、勇気、挑戦、成長、愛。不信、敵対、失意、欺瞞、後悔、自責。そして、尽きることのない試練と未来への希望。
この作品には多彩なテーマが詰め込まれ、古き良き王道の世界観で、最先端の戦いに生きる人々を描く。憎まれっ子が愛されキャラへと変貌していく。そしてその先に…、まるでお手本のような脚本だ。
選曲のセンスも粋である。開巻と同時に鳴り響くのは、我らがレッド・ツェッペリンの「Whole Lotta Love」、続く何曲かの後にクイーンの「We Will Rock You」。その後に数曲入り、ここぞのタイミングで劇伴が肝になる。歌詩のないハンス・ジマーの電子音が反復する旋律が観客をスクリーンに没入させる。
その瞬間に空を飛んでいる。
——なぜ走るのかと問われた男は、数多くのレースの走行中に、何ものにもとらわれず“忘我の瞬間”が訪れるのだと明かす。この台詞を違和感なく口にできる俳優はそうはいないだろう。多分にロマンティストなこの言葉を、良い意味でヌケヌケと口にできるブラッド・ピットはさすが、と言うべきか。
ブラピが演じるこの男は、肝心なことは口にしない。具体的な説明を受けるのではなく人を見て考え、行動と言葉の裏にある真意を見極めろと教えるのだ。克服すべきことが生まれたときにこそ学びの時が訪れる。そのためには本人の意識の目覚めが不可欠だ。そのことを最も理解しているのがこの男なのだ。
この作品が『トップガン マーヴェリック』になぞられる理由は実はここにある。音速で飛行する戦闘機と時速300キロを超えるF1マシンを動かすのは人である。共に常識から逸脱した人物を主人公に据えた両作品が描くのは、人を動かすための秘訣なのである。戦闘機もレース車両も独りの力では動かすことができない。勝つために、走り続けるために、自分は何をすべきなのか。その答えは映画の中にある。
ブラピのいちばん良いところが出た。おそらく生涯の代表作となるのでは。
これは申し分ない出来。スクリーンに吸い込まれそうなほどの圧倒的な臨場感に目が眩む。だがそれに輪をかけて興味深いのは、輪廻のごとき映画史の繰り返しだ。かつて『トップガン』のブラッカイマー、スコット、クルーズが『デイズ・オブ・サンダー』を手掛けたのが35年前。今回『マーヴェリック』の大成功を経て、尽きぬ情熱を燃やしたブラッカイマー&コシンスキーらはまたもカーレースの境地へ飛び込んでいるわけだ。そこにクルーズの姿はないが、本作の主軸が同世代でありながら演技アプローチの全く違うブラピというのが最高に面白いところ。言葉ではなくむしろ空気感やニュアンスを大事にする彼の牽引力によって、底知れぬ”生き様”を感じさせる一作に仕上がっている。チームの物語でありながら、描かれるのは圧倒的な個どうしが繋ぐ絆。"See you down the road."という言葉が互いへの限りない敬意を示しているように思えた。
ブラッド・ピットの決めポーズと決め台詞に痺れる
F1(R)の全面協力の下、世界チャンピオンにも輝いた現役F1(R)ドライバーがプロデューサーとして参加し、本物のサーキットコースで撮影したというカーレース映画は、だからと言って、「なるほど本物だ!」となるほどこちらに正しく比較検討する知識がない。ここ数年、同じくスピードレースを舞台にした作品、例えば『ラッシュ プライドと友情』(2014年)や『フォードvsフェラーリ』(2020年)や『フェラーリ』(2024年)等、実在のドライバーや企業オーナーに特化した作品の方が、より入りやすかった気もするし。そんな風に物語の前半はただただ臨場感を楽しむだけの時間が動体視力を試すかの如く過ぎていく。
しかし、ブラッド・ピットが演じる伝説のドライバーが仲間のために現役復帰を果たしてより個性を発揮し始めると、なんとなんと、映画は問答無用にピットのかっこよさを堪能する作品へとシフトしていく。ところどころの決めポーズと決め台詞は、そう、『トップガン マーヴェリック』(2022年)でトム・クルーズがやっていたスターだけに許された演技パターンの踏襲だ。同じ製作チームが関わっている本作を"陸のトップガン"と呼ぶのは、そんなわけで理に叶っているのだ。
今や年に数本しかない正真正銘のハリウッド大作が猛暑の夏を駆け抜けていくのだ。
撮影技術の進歩で、レース場面のリアルさ、迫力、没入感が増した
ありがたいことに池袋のIMAXで実施された試写会で鑑賞できたのだが、"Filmed For IMAX"の謳い文句通り、IMAX独自の1.90:1拡大アスペクト比で全編上映される映像の迫力と没入感が抜群にいい。もちろん、レース中のエンジン音なども体感に大いに貢献しているので、なるべく音響設備の良いスクリーンを選ぶほうがいい。私自身はモータースポーツに詳しくなくカーレース映画にもあまり思い入れがないが、クルマ好き、カーレース好きなら相当満足度が高いのではないか。
ジョセフ・コシンスキー監督のインタビューなどによると、撮影のために(F1カーよりコストが安い)F2カーを6台購入してF1の車体に見えるよう改造し、新設計のものを含む小型カメラを車1台につき最大4基搭載したという。主人公ソニーを演じるブラッド・ピットも自らハンドルを握ってサーキットを走ったことで、視線の動きから振動による皮膚の微妙な揺れに至るまで、極限状態のドライバーの表情が極めてリアルにとらえられている。
これはカーレース好きには常識かもしれないが、F1マシン自体をはじめ、車体開発、トレーニング、ピットの設備などレースに関わるさまざまな部分に最先端の科学技術が応用されていることにも驚かされた。トレーニングに関しては、アナログ世代のソニーがテニスボールで反射神経を鍛え、ジョギングでサーキットを一周してコースのコンディションなどを確かめるのに対し、同じチームの新進ドライバー・ジョシュアがハイテク機器を駆使して身体能力の向上と走行のシミュレーションに取り組むという対比が効いている。最初は反発していた若手が、いろいろあって次第にベテランに感化されていく流れも、ありがちとはいえ王道ならではのよさがある。
個人的に引っかかったのは、ソニーが自分やチームメイトの順位を上げるために仕掛けるグレーな戦法。規則違反ではないのだけれど、競っている他チームの車に故意にぶつけてセーフティーカーが出る(全車が減速する)状況を作り出すような、いわば規則の脆弱な点をハックして有利に戦おうとする、その姿勢がどうなんだろうと。勝つためには手段を選ばないスタイルはトランプの時代を反映した現実主義かもしれないが、「ヒーローは高潔であってほしい」との願いは理想主義的なメンタリティだろうか。この点が日本でどう受け止められるのか興味があり、見守っていきたい。
トップガン
F1®/エフワン 映画レビュー
ジョセフ・コシンスキー監督が手掛けた『F1®/エフワン』は、モータースポーツの最高峰であるフォーミュラ1の世界を舞台に、圧倒的な映像体験と普遍的な人間ドラマを融合させた野心作。その完成度は、コシンスキー監督の前作『トップガン マーヴェリック』で培われた、実写とCGの境界を曖昧にする革新的な映像技術をF1に持ち込んだ点で際立つ。F1マシンの時速300kmを超えるスピード感、エンジンの轟音、そしてドライバーにかかるGの重圧が、IMAXカメラを駆使した撮影と現役F1ドライバーとの連携により、観客をコックピットに引きずり込むような没入感を生み出す。特に、実際のF1レース中に撮影されたシーンの臨場感は、映画史に残るレベルと評される。
一方で、物語の骨格を成すドラマ部分には、スポーツ映画の王道を行く展開が見受けられる。ベテランと若手の世代交代、あるいは再起の物語というテーマは、観客に親しみやすいものの、時に予測可能な展開となり、キャラクターの葛藤や成長が映像の迫力に比してやや浅いという指摘もある。しかし、それはエンターテインメント性を最大限に引き出すための選択とも解釈でき、F1ファンのみならず、F1に馴染みのない観客でも、その圧倒的な映像と音響、そして普遍的なテーマによって十分に引き込まれる。本作は、F1という特殊な世界を、映画という媒体を通して最大限に魅力的に描き出した点で、商業的成功と芸術的評価のバランスを高い次元で実現した作品と言えよう。
ジョセフ・コシンスキーの監督手腕は、本作においてもその真骨頂を発揮。彼が最も得意とするのは、現実と見紛うばかりのリアリティを追求した映像表現。F1という高速かつ危険なスポーツのダイナミズムを、IMAXカメラによる息をのむようなショット、そして実際のF1チームやドライバーとの綿密な連携によって見事に捉える。特に、カメラを車両に直接搭載し、時速300kmを超えるスピード感を体感させる演出は、映画史に残るレベル。レースシーンにおける音響デザインも特筆すべき点であり、エンジンの咆哮、タイヤのスキール音、そして風を切る音など、一つ一つの音が緻密に計算され、観客を興奮の渦に巻き込む。キャラクターの心情を、言葉ではなく目線や距離感で演出する手際も巧み。
ブラッド・ピットは、かつて輝かしいキャリアを誇りながらも低迷するベテランF1ドライバー、ソニー・ヘイズという複雑な役どころを、その円熟した演技力で繊細かつ力強く演じきる。彼の演技は、過去の栄光への執着、年齢による衰え、そして若手への嫉妬と期待がない混ぜになった心情を、表情の細かな変化やセリフの間の取り方から見事に表現。特に、引退を迫られながらも再びレースに挑むことを決意する際の、内なる情熱と諦めが入り混じった眼差しは観る者の心を掴む。F1という過酷な世界で生きる男の苦悩と葛藤、そして決して折れない精神力をリアルに描き出し、単なるカッコいいベテランではない、その背後にある人間的な弱さや脆さをも見せつけることで、観客に深い共感を抱かせる。彼の存在感はスクリーン全体を支配し、観客をF1のコックピットに引きずり込む。
ダムソン・イドリスは、新進気鋭の若手ドライバー、ジョシュア・ピアースとしての野心と、ベテランへの尊敬、そして彼自身の葛藤を等身大で演じる。彼の演技は、若さゆえの荒削りさ、感情の起伏の激しさ、そして勝利への強い渇望を瑞々しく表現。特に、先輩ドライバーとの間に生まれるライバル意識と、同時にリスペクトを抱く複雑な感情の機微を、繊細な表情の変化で巧みに示す。彼の存在は、世代交代というテーマに説得力を持たせ、物語に新たな活力を与える。
ケリー・コンドンは、チームの戦略家として、知性と冷静さを兼ね備えた女性像を説得力を持って演じる。彼女の演技は、感情を表に出すことは少ないものの、チームへの深い愛情と、勝利への強いコミットメントを、その眼差しや、時折見せる決意に満ちた表情から感じさせる。男性社会であるF1の世界で、自身の役割を全うしようとする彼女の姿は、物語に奥行きを与え、レースの裏側にある人間ドラマを豊かにする。
ハビエル・バルデムは、ベテランチームオーナー、ボーデン・ベルナールとして、その存在感と深みのある演技で物語に重厚さを加える。彼の演じるオーナーは、チームの成功とドライバーたちのキャリアを見守る一方で、F1ビジネスの厳しい現実と向き合う人物。バルデムは、冷静沈着な判断力と、時折見せる人間味あふれる表情のコントラストを通じて、F1という過酷な世界におけるリーダーの孤独と責任を見事に表現する。彼のわずかな表情の変化や声のトーンから、長年の経験に裏打ちされた知恵と、若き才能への期待、そしてF1への深い愛情が伝わってくる。
『F1®/エフワン』の脚本は、F1という特殊な舞台設定を最大限に活かしつつ、普遍的な人間ドラマを描こうとする意欲作。その核となるのは、F1ドライバーたちの葛藤、特に世代交代と再生というテーマ。かつての栄光を取り戻そうとするベテランと、新時代の波を象徴する若手ドライバーの対比は、スポーツ映画の王道とも言えるが、F1という極限の状況下で描かれることで、より一層の緊張感とドラマ性を生み出す。
ストーリーは、かつて輝かしいキャリアを誇りながらも、近年は低迷している主人公が、新たな才能を秘めた若手ドライバーと出会い、彼を指導しながら自身の再起をも目指すという構成。この師弟関係、そしてライバル関係へと発展する人間模様は、物語に深みを与え、観客の感情移入を促す。特に、レース中に発生するアクシデントや、チーム内の策略、あるいはメディアからのプレッシャーといったF1特有の要素が、ドラマを一層盛り上げる。
しかし、物語の展開においては、いくつかの点で予測可能性が否めない。ベテランの復活劇、あるいは若手の台頭といった展開は、ある意味でスポーツ映画の「お約束」であり、斬新さに欠ける部分も散見される。また、登場人物の葛藤や背景が、時に表面的な描写に留まってしまい、その深層心理まで掘り下げきれていない印象も受ける。例えば、主人公が抱える過去のトラウマや、若手ドライバーの秘めたる才能の源泉などが、もう少し掘り下げられていれば、より感情移入できたかもしれない。それでもなお、脚本はF1という世界に深い敬意を払い、その魅力を余すところなく伝える。レースの戦略、チーム間の駆け引き、そしてドライバーの心理戦など、F1の奥深さが丁寧に描かれる。また、ヒューマンタッチな要素も盛り込まれており、単なるレース映画に終わらず、人間関係の複雑さや、友情、そして家族愛といった普遍的なテーマにも触れている点は評価できる。特に、クライマックスのレースシーンは、これまでの物語の伏線を回収し、圧倒的なカタルシスをもたらす。
本作の映像は、ジョセフ・コシンスキー監督ならではの、研ぎ澄まされた美学が貫かれる。F1マシンのフォルム、サーキットの壮大なスケール、そしてレース中のドライバーの表情など、細部に至るまでこだわりが感じられる。IMAXカメラの性能を最大限に引き出し、観客をF1の世界に文字通り引き込むような没入感は、他の追随を許さない。美術に関しても、F1ピットのリアルな再現度や、チームのガレージ、そしてホスピタリティエリアのデザインなど、F1の世界観を忠実に、かつ魅力的に構築。衣装においても、各チームのレーシングスーツやピットクルーのユニフォームなど、細部に至るまでこだわって作られており、視覚的な情報を通してF1の世界観をより一層深める。
編集は、本作の心臓部。特にレースシーンにおける編集は、観客を飽きさせない巧みなリズムとテンポを生み出す。ハイスピードなF1マシンの動きを、瞬時のカット割り、そして異なる角度からのショットを組み合わせることで、速度感と緊張感を最大限に高める。また、レース中の緊迫した状況と、ピットの戦略会議、そしてドライバーの心理描写などを交互に挿入することで、多角的な視点から物語を紡ぎ出し、観客を飽きさせない工夫が凝らされる。ドラマパートにおいては、登場人物の感情の機微を丁寧に拾い上げ、物語の流れをスムーズにする。全体の構成においても、緩急のバランスが絶妙で、観客を飽きさせない工夫が随所に凝らされる。
本作の音楽は、ハンス・ジマーによるスコアがF1の壮大な世界観をさらに盛り上げる。彼の音楽は、レースの興奮を煽るだけでなく、登場人物の感情の動きを繊細に表現し、物語に深みを与える。特に、レース中の音楽は、アドレナリンを刺激するようなアップテンポな曲調から、緊張感を高めるような重厚なサウンドまで、様々な表情を見せる。音響デザインは、本作の最大の魅力の一つ。F1マシンのエンジンの咆哮、タイヤのスキール音、そして風を切る音など、一つ一つの音が非常にリアルに、そして立体的にデザインされる。IMAXシアターで体験すれば、F1マシンの走行音に全身が震えるような臨場感を味わえるだろう。主題歌は、作品の世界観にマッチした力強い楽曲であり、映画全体のトーンを決定づける重要な役割を果たす。
作品
監督 (作品の完成度) ジョセフ・コシンスキー 112.5×0.715 80.4
①脚本、脚色 アーレン・クルーガー B+7.5×7
②主演 ブラッド・ピットB8×3
③助演 ダムソン・イドリス B8×1
④撮影、視覚効果 クラウディオ・ミランダ S10×1
⑤ 美術、衣装デザイン 美術マーク・ティルデスリー ベン・マンロー 衣装ジュリアン・デイ A9×1
⑥編集 スティーブン・ミリオン
⑦作曲、歌曲 ハンス・ジマー A9×1
やっぱりT-Square のTruth 入れましょうよ、そこは!
推定予算約2億ドル、公開2週間で総興行収入3億6000万ドル、IMDb 評価7.9/10はさすがです。
還暦過ぎてマシンレース界のTop of Topの撮影に参加し、間違いなくブラピの代表作になるという評価、私も心から同意します。(もちろん、ジョーブラック、セブン、ヴァンパイヤ、オーシャンズ…どれもこれもいい作品でしたが)
ブラピ来日祭りの映像(書道やプリクラ初体験wとか)がガンガン流れてきて、ブラピ、相変わらず面白くてカッコいいなと思いながら見てましたが、セナが亡くなるまでずっと元々F-1を観てきたので、この作品は絶対に観ようと思ってました。
一番先にブチ上がったシーンは若かりし頃のCAMEL のレーシングスーツ姿!ロータスホンダに乗っていた頃の中嶋悟様が一瞬で蘇りました!(え?今72才?昔と変わってないんだが!)セナ様ともチームメイトだったんだよなぁ…。彼が生きてたらどんな貴公子になってたんだろう😢…。
昔バイトしてた塾にあった受験雑誌に、「後ろにto 不定詞を取る動詞の覚え方で、こんなのがありました。
理不尽な(refuse)振りをする(pretend)
F1(fail)期待の(expect)ホープ(hope)亜久里の(agree)眼差し (manage)
プロ(promise)ら(learn)しく(seek)恥じていて(hesitate)
一心(wish)不乱に(plan)見んと (mean)決める (decide、determine)
何年経っても思い出せるので、TOEICの文法問題は今でも楽勝です♪F1デビュー当時の鈴木亜久里は女性誌にもインタビューが掲載されるくらい、イケメンレーサーとして人気ありましたね。
星野一義、中嶋悟、鈴木亜久里、片山右京…日本人F1ドライバーはたくさんいましたが、この作品を観てF1の世界で活躍することがどれだけ大変かを知ることができました。
単に親の財力やドライビングテクニックだけじゃなく、レースの駆け引き、プランCまで適応できる判断力や柔軟性や直感力、チームやスポンサーとうまくやっていく人柄やコミュ力、欧米人も多い世界だから語学力なども要求される世界なんだと、改めて実感しました。
セナとプロストがチームメイトになった時の、あのバチバチの緊張感を思い出させたほどのリアルなストーリーもものすごく胸熱でしたし、親子以上に年が離れてるチームメイトとのやりにくさも実感できますw
それにしても、あの色恋シーンだけはやっぱり無駄なシーンでしたね。あれを入れるくらいなら、チームメイト同士の葛藤場面を深めてほしかったです。
鈴鹿サーキットがちょっとだけ写りましたが、あのヘアピンカーブも懐かしく、ブラピのインタビューでもあの難しいコースを走ってみたかった、行けなくて残念…みたいなコメントを読みました。ただ、鈴鹿こそ素人が乗れるほど甘くない危ないコースなので、外したのは賢明だったと思います。
後ろで観てたおじさんが何度も大きい声で笑ったり叫んだりするのを聞いて、「おじさん、わかるよ、この作品好きだよね、ブラピカッコいいよね…」と思いながら、私も一緒に爆笑したりしてましたw
エドシーランの曲も良かったんですが、やっぱりラストシーンはルパン3世のエンディングソングが流れてほしかったですwww!
迫力満点、ブラピカッコいい!
本物のF1は見たことがないので、詳しいルールとかは全然分からないけど、この映画は普通に楽しめました!
超高速で駆け抜けるマシンの臨場感など迫力あるシーンが目白押しのため、ぜひ映画館で観ることをお勧めします。
あとブラピはやっぱりかっこいいですね。
映像と俳優だけでも見に行く価値ありだと思います。
ちなみに脚本は王道中の王道なので、ドキドキ感は特にありませんでした。だが、それでいいのです。
ブラピが女性エンジニアといい感じになるシーンは本当に必要か?とは思いました。
関係持つつもりはないって言っておいた数分後にめちゃめちゃ絡み合ってたので、ちょっと笑ってしまいました(笑)
それでも非常によくまとまっている映画だと思います。
皆さん是非見に行ってみてください!
モータースポーツ映画史に残る名作
ブラッド・ピット主演作品で個人的ベストを更新した。
映像、演出、音楽全てにおいて満点と言える作品。
初老レーサーが才能と未来がある若手レーサーとチームを組み、ぶつかり合いながらも倒産間近のレースチームを復活させる一発逆転物語。
全編ハラハラさせられる展開の連べ打ちで、常に全身に力が入り、上映後どっと疲れが押し寄せて来た。
沢山のレースシーンが用意されているが、全てのレースに見所があり、迫力と没入感が「この先これを超えるレース映画は観られないのでは?」と思わせる程の衝撃。
各レース開始時に毎度椅子に深く座り直し、深呼吸させられる程の緊張感があった。
映像と音楽については是非とも映画館で鑑賞して欲しいし、IMAXで鑑賞可能であれば強くオススメします。
演出は一言でいえば”お洒落”だった。
例えば、
あえて言葉では話さず、キャラの目線や距離感で心情を演出する手際の良さ。
一般的に左から右に進む場合、未来や希望を演出、右から左はネガティブな演出として使われるが、今作も冒頭チームに主人公が合流する時は右から、後半に期待と希望に満ちて合流する時は左から。
女性エンジニアとしてプライドと固い信念を持ってるヒロインがバルコニーに出て来た時の一瞬の乙女演出。
カット割や音楽のタイミングなど、あげ始めたらキリがない。
OPやEDもトップガン•マーベリックの監督なだけに似たようなお洒落な演出がされていた。
何も考えずただ音と映像を楽しむべし
IMAX初体験でしたが、没入感がすごくカメラワークのおかげもあって楽しめました。
物語としてはよくある困難を乗り越えて栄冠を掴むという王道の話でしたが、ブラピがまあカッコいい、ブラピの映画も初だったのですが画になる人ですな。ラブシーンもサラッとあって、濃厚なキスのあと二人でベッドに寝てるシーンがあり、やったなというのはわかるが、え、ブラピとワンナイトラブ?酒のせいとはいえもったいない。テクニカルディレクターを女性にしたのも話をふくらませるには良かったのかな。
最初は一人でランニングするブラピでしたがレースが進むにつれて一緒に走るチームの仲間が増え、これロッキー?、またチームメイトのドライバーがマシンでトレーニングするのに比べて一人で自重トレーニングするブラピ、え、ロッキー4?監督ロッキーが好きなのかな。
F1はチームスポーツというのがよくわかり、途中、あっ、これってタクシー会社に似てるなって思ったんですよね。自分がタクシードライバーやってるからなんだけど、整備がいて内勤がいてそれでドライバーが営業できるって何だか似てるなってね、余談ですけど。
今はレースのシミュレーションもできるんですね。これならレース前に走り方のイメージができて実際のレースにも活かせるなと。
ほぼ緊張してましたが追加料金払った甲斐がありました。まあブラピのための映画でしたね。
これを世に出すための仕込み
「トップガンマーヴェリック以来の「ハリウッドパワーフルスロットル‼️」(予習オススメです)
一年に一本くらいはこんなハリウッドパワー全開!な映画が観たい。
F1を知らない映画ファンには「なんのこっちゃ?かもしれないが、それでも映像は凄い!」
全体のストーリーとしては、トップガンマーヴェリックを観た方なら「そもそもあって、無い様なもの」そんな感じだが、
深い事は考えず純粋に映像を楽しみ、F1のシートに座るってこんななんか!と興奮できれば充分かと思う。
正直、何十年もブランクがある還暦の元F1レーサーが復活し、インディでもGTでも無くF1のチャンプになるんて有り得ん事(そもそもライセンスが発行されないのでは?)だが、そんな誰もが『有り得んやろ!」と言われるのを一笑し、とにかく圧倒的な映像・VFX・サウンドを、浴びせまくって寄り倒す力技は「これぞハリウッド〜〜〜」
でも、これでいい。
映画館じゃなきゃ面白さの1/10も伝わらない作品だけど、絶対!邦画では撮れない“画”。
やっぱりハリウッドスゲーと思わせてくれる作品だ。
最初に「ストーリーが、あって無い様なもの」と書いたが、それはあくまで設定の話で、F1の戦略について何も知らない人には、なんのこっちゃ?となってしまうかもしれない。
映画で描かれたのはほぼ決勝レースの模様だが、基本的にF1は金、土、日の週末3日間、まずは金曜日にフリー走行が行われ実際にコースを走らせながらマシンのセッティングや戦略が組み立てられていく(本来マシン設計の段階からレースは始まってる様なものだが、ここら辺についてはかなり薄味)。土曜日の予選は決勝レースのスターティンググリッドを決めるためのタイムアタック。Q1、Q2、Q3の3回にわたって行われ、Q1とQ2のそれぞれでタイムが遅かった5台が順々に脱落し、10台によって競われるQ3で最速タイムを記録したドライバーがポールポジションを獲得できる。
(逆を言えば、Q3の走行をしているかどうかもその後のチーム戦略に影響するのだが、その辺りも今一つ触れられて無い)
日曜日の決勝レースは予選で決定したスターティンググリッドからスタートし、305km以上(約東京から名古屋くらいまで)の距離を80〜90分位で走り順位を決める(最高速度時速350kmオーバー。ちなみに、新幹線のぞみの東京〜名古屋間所用時間が1時間27分なので、どれだけ早いかなんとなく想像がつくかと思う。また、フォーミュラーカーの重量は軽自動車並み、飛行機の離陸速度が機体重量によって異なるが240〜280kmなのでダウンフォースが無ければ普通に飛んでしまう)
レース映像と共に、F1ならではの戦略・駆け引きが見どころではあるが、フォーメーションラップ(スタート前にコースを1周する)で、マシントラブルを演出してほかのマシンのタイヤが冷えてしまうのを狙ってスタートするところや、ジュシュアをサポートするため、何度もほかのマシンに接触して部品をサーキット内にまき散らし、セーフティーカーを走らせることで全車をゆっくり走らせるという荒技に、どれくらいのリアリティがあるのか本当のところを知りたいが、F1を運営しているFIA共同製作だという事を考えるとあながちフィクションと切り捨てられないのかもしれない。
そして、F1といえばピットストップ・タイヤ交換が必須!これはルール上決まっている。
各グランプリでひとりのドライバーが使えるのはソフト8セット、ミディアム3セット、ハード2セット(ソフトは「速いが消耗しやすい」、ミディアムは「バランス型」、ハードは「遅いが長持ちしやすい」)
決勝レースではこのうち、少なくとも2種類のタイヤを使わなければいけない(使えるタイヤも各GP毎に選択肢は限られてるので、映画の中でも色々なプランが設定されていた)。
また、タイヤはグリップ力を得るために柔らかいゴムででき、走れば走るほど減りも早い。より長持ちしてグリップ力のあるタイヤを使えば良い様に思うが、レース展開を面白くさせる為あえて長持ちさせないように設定されている訳で、そもそもトレッド(ゴム)の厚さも乗用車が30mmほどあるのに比べてF1では3mmしかないギリギリの状態、ただ早く走るだけでは無く、いかにタイヤを消耗させずに走るかも重要な戦略。
タイヤの選択・消耗がレースの鍵を握っていると言っても過言では無いし、タイヤをめぐる駆け引きがレースの醍醐味の一つでもある。
ラストアブダビの奇跡はまさにこのタイヤのおかげなのだが、予選走行の少ないAPXは未使用のニュータイヤが2本残っており、残り3周の再スタートでトップマシンと互換に戦う事ができた。その裏に何があり、ラストの奇跡がなぜ起こったのか、多少の予備知識が無いと意味がわからないかと思う。
そんな、予備知識があるか無いかで大分作品の見え方も変わってくるのかもしれないが、まあとにかく有無を言わせぬ圧倒的な映像はやはり凄いとしか言いようが無い。
・・・だからこそ、たいして必要もない女性テクニカルディレクターとのラブロマンスなんかが安っぽくて仕方ないのだが、間違いなく来年のアカデミー賞視覚効果賞の候補に上がるだろう。
(それにしても、今さながら「ゴジラ-1.0」よくぞアカデミー賞視覚効果賞取ったよな・・・としみじみ。人数は少なくても“こんな映像見せたる愛”の勝利)
ブラピはやはりカッコいい
始終ブラピの活躍を観れる。
ブラピファンには堪らない作品だ。
こんなカッコいい60代は、
トム・クルーズとブラピ以外
いないだろう。
人間関係のモヤモヤとか複雑なストーリーなどなく、ただただ難しいことを考えずにレースの迫力を楽しめる映画である。
しかも、序盤のブラピがトラブルばかり起こすことでイライラが積もっていくが、その後はどんどん発展していき、終盤にかけてのデッドヒートは、アドレナリンやらエンドルフィンやらの脳汁がドバドバで続けるので頭の中は凄く気持ちがいい。
恐らく、映画の評価をつける上で、この脳内麻薬が終盤にどれだけたくさん出たかで映画の評価が決まるのだと思う。
どうでもいい話だが、クルマが壊れる度に、F1って金がかかるスポーツだなーと思う。ピットに入る度にタイヤやらウィングやらたくさん付け替えるし、チームのスタッフの人数分、人件費がかかるし、賞金やらレース場やら花火やらアナウンサーやら、とにかくスポンサーがつかないとやっていけない世界。
後、気になったのは、どんなに順位が悪かろうが途中でレースを放り投げようが、アナウンサーはブラピ中心のアナウンスであり、そのレースで優勝したチームのことなど一切触れないのが、ある意味で物語に没頭できる要素かも知れない。
しかし、よくもこんな驚異的なスピードで命をかけたバトルができるもんだわ。正気の沙汰では、できないスポーツ。怖さの気持ちを感じるレベルがぶっ壊れてないととてもじゃないが、F1に参加したいと思わない(笑)
F1ファンからすると少し複雑な気持ちになる。
F1という題材を使った、タイバニみたいな作品。
弱小チームを如何に頂点に導くかというのを
一般層に向けて、短い時間で分かりやすくするために
ダーティーな戦術を使ってという風にせざるを得なかったのだろうけど
にしても、意図的なクラッシュが賞賛されるような見え方には
現実のF1ファンからしたら少し複雑な気持ちになるというか
どうしても”理不尽なクラッシュ”で散っていったケビンやルイスを
可愛そうと思ってしまい…
(というか、アロンソがソニーに「よくやった!」的なことを言う
あのシーンは、クラッシュゲートのセルフオマージュなのかと思い笑った。)
でも、F1ファンからすると一般のファンを取り込むために
この映画の意義は賛同するし、大迫力・リアルなレース映像
往年のF1ファンに向けた小ネタみたいなのもいいなぁと思うのだけども・・・
やっぱ、F1の面白さを短時間で伝えるのって難しいよなって思って少し悲しくなった。
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