劇場公開日 2025年4月11日

「最新の映画作りと昔気質の絶対君主的監督術が融合」RRR ビハインド&ビヨンド 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0最新の映画作りと昔気質の絶対君主的監督術が融合

2025年4月29日
PCから投稿

本編『RRR』を監督したラージャマウリが、メイキングドキュメンタリーまで監督してしまうという、結構珍しいパターンだと思う。なので客観的に俯瞰で見るというよりも、スタッフ、キャストのコメントも交えつつ、大掛かりな見せ場となったシーンの舞台裏を次々と見せていく解説編で、一昔前ならDVD-BOXの特典ディスクになっていた感ある。

ある意味でクライマックスの連続みたいな本編の中の、特に目立つシーンを数珠つなぎにしたような構成になので、撮影現場の大変さに驚かされるだけでなく、本編のいい感じのダイジェストになっていて『RRR』を再見したような気持ちになれるのもお得。

しかしラージャマウリがいかに自分にも周りにも高いハードルを課して、コダワリを追求しているのがわかり、ある意味で昔ながらの絶対君主的な映画監督として、もう日本やハリウッドではありえないようなタイプなのではないか。事前にシュミレーションを繰り返して必要な絵を決めたうえで撮影に臨むスタイルは昨今のハリウッド大作に近いが、やはり人間の熱量みたいなものは映画に宿るのだなと思ったりした。

村山章