「すべてが中途半端で心に残るところが例の彼くらい……」火喰鳥を、喰う よしてさんの映画レビュー(感想・評価)
すべてが中途半端で心に残るところが例の彼くらい……
原作未読期待度高めで鑑賞しましたが……。
序盤こそ「この先、面白くなりそうだな……」と観ていましたが、その後は「この先、面白くなるのかな……」に代わり、終盤は「もうどうでもいいや……」になっていました。
ホラーとしては機能せず、ミステリとしては成立せず。サスペンスとしても微妙。
過去パートあり、夢パートもあり、さらにはパラレルワールドあり、と様々な場面が複雑に絡み合う本作ですが、正直それをうまく映像化して処理できていたとは思えません。話を分かりにくくする方向にしか作用していない。
途中、人物名やキーワードもテロップで紹介されるのですが、ぶっちゃけバラエティ番組の再現映像のようなクオリティ。他のシーンも格別に美しい描写やハッとさせられる場面もないため、気分は2時間サスペンス。
白い服の女の子や虫恐怖症、閉鎖的な村社会など思わせぶりなアイテムや描写が結構あるものの、ちゃんと解決して納得できる展開が用意されているのは女の子くらい。それも終盤にちょこっとだけ。手帳は前半こそ物語をけん引するけど、途中からどうでもいい存在になってるし、そもそもがタイトルの火喰鳥が火喰鳥である必然性がどこにもない。
メタファーなのはわかりますが、その割にはインパクト強すぎなんですよ、火喰鳥は名前もビジュアルも……。
盛り上がる要素がいっぱいありながら、心に残ったのはキモい霊媒師の彼くらい。まあ、必ずしも前向きの評価ではありませんが。
役者陣もどことなく存在感が薄いし、ストーリーも決着がついた感じが一切せず、ラストシーンも「だから何?」という気分にしかならない。
これまで、この映画以下の映画はいっぱいありましたけど、この映画ほど作り手が何を伝えたかったのか? どこを面白いと思って作っていたのかが理解できない作品は初めてです。
ダメ映画を見たときのネタになる感覚もゼロ。
というか、未完成の映画を見せられた気分。
追加撮影はいつ頃やるの?
初号試写の日程は?
公開日は当然決まってないんですよね?
と嫌味はここまでにしつつ、2025年ワースト候補かな……。
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