「もっとおもしろくなりそうなのが惜しい」アズワン AS ONE おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
もっとおもしろくなりそうなのが惜しい
■ 作品情報
静野孔文監督、貞本義行がキャラクターデザイン、形部一平がメカニックデザインを手がけたSFアニメーション映画。脚本は西田シャトナー、松井香奈、本田雅也。主演声優は白岩瑠姫、白石晴香、武内駿輔、日笠陽子、丸山隆平ら。アーケードゲーム「星と翼のパラドクス」を原作に、完全オリジナルストーリーで描かれる。
■ ストーリー
現代の地球でミュージシャンを志す高校生ヨウは、親との確執やバンド仲間との人間関係に悩み、将来を決められずにいた。ある日、渋谷の交差点で彼の脳内に「助けて!」という声が響き、白い光に包まれる。一方、宇宙に浮かぶ「巡星(めぐりぼし)」では、エネルギー源「星血(ほしのち)」を巡るヴ・レード惺王国と轟ア・スレッガ国の長きにわたる戦争状態が続いていた。休戦調停式が執り行われようとするその時、巨大軌道デブリが落下し、プルガード隊のヴィーゴが必死の対処にあたる。ロボット整備士の少女ラコは、整備途中の機体でヴィーゴを助けに向かうが、事故に遭い意識を失ってしまう。昏睡状態に陥ったラコの意識の中で、ヨウとラコは次元を超え、運命的な出会いを果たすこととなる。この出会いが彼らの、そして世界の運命を大きく動かしていく。
■ 感想
長編アニメは好きなので、とりあえず鑑賞予定に入れ、公開2日目に鑑賞してきました。客入りはイマイチですが、まあまあおもしろかったです。
作品がもつ独特の雰囲気はわりと魅力的です。SFファンタジーとしての設定はやや中二病的でありますが、なかなか興味深かったです。キャラクターデザインには「新世紀エヴァンゲリオン」の貞本義行さんが、メカニックデザインには「ガンダム Gのレコンギスタ」の形部一平さんが参加されているとあって、その影響か、メカの発進シーケンスや世界観の構築には確かにエヴァを彷彿とさせる部分があり、そこがまた心をくすぐります。
物語はテンポよく進行し、シンプルながらも「信じること」の大切さを訴えかけるメッセージはストレートに胸に響きます。純粋にSFファンタジー作品としてのおもしろさを堪能できる作品だと感じます。
しかし、惜しい点も散見されます。特に、複雑に絡み合う人物相関は、果たして物語に深みを与えているのか、疑問が残ります。もう少し整理されていれば、よりスムーズに感情移入できたかもしれません。また、作品全体に散りばめられた伏線も、回収されたのか、それとも投げっぱなしなのか、判然としない部分が多く、鑑賞後にスッキリとした気持ちになれないのは残念です。エンドロール後の映像も、さらなる伏線回収を意図したものと思われますが、「もう一人の自分」の存在など、腑に落ちない点が残ります。このあたりは、思い切って削ぎ落とし、もう少しシンプルに仕上げてもよかったのではないでしょうか。
そして、やはりキャスティングについては、率直に言って不満が残ります。話題性先行のアイドル起用は、作品の世界観や役柄に合致していればよいのですが、今回は残念ながら違和感が拭えません。プロの声優陣を起用することで、物語への没入感がさらに高まったのではないかと思います。
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