「善逸のセリフが沁みた…」「鬼滅の刃」特別編集版 那田蜘蛛山編 忘却の彼方へさんの映画レビュー(感想・評価)
善逸のセリフが沁みた…
善逸の言葉がめっちゃ響いた。
「親のいない俺は誰にも期待されない。誰も俺の成功する姿を想像もしない」(うろ覚え)
誰かが自分を見てくれて、評価されるのは、当たり前じゃないってこと。
だからこそ、善逸は唯一自分を見てくれた、じいちゃんを心から尊敬していたし、嫌々ながらも一生懸命それに応えようとしていた。
善逸は臆病だけど、努力ができないわけではない。環境が彼をそうしただけで、誰かに期待されていると思えれば、彼の才能は最大限に生かされる。
考え方や肉体が人間離れした鬼殺隊メンツの中でも、いちばん読者・視聴者が共感しやすく、等身大であるから、親近感は湧きやすい。
最初から無限城までの成長を見ると、かなり主人公してる気がする。
伊之助。
義勇になんだかんだ懐いてるのは、ファーストインプレッションが良かったから。
恐らく、グルグル巻にされて無視されたことよりも、自分が手も足も出なかった敵を一瞬で倒した義勇の剣技だけに惹かれていた。そこしか見てなかった。その強さの理由を知りたいという欲求が沸き起こっていた。
全く相手にされなかったのも、自分が弱いせいだと思ってるから、義勇じゃなくて、自分に腹を立てている。
鬼滅の刃という物語の中で、精神的にわかりやすい成長を遂げるのは、善逸と伊之助。
炭治郎は元々、心優しい少年で性格の面では一貫していて、それはブレない。ただ、その優しだけでは救いようもないような邪悪の存在を理解するようになって、ただの炭焼きの息子から、どす黒い精神と優しさを兼ね備えた少年になった。
炭治郎は主人公だが、その二面性が少し怖い。
実際にいたら結構怖い人。
優しいのに、その精神力の強さが誰も寄せつけない。精神は物語が進むにつれ、成長しているように見えるが、元からその素質はあった。経験が彼を完全なまでの図太い精神にした。
周りから影響を受ける人ではなく、人に影響を与え続ける、まさしく太陽のような主人公像。
周りに影響されて成長する主人公がセオリーだが、それだけでは無いというのが鬼滅の面白いところ。性別、年齢関係なく、彼に影響されていく。ある意味のカリスマ性。主人公性でもある。
彼の折れない精神力はあまりに尊大で、誰も真似出来ないという点では、読者から理解は得ずらいだろう。だが、彼の途方もない優しさに、皆惹かれ、心洗われる。
光でもあるし、闇でもある。
光が強すぎる故に黒くも見えるみたいな。