劇場公開日 2025年9月26日

「重大事故防止教材であり硬派な社会見学ムービー」ラスト・ブレス ヘマさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 重大事故防止教材であり硬派な社会見学ムービー

2025年10月1日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

映画冒頭の「This is true story(実話)」の説明書きが、作品に圧倒的な強度を与えていて心が浮き立つも、実は閉所恐怖症のきらいがありまして、鑑賞中にしんどくなったらどうしようかなーと、些かビビりながら観ておりました。

取り急ぎ、閉所が苦手で避けていた方は、鑑賞しても大丈夫そうです。深海や潜水ポッドだけでなく、海上の潜水支援船のシーンを行き来して、閉塞感はそこまで感じないのでご安心を。

海底パイプラインを補修する飽和潜水士が事故に遭い、酸素供給を賄い、身体を繋ぎ止める命綱が切れてしまう。場所は水深91mの深海。周りは宇宙空間如くの真っ暗闇。そして緊急用に身につけている酸素ボンベの容量はたったの10分間……。果たして仲間たちは彼の命を救うことができるのか?

という流れですが、え? 10分間しかないの? というかこの深海に放り出された状態からタイマーカウントが走り出すの? 嘘でしょ? いや、そりゃ無理だって! と思ってしまうことウケアイ。
いやーまさかこんな状態から生還するなんて、そりゃ映画の題材にもなるわけだと、ひたすら感心した次第。

さて。作品自体は、重大事故防止教材として非常に意義はあるものの、エンターテイメントとしては若干物足りない印象でした。
実話であるから作品としての強度は高いものの、物語として面白さを入れちゃうとフィクション(演出)が悪目立ちしてしまうし、この辺りのトレードオフは致し方ないところですね。

とはいえ、海底ケーブルやパイプラインを施設・補修する人たちの存在と、いかに過酷な環境で従事されているかを知ることができる、良い社会見学ムービーでありました。

コメントする
ヘマ