「極めてリアルに、ストイックに描かれゆく救出劇」ラスト・ブレス 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)
極めてリアルに、ストイックに描かれゆく救出劇
映画はいつも我々に見知らぬ世界を垣間見させてくれる。その意味でも本作は海底作業員という特殊な仕事、そして彼らが命がけで職務を遂行する姿に光を当てた興味の尽きない一作だ。過度な演出は抑制され、独特のリアリティを大切にしているのも当然といえば当然。本作は実際に起こった潜水事故を題材にしたドキュメンタリーを原作としており、同監督が引き続き手掛けているからこそ、驚くほど無駄のない劇映画に仕上がっている。事実の延長線上にあるかのようなディテール描写にも驚きがいっぱい。まず海に浸かる前には圧力を調整するカプセル内での生活が待っていて、チーム一丸となった閉所暮らしを経て、いざ海底へ。そこから展開する闇の世界、思いがけないトラブル、必死の救助活動・・・。主演三人が織りなす手堅いチームワークと人間模様が胸に迫る。決して派手さはないものの、そのストイックさこそが緊迫感、臨場感みなぎる映像体験をもたらしている。
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