無名の人生のレビュー・感想・評価
全46件中、41~46件目を表示
青く凶暴で美しい血
仙台の団地で暮らす無口ないじめられっ子の少年のその後の人生の話。
「1994せーちゃん」で山形の駅からタクシーだ始まるけれど、セリフは無くダイジェスト的なつくりで、どういうこと?と思ったら、両親の話しなんですね…それ以外は良くわからなかったけれど。
そして「2007死神」で、仙台で暮らす主人公の小学生時代から、2095までを数年置きにみせて行く展開で、波乱万丈と一言で片付けるにはあまりにも普通じゃない人生。
ということで、感情移入が出来る様な内容ではないもののなかなか面白い。
ただ、ここに訴えたいことがあるんだろうけれど、2050の後のダイジェストは、思想的なものがあり過ぎてまた良くわからずだった。
今年の収穫の一本。
ひろし、血なんてただの液体じゃん。ポカリと一緒だよ。
作品における、作り手の狙いをどの程度説明するのか。 その加減は難しく、足りなければ視聴者に理解されず、過多だと「ああん? ここまで言わなきゃわからんと思ってるのか(私を)ナメやがって」と勝手にキレる。私は。常に自分勝手である。
と、いうわけで、説明は個人的には少し足りないくらいが、受け取る側の想像のゆとりがあり、そういったゆとり――隙間に自身の心を添えて観ることで感情が乗る気がします。塩梅が上手い作品だと感じました。
同作はある一人の男性の、100年の一生をラッシュで見せる構成。決してその道のりも平坦ではなく、展開は思わず飛躍的にもなる。けれどちゃんと画面に映る「人生」に心を寄せて驚いたり、ホロリときたり、切なくなったりできました。突飛だけれど心は乗った。それは説明の加減のうまさが一助になっているなぁと。
ポカリ、寮のランドリー、ブラウン管越しに遠くなっていく過去の事件。
伝えたいと思う場面でどの対象にカメラを向け、意味を持って映すのか、的確だなと思いました。ポカリの表現が好きです。
お一人で描かれているとのことで絵が上手だなぁと、また、だからこそ作品の操作性が安定していたなと。今の時代らしい形式で読む、マンガ活劇のようでした。映像だからこそ読書と違い、リズムを作り手が設定できることも活きていた気がします。アイディアも良く、作品内に忍ばせられた創作的な仕掛け、ミーニングもしゃれっ気がきいていて面白かった。
そして映画らしい良さとして、このマンガ活劇に声が加わりまた新しいリズムの連続を生んでいるなと思います。
タイトルは、友人きんちゃんの台詞。この後の場面もグッドでした。
「波瀾万丈」と一言では括れない
自ら掴む人生
全46件中、41~46件目を表示