「予想もつかなかった方向へ連れていかれる感覚が楽しくも、不思議な鑑賞感を残す一作」無名の人生 yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
予想もつかなかった方向へ連れていかれる感覚が楽しくも、不思議な鑑賞感を残す一作
人形芝居を連想するような独特の作画とアニメーションは、CGとエフェクトを使いまくってる最近のアニメーションを観慣れているとかなり独特な印象を与えます。
幼少期のある出来事のために名乗るべき名前を失ってしまった一人の男の人生を辿っていく物語、なのですが、その道のりは常に観客の予想を超えてきます。特に後半は、あるシュールレアリスム作家の作風をかなり意識したと思われる描写など、徐々に抽象的な世界観が入り込んでくるため、描写の意図をつかみかねて戸惑ってしまうかも。
作中、主人公の男は自分の名前はおろか、ほとんど口を開くことはありませんが、そんな彼に周囲の人々がめいめい勝手に彼に名前を授け、彼の存在の意味を決めて(押し付けて)くるあたり、ちょっと『ガープの世界』(1983)や『フォレスト・ガンプ/一期一会』(1994)を連想してしまいました。あるいは主人公が彷徨の人生を辿る、という点などで『マインドゲーム』(2004)に通じるところも。
エンドクレジットで鈴木竜也監督による驚愕するような仕掛けが待っているため、最後までしっかり鑑賞をおすすめします!
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