劇場公開日 2025年5月16日

「人生は不思議」無名の人生 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 人生は不思議

2025年7月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

すごい好きだ、この作品。主人公はずっとある意味で不変の存在だが、周りの人間の受け止め方が変わっていき呼ばれ方もその都度変化していく。せいちゃん、くろ、れいと、神様、ぜん、そして人生などなど。そして、ものすごく数奇な人生を生きていく男の年代記が展開していく。
カメラ目線というか人物はまっすぐにこちらを見ているショットが多いのが特徴だ。登場人物にじっと見つめられるような鑑賞体験になるのだが、絵柄の魅力もあってか、何かそれだけで問いかけられているような気分になる。「お前の人生はどうなんだ?」みたいな。

殺されても生き延びて、終末戦争が起きても生き延びて、100年という長い人生の旅路を濃密に過ごす主人公をちょっと羨ましいと思ってしまう。こんなに濃密な人生をおくり、最後にはなんだか壮大なスケールのあやふやな世界へと突入していく。しかし、「人生ってこういうもんだよね」という、なぜか深い納得もある。
人の一生を奇想天外な形で見事に映像化している。これは隠れた傑作だ。

人生って振り返るとこれくらい不思議なものだと思う。

杉本穂高
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