「勿忘草の伝説」forget-me-not Freddie3vさんの映画レビュー(感想・評価)
勿忘草の伝説
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『映画監督外山文治短編作品集 東京予報』の3篇のうちの1篇。私は3篇のうちではこれがいちばん好みです。「東京予報」というタイトルにも合ってる感じがします。
ガールズバーで働く3人組が自死して無縁仏状態になったかつての常連客の葬儀に参列する話。彼のポケットから出てきたメモに彼女たちの名前があったのでそこに呼ばれたわけですが、参列者は彼女たちのみ。暗い話のように聞こえますが、苦いユーモアが散りばめられていてなかなか味わい深いです。また、ドイツに伝わる勿忘草の伝説がうまく挿入されて効果を出しています。
たまたま同じ職場で働いていただけの関係だった3人がいっしょに葬儀に参列したことによって互いに関心を持ち、ちょっぴりだけど距離を縮めてゆきます。そして、結果的に死して彼女たちを近づける役目を果たした彼が生前にしていたであろう仮想恋愛。そんな仮想恋愛は彼の亡き骸に手向けられた「造花の」勿忘草で報われることとなります。何か大都会の孤独な魂たちのささやかな関わり合いを見るよう。都会の片隅で生きる人たちのエピソードをうまく切り取ってピンセットでつまんでひょいと見せてくれた感じでうまいなあと思いました。
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