名前、呼んでほしいのレビュー・感想・評価
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ダブル不倫の行き着く先
『映画監督外山文治短編作品集 東京予報』の3篇のうちの最後の1篇。3篇は『はるうらら』→『forget-me-not』→『名前、呼んでほしい』の順で観ました。恐らく、それぞれで描かれている登場人物たちが10代→20代→30代と年齢が上がってゆくように並べられているのでしょうが、この3篇目を観ると年を重ねても成長しない人たちもいるなあと実感します。
夫、子供がいる女性が妻子ある男性と不倫関係になりますが、関係を解消するために1日だけ夫婦みたいにして過ごそうと提案し、それを実行する話。田中麗奈がこの幸せ薄そうな女性を好演しています。幸せ薄そうと書きましたが、まあ実際に不幸なんでしょうね。さらに悪いことに悲劇の主人公気取りでもあります。生きてゆく上での目標がありませんから、まあ今日が良ければいいやと刹那主義にもなります。夫婦ごっこした日は二人とも楽しそうでした。
で、物語の着地点と言えば、男って本当にしょうもない生き物だな、みたいな、なんだか陳腐な終わり方で脱力感を感じました。この3篇目にして、結婚して子供もおり、社会的規範に沿ったまともな生活をしている大人たちが出てきたと思いきや、その実態は利己的で視野狭窄に陥っている刹那主義のアダルト•チルドレン。これが『東京予報』の締めに出てくるわけですから、東京、大丈夫なの? って言いたくなります。さらに厄介なことには、私は3篇のうちではこれにいちばんリアリティを感じてしまいました。
何はともあれ、『東京予報』の3篇、愛に飢えている感じの都会の孤独な魂たちを巧みに見せてくれて面白かったです。
よしなさいって
不倫関係を止める前に、1日だけ夫婦になりきって過ごすことになった男女の話です。
沙穂の旦那さんも浮気しているようなフリがあり、お鍋をつつきながら白菜まだ芯があるなぁなんて言われたらそれはイラっとしますね笑。
不倫関係である2人でいる雰囲気を見た感じ、男性側も実は結構本気だったのかな…?と思いきやそうなりますよね!のオチで妙にスッキリしました。
「東京予報」3作とも、誰かを思う気持ちと、ちょっと酷な現実が入ってて面白かったです。監督自ら特典のポストカード配布されていました。
練馬区「解せぬ…」
監督の外山さんと主演の遠藤さんが共に好きな女優で田中麗奈を挙げ、愛の強さを言い合ったとか。
その割にあまり綺麗には撮られてないけど。笑
W不倫のカップルが、最後に疑似夫婦として1日を過ごして別れる話。
しかし、この2人の関係性の機微が判然としない上に「元々不倫だしなぁ」と客観視しかできない。
不動産屋との会話はクスッとできて面白かった。
不倫しながら「不倫しちゃダメだよ」とか話してるのはシュールと言うかなんと言うか…
沙穂が「不倫したら自分もするから」みたいなことを言っており、旦那も浮気してそうだったが、そゆこと?
最後のアレは奥さん…じゃないよね。
オチも含めて切なさを感じなくもないけど、やっぱり結局「不倫だしな」に落ち着いしまった。
(こんなに「不倫」と書いたのは初めてかも)
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