「タイトルなし(ネタバレ)」天が許し給うすべて りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし(ネタバレ)
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50年代の米国、中流家庭が集う郊外の小さな街。
40歳前と思われる裕福な家庭の未亡人キャリー・スコット(ジェーン・ワイマン)が、庭師の二代目ロン・カービー(ロック・ハドソン)と恋仲になる。
ロンは世間体など気にしない性格で郊外に植物を栽培する温室と水車小屋を持って暮らしている。
水車小屋を改造して、ふたりで暮らそうというキャリーの提案を受け入れて改造をするが、ロンが年下で肉体労働階級であることから、世間のみならず、キャリーのふたりの子どもたち(働き出したばかりの息子と大学生の娘)からも好奇と不審の眼を向けられ、キャリーは世間の常識というものに絡め取られていく・・・
といった、いたってシンプルな物語のメロドラマ。
序盤は平凡だが、キャリーとロンが結婚を決意するまでが早く、それからが俄然面白くなる。
セット主体で、陰影の際立った照明の変化で物語に深みを与えている。
特に水車小屋の室内では、窓側と玄関側で照明に変化をつけているのは興味深い。
また、窓の格子を牢獄に見立てたショットや、同じく窓の格子を十字架に見立てたショットなども上手い。
ラスト登場する雄鹿は神の暗喩であろう。
フランソワ・オゾンが『8人の女たち』で引用していたと記憶しています。
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