「もう少し掘り下げてほしかった *7月12日追記あり*」夏の砂の上 toshijpさんの映画レビュー(感想・評価)
もう少し掘り下げてほしかった *7月12日追記あり*
***注***本編以外に「美晴に傘を」のネタバレを含みます
そう言えば設定がとても似ている映画を思い出してしまった。
「美晴に傘を」(2025年製作)と共通点が多い。
・息子を亡くした主人公は海がある街で一人暮らしをしている
・夏のある日。その日は息子が亡くなってからの節目の日だった
・疎遠だった親族(シングルマザー)が、アポなしで、しかも
居候することを前提に娘を連れてくる
・娘は若干人と違うところがある
・主人公は渋々居候を受け入れる
・連れて来た娘と地元の人々とのひと夏の交流
・地元で度々行われる居酒屋での飲み会
・この夏の出来事を通して登場人物それぞれに少しずつ変化が訪れる
本編の元となった戯曲「夏の砂の上」は1998年に舞台化され
何度か上演されたようだが「美晴に傘を」との関連性は分からない。
「夏の砂の上」の脚本・監督、そして「美晴に傘を」の脚本・監督も
自身の劇団を主宰している人という共通点がある。
勝手な想像だが業界内でテンプレート(ひな形)を共有しあって
それぞれが自分なりに加筆して映画化しているのかな?知らんけど。
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以下、7月10日に投稿済み
合うか合わないかで言ったら合わない方だった。残念。
予告編を見た限りでは何かしら心に残るものがありそうだったし
出演者に髙石あかりの名前があったので鑑賞。
オダギリジョー・松たか子・満島ひかりといった主役級の役者さん
たちも出演しているので期待した。でも自分に響く内容ではなかった。
”愛を失った男、愛を見限った女、愛を知らない少女”という触れ込み
だったがそこに至る経緯・心の変化が映画の中で語られていないので
登場人物に共感しにくい。
主人公の小浦治は幼い息子を亡くした喪失感から妻・恵子と別居。なら
どれほど息子を可愛がっていたかが描かれていても良さそうなものだが
その肝心な部分は回想としても出てこない。
息子が事故死した直接の原因が彼にあるのなら自責の念が強くあると
いうことで納得もするが(自分の見落としでなければ)その詳細は
描かれていない。
タクシー会社に再就職した元同僚も事故死!それにしても今年何本
事故死を扱った邦画を観ただろう?もう数えるのも面倒くさい。
妻・恵子はどの時点で夫を見限ったのか、なぜ別の男の元へ行こうと
したのかもよく分からない。
治の姪・優子が愛を知らないというのは単純に恋愛未経験のことを
言っているのか愛のない家庭で育ったことなのか?対人関係で何か
心を閉ざしたくなるような経験をしたのか?
そんな感じで脚本の段階で人物の成り立ちが曖昧なままだった。
演者だってこの脚本で具体的にどんな人物として演じたらよいのか
やりにくかったのではないか。
役者さんたちの演技自体は良かった。中でも短い出演場面ながら
しっかり存在感を示した満島ひかりはさすがだと思った。せっかく
良い役者さんがそろったのだから、人物像の掘り下げがもう少し
あれば映画の印象も変わっていたと思う。
結局あの夏の出会いと別れで登場人物それぞれは何を感じ、その後の
人生にどんな影響があったのか?もう少し具体的に見たかった。
”不器用ながらも懸命に父親代わりを務める治”って、父親らしいこと
何かしたっけ?ヤリモクの男が家にいたのを追い出すところかな?
治と優子に疑似親子的な感情は芽生えたか?その他諸々、行間を読む
とか想像で補う系なのかもしれないが鈍い自分には分からなかった。
あまり自分の感情を揺さぶられない映画だった。その中で一番良かった
のが終盤近く、断水の後久しぶりに大雨が降ってありったけの鍋に
水を溜めた後の場面。飲めるかな?と飲んでみたら意外に美味しい。
そこからの”室内水掛け祭り”が楽しそうで見ているこちらも楽しい
気分になった。吹っ切れて心機一転できたのならあれは良かった。
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恥ずかしながら松たか子が出ているのに松嶋菜々子と混同してた。😳