「カラカラ」夏の砂の上 uzさんの映画レビュー(感想・評価)
カラカラ
ほとんどの登場人物が不快で理解不能だった。
話も通さずやってきて娘を置いていく阿佐子。
別居の経緯こそ不明だが、不倫しており、自分は面倒を見ないのに優子を預かることを先に了承する恵子。
不倫相手の旦那に普通に話しかけ、家に上がり、説教までたれる陣野。
軽く薄っぺらい好意と性欲を押し付ける立山。
理不尽な八つ当たりブーメランを投げてくる陣野の妻。
まともなのは持田くらいじゃなかろうか。
優子はよく立山なんかの誘いを受けたなぁと思ったが、やはり度々虚しさを覗かせる。
母との関係自体は表面上悪くないように見えたが、他に何かあるわけではなく、結局母が原因らしい。
息子と仕事を失った治と共に、この2人はずっと空っぽだ。
それを埋めようと仕事を始めてみたり、身体を許してみたりするものの満たされない。
荒ぶる時の治も、無邪気に笑う瞬間の優子も、ただ空虚を吐き出してるように映った。
一見明るい雰囲気雨のシーンですらその延長で、ほんの少し互いの空洞を感じ取った程度じゃないかな。
ポスターによると「一筋の希望」を描いているらしいが、自分はまったくそれを感じなかった。
特に治は劇中で、持田が亡くなり、指を3本失い、恵子とも正式に離婚し、優子も去ってしまっている。
あのラストシーンの先に前向きに生きる姿はあるのか。
どちらかと言えば、夏が終わる頃に自宅で孤独死している姿の方が浮かびました。
息子の遺影すら映さないなど、直接的な描写を徹底的に避けた上での治と優子の心情は本当に見事。
それ自体はしっかり伝わってきて痛いほどです。
しかしその先がなく、重苦しい気分だけが残った。
ひと雨きたところで、砂はまたすぐ乾く。
雨や帽子が希望の表現だとしたら、脚本家は本当の虚しさを知らないのだと思う。
中華屋のオダギリジョーはAirペイっぽい。笑
