私の見た世界のレビュー・感想・評価
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斬新なカメラワーク
松山ホステス殺人事件の犯人・福田和子の人生を、福田自身の目線で映画化。
34歳の女は、4人の子どもたちから愛される普通の母親だった。しかし幼い頃に両親が離婚し、母子家庭での生活で受けた心の傷や、強盗の共犯で刑務所に入ってた時の事件が、彼女に影響を及ぼしていた。やがてホステス殺しを犯した彼女は、逃走を図り、時効までの15年を逃げ切ろうとした。顔の整形手術を繰り返しながら逃亡生活を続けたが、指名手配書が全国に貼られ、警察と世間の包囲網は・・・という、事実に基づく話。
1982年8月19日に事件を起こし、時効まであと数日という1997年7月29日に逮捕されるまでの14年11カ月10日におよんだ逃亡の日々を、彼女の目線で映像化した作品で、本人がほとんど映らない変わったカメラワークの作品で興味深かった。
事実に基づく話だけど、時系列の表示は無く、事前に福田和子を調べてから観る方が良いと思う。そうじゃ無いと、分かりづらい。
特に最初に17歳で強盗事件の共犯者として刑務所に入ってた時の○姦事件の被害者だったということが、警察を信用できなくなった背景にある事が大事な要素だと思う。
評価はあまり高く無いようだが、十分な下調べをしてから鑑賞すれば彼女に感情移入出来て面白い作品だと思う。
もう少し気を使ってもらいたい所として、車の車種が気になった。
逃亡を始めてそんなに経って無い頃に子供が乗ってた車がトヨタ・シエンタだった。あれは2020年以降の車だから1980年代には存在しない。時代考証する人は居なかったのだろうか?
まだまだ未熟とは思うが、石田えり監督の次回作に期待したい。
福田和子の視点で逃亡を追った異色作!!
映画的クオリティの低さが圧倒的
タイトルなし
映画の質は素人映画かというくらい酷いけど、内容はオリジナル、極悪人とただ表象された彼女がたとひたすら逃げ、4人の子どもの母親で、逃げる先々でどのような怖い思いをしたのか、犯罪者ということで人権のない扱いを受け続けたことに、カメラの視点がこちらにあるだけショックを受ける。石田えりさん自身が演じていることに。行きつけのお店のママさんたちも平気で彼女を裏切る。この映画のどこにも15年間の彼女にとっての人間的な空間がないことに驚く。ただ寒々とした世界。
ただ別の記録など見ると、おでん屋さんの女将たちとは心的交流があり居場所で、懸賞金も寄付されたし、息子とも交流があったことがわかり、これは石田さんの解釈でしかないのだろうかと思うフシも。
結局、無期懲役となり刑務所でくも膜下出血。
また、最初の罪で、受刑者から犯される。そのトラウマは大きい。
石田えりさんここにあり
ネットのニュースを見てあの石田えりさんが監督脚本編集!と興味がぐっと湧き映画館へ。
彼女はなぜ逃亡を続けたのか、カメラと伴に彼女の視点から見た世界、
逃亡を続けても地獄の様な連鎖の果てに…。
なんだか悪夢の様なのにリアルな人生
こんな人生キツいよーと思いながら石田えりさんのクリエイティブな内面が覗き見れた様な
気がしました。所々の描写で女性の生きづらさ、人間の狡猾さ、歪んだ悪、そういった渦に
飲みこまれながらなんとか泳ぎ切ろうとする儚い人生、
彼女の立場に自動的に立たされたバーチャル空間みたいで、何とも言えない心情になってしまい、
他人事の様に見れないところが自分にとって新鮮な体験でした。
事件の事は当時のニュースで知っていましたが、殺人犯のリアルな逃亡生活に
息が詰まりそうになりながら、捕まった時はドキドキもなくホッとする気持ちも湧かず、
変な虚無感だけが残り、もし自分が将来悪い事したら迷わず自首したいと思いました。
結構好きな映画です。
「危ない、危ない」は無し
15年弱の逃走の末捕まった松山ホステス殺人事件の犯人、福田和子の逃走時の話。
日時や場所は示されないし、名前も佐藤節子となっているけれど、既に事件後の金沢のスナックを訪れたところから始まって行く。
終始一人称視点の描写ではあるけれど、対象物の距離が妙に近く、視野狭窄感があるのは狙いかな?
狡猾さみたいなものが伺えず、寧ろ情にほだされやすい普通の人っぽい人物像なのは本人の著書なんかが影響しているんだろうけれど…。
回想シーンやラストはまだしも、中盤以降特になんてことないところで一人称視点を外したのは勿体ない。
看守からのトラウマシーンの説明がなくて、知らない人に優しくないつくりだったり、全体的にちょっと生々しさとか緊迫感みたいなものとかがなかったのは残念だった。
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