ルノワールのレビュー・感想・評価
全147件中、61~80件目を表示
女の子ばかり見詰めていた
嫌なことすら受け入れてしまう子
返事は良くて、できることをする子
死にかけていく父、落ち着けない母
好奇心の塊で、小児性欲者とのやりとりは本当にハラハラする
遠くに放り出され雨に打たれ、助けてくれた男が優しい父で良かった
女の子の想いは限りない
そして解かれた母と楽しくする姿にほっとする
喪服に死を突きつけられた父は致し方ないのだろうが、哀しい
万人が理解出来る題材ではないけれど
同監督のPLAN75が私にはとても良かったので、この作品も観たいと思った。
女の子が主人公、ということ以外あまり内容を調べずに鑑賞。映像のテイストや流れる空気感、台詞で説明をするのではなく空気を撮影している感じが前作と共通していて、色々考えながら観られて面白かった。こう言っては何だが、この作品男性には理解難しいのでは。好奇心旺盛で感覚が鋭い女の子は大人が思う以上に色々見えているものだ。しかも昭和の小学生ならではの設定もあり、万人が理解出来る題材ではないかもしれない。空想と現実と夢のシーンを繋いで描いていて最初はあれ?と思うが徐々に慣れてくる、フキの思考が映像化され、いくつかのエピソードが流れていて徐々に話が紡がれる形、この描き方の力量は見事。少なくても私はこの映像に共感し小学生の頃の感覚を思い出して苦笑いした。
一つだけ、昭和〜平成頃の話ならパワハラを会社に指摘されそのための研修を受けるってまだ無い時代かと。お母さんのキャラクターは理解出来るので、集団カウンセリングの理由はもうちょっと違うものでも良かったかも。
全編通してノスタルジックな風景がとても印象的だった。
悲しみの側面だけじゃない「死」を考えさせられる作品。
無垢と闇とノスタルジー
カンヌもの、ということで期待半分で見たものの、なかなか評価が難しい作品だった。
時代設定が80年代後半の地方都市ということで、自分と同年代かやや上。キャンプファイアーでライディーンを踊っちゃうあたり異質さよりも懐かしさが上回ってしまった。終始それが発生してしまい痛々しさや恥ずかしさが漂う。
これがまったく違う国の違う時代の世相を表現しているものならば、より人々の無意識に滲み出る闇の部分や、子どもの無垢さが際立ったのではないかなと思われる。
つまり、ごく少数の人々を除けば、1980年後半の小学生から見た世界は異質で奇妙だったわけだ。
光の捉え方や映像美・空気感の表現は独特なものがあって良かったと思う。整音も良かったと思う。生活音とセリフのバランスが良く、メリハリがあった。
役者陣はさすがなもので、主人公の女の子の存在感はすばらしかった。
強いて言えばもう少し詩的な演出や構成があっても良かったのでは、とも思う。
透明な聖域
少女は、誰にも超えることができない「聖域」を持っている。それは透明な膜で包まれている。それをおびやかす「大人」という外界。本作は、少女と外界との共棲がなんとも爽やかに描かれている。
身近な母親との関係で言えば、少女は、母親が思っている以上にひたむきに日々を送っている。歪な外界にさらされて、とても危なっかしくは見えるけれども。がんで余命いくばくもない父親との関係で言えば、ダートの地方競馬場通いの彼に連れだって、馬のいななきの物まねと馬の絵を無心に書く彼女なのである。
超能力に魅せられ、外界との凹凸を、超常現象によりたいらにしていく彼女。外界に魔法をかけることで、彼女の聖域を無意識に守る姿は、自然体で少しも背伸びがない。
明るく仲良く元気よくは外界が作った幻想。現実は、聖域に侵入してくるものに折り合いをつけながら、少女は日々をやりすごしていく。子供らしさのらしさに惑わされることなく。成長した先のトラウマをも飲み込むために。
沖田フキという最高の主人公、だが…
最高の主人公だったのだが、
物語によって、徐々に消え去ってしまった。
あの友人が転校した所から、非常に残念。
前半は、まっじで期待したのにな。
善良でも上品でもない、等身大の主人公。
雑でガサツで超能力に夢中で。
本当にさいっこうの主人公像だったのに。
お母さんも本当に良かったよ、小言が小言の域を少しだけ超えててさ、本当にこの人疲れてるんだ…って実感できたもん
河合優実とのシーンとか、自転車乗るのを見上げるショットとか、マジですごい映画観てんじゃないかこれ……って期待感があったのになあ。
本当に脚本のせいだと思います。
でもまだまだ早川監督には期待している。
次作は優秀な脚本家とタッグを組んで、マジで最高な映画作って欲しい。
良くも悪くも、カンヌっぽかったのかな。
それが、なんでああなるんやーーー
そんで、河合優実と中島歩はなんやったんや…
古傷に塩。
主演の無垢さと神秘さに惹き込まれる
前作のPLAN75がとても好きだったので楽しみにしていた。
前作が終活の話で年配の主人公なのに対し、今作は小学生が主役と、正反対ではある。死を扱っており、テーマや全体的に漂う暗い雰囲気は似ている。
ただ、空気感としては今作はかなり異様であった。
ほぼすべてのシーンが逆光や暗いシーンで、かなり滅入りそうになるが、そのなかでも鈴木唯の純粋で、なかば何を考えているかわからない表情に救われた。ずっと見ていて飽きなかった。
それが今作の肝ではあり、わかりにくい部分ではある。
無垢で、自由奔放な行動の裏にどんな心情を隠し持っているのか、それを考えながらみる映画でもある。
周りの登場人物も一癖ある人物が並び、それがフキを通じて周りの人間関係をうごかしながら、フキ自身も変わっていく。
その過程を見るのも面白い。
一見するとよくわからない行動も、思い返してみると繋がっていると感じる。なかなか噛み応えのある作品である。
万人受けする映画ではないが、語りがいのある映画だった。
時代設定の意味は?
感受性が強く、好奇心旺盛な11歳の少女が、両親をはじめとする大人たちと様々に関わるひと夏の体験を、早川千絵監督がオリジナル脚本で作品化。
ありきたりな分かりやすい成長譚にはしたくない、という意図は理解できる。しかし、一つ一つのシーンやエピソードを羅列するだけで、エモーショナルな連続性といったものが考慮されていないので、だんだんと「一体何を見せられているのだろう」と気持ちが醒めてきてしまった。
超能力ブームや出会い系伝言ダイアルといったものが物語の展開に絡んではいるが、そもそもなぜ1980年代に時代設定したのか、その意味や狙いがつかめない。マルチ商法、怪しげなメンタルトレーニングや民間療法など、確かにその頃あった嫌な話が盛り込まれているが、それを今、作中に取り入れて再現する意味は?大人の哀しくも愚かしい面を表現したかったのだとしても、今となってはリアリティあるものとして迫ってこない。単純に、自分自身の少女時代に設定したというだけなのか…
主役の鈴木唯は、本心が窺い知れない感じがいい。石田ひかりは頑張っていた。リリー・フランキーのこけ具合もいい。他にも旬の役者が出演しているが、物足りなかった。カメラの色合いは素晴らしい。
蛇足だが、ルノワールというタイトルや、ポスターにもなっているヨットシーンには、本作に出資している外国資本への媚びのようなものを感じてしまった。
早川監督が本当に撮りたいように撮れたものなのか、次なる作品を待ちたい。
鈴木唯ちゃん、凄い!
早川千絵監督は「PLAN75」でとんでもなく身につまされる映画を作られたので、この「ルノワール」は辛い物語にならないで欲しいと念じながら観ていた。
主役の鈴木唯ちゃんは今年公開の「少年と犬」で西野七瀬の長い独白を焼肉屋で聞くことにになった少女の役も演じていたが、その時の印象は薄かったけれど、今回の作品では圧倒的な存在感を放ってくれた。自分の葬式の夢を見たことを作文にしたり、みなしごになってみたいと言ってたり、超能力にハマりトランプでテレパシーゲームを友だちとやったり、伝言ダイアル(今で言えば出会い系サイトか)に登録したり、とにかく色んなことに興味津々のちょっと変わった少女だが、学校のサマーキャンプでは楽しそうに弾けるし、何よりお父さんお母さんが大好きである。さらに子どもが持ってる残酷さ(本人に悪意はない?)が差し込まれ、等身大(少し背伸びしてるが)の小学5年生を上手に演じてくれた。
そのフキの伝言ダイアルだけど、相手になった坂東龍汰の毒牙にかかることなく中断できたし、ついでにお母さん(石田ひかり)の中島歩との不倫もダメになり、観ている側はホッとしました。
河合優実はチョイっとの出演だがフキの睡眠術にかかったふりをしながらの長いセリフをさらりとこなしてくれて物語にエッセンスを加えてくれた。「あんぱん」の蘭子役もそうだが脇役でもチョイ役でも輝いてくれてその映画やドラマを一段高めてくれる素晴らしい女優だ、。
リリー・フランキーは元々マルチな方で色んな役回りができるが、こういう感じの哀愁溢れる昭和のお父さん役はぴったりである。助演男優賞いけるんじゃないかと思う。
ラスト、朝のファミレスでお父さんが病室で使っていた少し臭いタオルに母と子がそれぞれ顔をのせて、ひと眠りするシーンが好きです。2人ともお父さんの色んなことを思い浮かべていたことでしょう。
私の念が通じたのか辛い物語ではなく、少女のひと夏の成長物語であった。フキはその豊かな感性はそのまま持っていてくれて、いい感じのオトナになって欲しいなぁ、。
伝言ダイヤル。
半分こどもで半分おとな
フキの姿はぷくぷくと自分のペースで呼吸しながら泳いでいく魚のように
知りたがる顔もせず
知らん顔もせず
ただひとりでじっと感じとりながら
その先をみつめている
キャンプ場で過ごしてるいるときの表情だけが他のみんなと変わらない気がしたけれど
そんな様子は自分にも記憶があるところだ
ポーカーフェイスも操りはじめ
半分おとなの半分こどもはみている、きいている
いいこともわるいことも隣り合わせで
喜びと哀しみは繰り返し
表と裏が重なりあう世界を知っていく
あの頃の独特なみずみずしさ、危うさ、賢さ、強さ、弱さをフキを演じる鈴木唯さんのナチュラルさが等身大で渡っていく未知なる海のなか
時には一緒にもぐり感傷的に
あるいは空から覗きこみ懐古的に
大人になったわたしは
そんな半分こども半分おとなの心の前で
どんなふうに居られるかな
水からあがった気だるさを包む乾いたタオルのやさしい感触とふんわりしたまどろみの心地よさを思い出しながらいる
修正追加あり
「家族を持つ」働き盛りな父(母)は観るべき心締めつけられる家族ドラマ
がんを患い闘病中の父親と家計を担うため働く母親、そして小5の娘・フキの一夏の生活が描かれる家族ドラマ。
フキを軸に一家の生活を映し出すが、そこには治療の手立てがなく近いうち死が訪れる父親の現実が、家族3人それぞれに重くのし掛かり、いつもの日常を過ごそうとしながらも、どこか歯車が狂った不安定な日々を過ごしていく。
病を克服するため医療情報を漁り、さらに詐欺まがいな民間療法にも手を出す父親。
いずれ迎える夫の死を見据えて、一人で娘を育てる現実に、恐れながらも向き合おうとする母親。
そして、死の概念すらまだ理解しづらい子供にも関わらず、「父親の進行中の死」に直面しているフキ。
フキはその現実を受け入れられず、理解不能状態のまま、一見穏やかに日常を過ごすが、その内面は静かに乱れていく。本来、救ってくれるべき父親、母親も彼女と同じように、「死」を受け入れられていないから……。
家族と過ごすフキの「感情を抑制した表情」と、学校の級友と過ごすフキの「天真爛漫な表情」の対比は、幼いからこそ感情の発露が不連続である様が、とても切なく胸が苦しくなった。
さらに終盤、元気だった頃の父親と過ごすフキの表情は、とても明るく朗らかだったのが映し出されると、もう心が締め付けられて痛い痛い。
全編に渡って物哀しく心が締め付けられる、心痛極まりない作品でしたが、それは一重に「がん」によって家族が欠けてしまうことの悲痛さを物語っているとも言える。
観るものは自分ごとと感じて、がん検診を受けて早期発見、早期治療を心がけたい。本心。
美しい画角、陰鬱とした雰囲気
好奇心に満ちた子供視点の大人の世界の陰鬱さを描いている作品。案外気付く子は気付くし見てるし聞いているし、簡単に一線なんていつでも越えられる。
作中にずっと漂う淡い陰鬱さと何かが起こってもおかしくないぼんやりとした物々しさが時折、下手なホラーよりもよっぽど怖かった。
子供の好奇心とは恐ろしいものである。けれども自分の幼少期を顧みてみると、実家の親戚の集まりでは、確かに寝静まった後大人たちが話す会話が気になったりしたものだったし、成長してみると親戚の叔母さんからしたらあの時の自分の言動なんて溜まったもんじゃなかっただろうな、などとの回想をすることが難くはない。
しかし映像で観ると余りにもグロテスクでなんだか虚しくなった。腹の裏にどす黒いものを抱えた大人たちの情けない姿、あまりに虚しすぎる。だけども、決して大人の世界も悪いことばっかりじゃ無いんだけどな。
物語性を求めすぎかもしれないが、もう少し何らかの救いよう、落とし所があって欲しかった。
まあ、それはフキが成長しながらいずれ知っていくということだろうか。
印象派の画家ルノワールの名がタイトルに使われている。作中で出てくる代表的な肖像画「イレーヌ」。美しき絵画であるが、このモデルとなった家族も本人もこの作品を気に入らず、往年彼女の手元に来るも競売に掛けたという皮肉なエピソードが過る。あんなに美しい絵なのに、切ない。皮肉オブ皮肉。この世は皮肉だらけだよ。
画角や写し方は好みだった。光と影の使い方が美しく、少女フキの朴訥とした雰囲気と相まって記憶に残る絵が多く、印象的だった。
携帯電話がなかった時代
壊れ切った家族像
出てくるキャラが、全員コミニュケーション能力が「壊れている」上に、根底が邪悪。
主役の小学生の女の子は歪みきった承認欲求に支配され、「もし自分が死んだら」「死んだ私の身体を見て欲しい」しか考えておらず、しかも時はオカルトブームで超能力や新興宗教に抵抗なく受け入れ、伝言ダイヤルにハマり、そこで知り合った犯す気満々のペド大学生と無警戒に遊びに行く……
キャリアウーマンだが、仕事が出来ない人間の気持ちが分からずナチュラルにパワハラする母親。
末期癌で、知識欲に偏りすぎて、未承認の薬を試したいと医者に詰め寄りすぎて、医者から疎まれる父親。
ここまで壊れ切った家族像は初めてで、むしろドン引きした。
瞬間瞬間の画(え)はすごかったが、これ映画として楽しいのかな?という疑問が拭えなかった。
いろいろ詰め込みすぎ
石田ひかりさんとリリーフランキーさんの個性が強すぎて肝心のフキさんに感情移入できなかった。そしてとことん無神経なフキさんが好きになれませんでした。
美しいシーンがたくさんあったけど、もう少しシンプルでも良かった気がします。
ポスターの写真がこの場面なのかいっ⁈と
ずっこけました。
フキちゃん危機一髪
フキちゃんとは鈴木唯さんという11歳の子役が演じるこの映画のヒロイン。リリーフランキーさん扮する末期ガンの父、石田ひかりさん扮する今で言うパワハラで「研修」を命じられた母とのひと夏の物語。
最近自分の観る映画は「壊れていく女子」を鑑賞することが多いが(悪趣味)この映画も正にそれ。(母娘ともども)フキちゃんとお母さんとお父さんのエピソードが時系列プラス、フキちゃんの妄想?が展開していく。
鑑賞者によってどのエピソードが刺さったかは違いがあると思いますが私は二つ挙げておきます。
一つ目はやはり坂東龍汰さん扮する薫とフキちゃんとのエピソードです。監督さんはギリギリのところを攻めていますね。本当に危機一髪、壊れていくどころか物理的に壊されてしまう(笑)私はこの時代、小学校高学年の担任でしたが、タイムスリップして夏休み前にこの場面を見せたい(勿論反面教師として)
もうひとつは夏休みが明けてからフキちゃんが通っている英語塾の外国人女性の先生とのやりとりです。フキちゃんが先生の質問に答えると先生は大粒の涙を流します。ネタバレになるのでこれ以上はいいませんが、この先生の感性こそ「まともな」「普通」の感性だと私は思うのでフキちゃんがその方向に成長して欲しいと思いました。
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