劇場公開日 2025年5月9日

「彼女が観たもの、感じたことを追体験する」リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0彼女が観たもの、感じたことを追体験する

2025年5月14日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

ミラーという人物について伝記的、網羅的に描くという選択肢もあったはず。だが、企画を長年、大切に温めてきたケイト・ウィンスレットら製作陣は、ミラーが多くの芸術家たちを魅了したモデル時代を潔く切り捨て、その後、戦場写真家となって直面する言い知れぬ試練や心の動きにこそ肉薄する。意を決して乗り込んだ戦場で、彼女はどう駆け巡り、何を感じ、何を見たのか。それは同時に、我々が未曾有の世界大戦を「女性の視点」で目撃する、貴重な映像体験をもたらしてくれる。何より役柄に魂を注いだウィンスレットの「この人物について世界に伝えねば」という使命感が伝わるし、主人公が降伏後のドイツへ踏み入ってからの光景には息を呑むばかり。そこで撮影される歴史的な一枚。ミラーが何を思い、どんな意図があったのかをセリフではなく、ただ我々に”衝動”として突きつける。観賞後、彼女についてより深く知りたくなる、大きなきっかけをもたらす作品だ。

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牛津厚信
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