「シュルレアリスム」リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界 SING SINGさんの映画レビュー(感想・評価)
シュルレアリスム
リー・ミラーもポスターの写真も全く知らずに鑑賞しました。
この写真はまさにシュルレアリスム。リーはマン・レイの弟子かつ愛人でしたし、夫のローランドもシュルレアリスムの芸術家。他にも彼女の周りにはシュルレアリストが多数。
また、ファッションモデルや父のアマチュアヌード写真のモデルの経験もあり、あの異常な時・異常な空間で血が騒いだのだと解釈しています。
英語版Wikipediaによると、この写真を撮影した後、ヒトラーのベッドで眠り、妻のベッドでも写真を撮ったとあります。その感覚、とても異常かもしれないけれど理解できます。
怯える女の子へのリーの態度が印象的でした。街中でレイプされかけた女性を助けた時もそうですし、リーの行動は一貫していました。
その後は戦争や強制収容所を目の当たりにした経験から深刻なPTSDに苦しんだとのこと。幼少期のレイプについても長い間秘密にしなければならず、子供には戦時中の経験を語らなかったことから恐らく長く1人で抱えていたものと思います。映画の初めの自由奔放なイメージとは少し違った印象を受けました。緊迫した状況で薬やタバコに頼るあたりに弱さも垣間見えました。
「写真が世に出なければ意味がない」というリーにももちろん共感しましたが、個人的には、オードリーのジレンマに思いを巡らせました。オードリーも組織の制限がある中で、できる限りのことはしたと思います。アメリカ版とはいえ、雑誌に掲載されたことは大きな意味があります。ファッション誌のVOGUEというのも異例です。
息子のアンソニーはリーの死後に写真を発見するまでは、母からの愛情を感じられず複雑な母子関係だったとのこと。リーの残した写真のおかげで真実を知ることとなり、母を理解できたのは良かったです。
「タイタニック」の美しいケイト・ウィンスレットも良かったけれど、「愛を読む人」や今作も見ごたえのある演技で好きです。他の方のコメントにあるような「戦時中にあの体型…」というツッコミも理解できます。
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