「リリーの瞳から見る世界の残酷さ」リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界 AZUさんの映画レビュー(感想・評価)
リリーの瞳から見る世界の残酷さ
見えない傷をつけられた彼女、彼らはこれからどうやって前に進んでいけばいいのか。
サブタイトルの通り、リリーを通して見た世界から、人間の残酷さや非道さが否応なく突きつけられた。彼女が気付き、写しだす世界の多くは搾取され傷つけられた弱者たち。特に女性や子供が多いのが印象的だった。
最初は彼女の行動を見て、なんて正義感溢れる強い女性なんだろうと思ったけれど、見ていくうちに、ただの正義感や使命感での行動ではないんだろうなと感じられた。きっと彼女自身も搾取されてきた側で、前に進みたかったんだと気づいた。
よく実在の人物を描いた作品だと、生まれから晩年まで描いている作品が多いけれど、この作品では意図してリリーのモデル時代や、戦後は描かず、彼女が従軍記者兼写真家をしていた次期のみに焦点を当てて描かれている。個人的には焦点を絞ったからこそ、彼女が伝えたかった想いを感じ取りやすく、始終心打たれた。
ひとつネガティブな意見を言うとしたら、レビューでもちらほら見かけたが、リリーを演じたケイト・ウェンスレットの体型について。
確かに実在のリリーを見たらもう少し細身だし、従軍記者にはリアリティに欠ける体型に思えた。華やかなモデル時代と切り離して見てもらえるように、という意図とかがあったのかもしれないけれど、もう少し絞った方が作品のノイズにならなかったように思う。
ただ、魂がこもったケイト・ウェンスレットの演技は本当に素晴らしかった!!!!まさに熱演だった。
個人的には大満足な作品で、ホロコースト・戦争映画として見応えがあったし、女性としての生き方としても考えさせられた。
多くの方にオススメしたい作品。
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