「karateではなく空手」ベスト・キッド レジェンズ 蛇足軒妖瀬布さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0karateではなく空手

2025年8月30日
iPhoneアプリから投稿

近年の大作映画は、
クライマックスの後にも、さらに波乱を重ね、
余韻よりも情報量で観客を圧倒する傾向にある。

だが本作は、あえてその流れに逆らうかのように、
核心となる〈気配〉だけを残して潔く幕を下ろす。

その終わり方には、シリーズを通じて確立された世界観と、
登場人物(本作で出番は無かった人含)への揺るぎない信頼感がにじむ。

いわば、これは王道物語が見せる〈横綱相撲〉の構えだ。

〈気配〉を匂わせながらも、
今作単体としての物語の円環を美しく完結させている。

物語の中盤、ジャッキー・チェンはこう語る。

「リーには、ニューヨークの〈karate〉を習わせたくない。

〈ミヤギ空手〉を学ばせたい」と。

その一言は、単なる流派の違いを超えた、
カンフーと空手と武道観と人間形成の哲学の対比を浮かび上がらせる。

このセリフに込められた想いと、
物語を通して醸成された〈気配〉だけで、
満足を得る観客も少なくないだろう。

激しいアクションや過剰な感情表現に頼らず、
静かな情熱と信念で勝負する。

それはまさに、
〈空手に先手なし〉
ミヤギ先生の、型を貫く者たちの美学そのものだ。

蛇足軒妖瀬布
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