「シリーズのファン、ジャッキー・チェンのファン、それぞれに感慨を深くする作品」ベスト・キッド レジェンズ kazzさんの映画レビュー(感想・評価)
シリーズのファン、ジャッキー・チェンのファン、それぞれに感慨を深くする作品
やはり客席の年齢層は高かった気がする。(田舎だからか?)
主人公リー・フォン役のベン・ウォンはオーディションで選ばれたとのことだが、身体能力が評価の要素にあったことは間違いない。格闘シーンでは特殊効果が少なくなかったが、それでも彼の瞬発力や体幹の良さは分かった。
ジャッキー・チェンのスタントチームも撮影には参加していたようで、路地裏で三人の悪漢と格闘するシーンには多分にジャッキー要素が込められていると感じた。
物語は完全に予定調和なのだが、この映画はそうでなければならないのだ。
リーと草刈民代ともミシェル・ヨーとも似た母親は、北京からニューヨークに移り住む。主人公が母親との二人家族で、母親の仕事の都合で知人・縁者のいない地に引っ越してくる設定は、シリーズの第一作を踏襲している。
リーが北京では伯父(?)であるハン師匠(ジャッキー・チェン)のカンフー道場で修業をしていたので、格闘技の素養がある点が第一作のダニエル(ラルフ・マッチオ)とは違っている。
意外だったのは、リーが元ボクサーだというガールフレンドのパパをコーチするところだ。異色のトレーニングがシリーズの面白ポイントでもあるので、主人公が教える立場になってそれを見せるというのもいいアイデアだった。
それにしても、パパが出たあのボクシングの試合は何だったのだろう。アスレチック・コミッショナーが認可した試合だとは思えないが、堂々と開催しているようにも見えた。
コンセプトは、ハン師匠=ジャッキー・チェンとダニエル=ラルフ・マッチオが協力して新しいカラテ・キッドを育て、ヤンチャな空手小僧をやっつけさせるいうものだ。
だが、トーナメントへの出場を決める過程や、ダニエルがいったん断ったのにニューヨークにやって来た理由は、本来なら物語の転換点として重要なところなのに、そうなるのが当たり前と言わんばかりに、説得力も何もなく唐突だ。
その一方で、ミヤギ空手にはカンフーのDNAもあったという、チャチャッと辻褄合わせをやってのけ、それを2人がコーチすることで起きる可笑しな掛け合いに繋げるあたりは上手い。
トーナメントが始まると、結果は分かっていても胸熱だ。
悪党が陳腐なのが玉にキズだが、ジャッキーとラルフに実戦での見せ場が用意されていたのも良かった。
ガールフレンドとのちょっとしたイザコザもあり、母親との確執と和解もあり、ハートウォーミング要素が織り込まれた格闘コメディというジャッキーのカンフー映画のコンセプトにも合致している。
『ピンク・パンサー』シリーズのケイトーとクルーゾーを彷彿させる室内のバトルがあったり、空手トーナメントで『バトルクリーク・ブロー』を思い出させたり、オールドファンなりの楽しみ方ができた。
本作がシリーズとして続くのかどうかは知らないが、リーには、ダニエルのように一作ごとに彼女を変える軟派な男にはなってほしくない。
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