青春 苦のレビュー・感想・評価
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資本主義の矛盾が露呈する共産主義国家
「フレデリック・ワイズマンと王兵(ワン・ビン)の映画は全て観る」が我が家訓なので迷うことなく今回も映画館へ。3時間半の長編(と言ってもワンビン映画では普通ですが)だった前作の「青春」に続きがあるとは思いませんでした。今回も、中国の縫製工場で働くミシン工の若者の群像ドキュメンタリーで、やはり3時間半です。
工業用ミシンを操って手早く次々と上着やズボンを縫い上げながら、彼らの話題の殆どは賃金に関する事です。工員同士、或いは社長との交渉で、あからさまに交わされるお金の議論をこんなに自然にカメラに収められる事にいつもながら驚きます。カメラなど意識しないかの様に0.5元(10円)単位の単価の話が大声で語られます。多くが農村出身の彼らは休みも殆どなく一日中ミシンと向き合うのです。
しかし、社長は給料を払わず夜逃げし、アパートからは突然立ち退きを迫られる事になります。一体このどこが共産主義なのでしょう。矛盾が露呈した資本主義に首まで浸かってるいるのでした。
ワン・ビンが提示する圧倒的に貧しい社会
ドキュメンタリー映画の最高峰、ワン・ビンの新作は昨年公開の「春(215分)」に続く「青春」3部作の第2部「苦(226分)」。
中国🇨🇳の巨大経済地域、長江デルタにある子供服の街・織里(しょくり)に星の数ほど在る小さな縫製工場を舞台に、地方の貧しい農村から出稼ぎに来た若者たちの日常を記録した。
過酷な労働。
余りにも安い単価で稼ぐに稼げない。
単価交渉をするも社長のペースで埒があかない。
経営とて苦しい。
賃金の支払いに苦慮する。
社長が夜逃げした工場もあった。
春節を祝うために故郷に帰る人々。
そこにはさらに貧しい社会があった。
ここに在るのはもうひとつの中国🇨🇳。この作品が中国🇨🇳で上映されることはない。中国人の大半は彼らの存在を知ることがない。
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