秋が来るときのレビュー・感想・評価
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心のひだに潜む影の存在への気づき
主人公のミッシェル(エレーヌ・バンサン)がパリで仕事をしていた時代からのい友人マリー=クロード(ジョジアーヌ・バラスコ)と二人で語り合いながらブルゴーニュの紅葉の森の中をキノコ採りに歩く情景は、人生の実りの秋(とき)が感じられて美しい。司教が語る
物語の冒頭、主人公ミシェルが教会の礼拝で祭司が語るナルドの香油を惜しげもなくイエス・キリストに塗る説教に耳を傾けているシークエンスが描かれている。しばらく観ていて、なぜこの礼拝のシークエンスが挿入されているのか分からなかったが、物語の終わりに近づき気づかされた。ミッシェルが語らずに守り続けた秘密と、家族との和解と赦しにつながる、見応えのあるサルペンス要素をもったドラマでした。
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落ち葉は葛藤を覆い隠す
関係が良好とは言えない母ミシェルと娘が久々に再会するも、ミシェルが作ったキノコ料理を食べた娘が病院に担ぎ込まれた事で生じる疑念を発端に、ミシェルの親友とその息子が絡み…
人の為に行う善意は、必ずしも善き事になるのか?他方から見れば有難迷惑でしかないのか?…そんな倫理的葛藤が描かれるわけだが、これがなかなか深い。秋という設定にしたのは、大量の落ち葉がそうした葛藤を覆い隠すというメタファーに感じた。
葛藤の末に導かれる「嘘」と「選択」。それは自分勝手と捉えられるかもしれないが、平穏に生きていきたい、もしくは安らかに終活を迎えたいという人の真理なのかもしれない。
日本公開は初夏だけど、物語設定と同じ秋シーズンに観るとよりまた染みるかも。
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