「守りたいものがあるから、人は“秘密“を抱えて逞しく生きていく」秋が来るとき ヘマさんの映画レビュー(感想・評価)
守りたいものがあるから、人は“秘密“を抱えて逞しく生きていく
老女・ミッシェル、彼女の親友・マリ=クロード、その息子でムショ帰りのヴァンサン、そしてミッシェルの娘(名前失念)と息子でありミッシェルの孫・ルカ。5人が織りなす哀愁漂いまくりの人生ドラマ。
フランスの田舎風景の中、親友・マリとキノコ狩りをしながら、休暇にやってくる孫・ルカとのひと時を楽しみにする老女・ミッシェル。
しかし自分の娘との日頃からの折り合いの悪さに加え、良かれと思っての採れたてキノコ料理のトラブルから、娘はルカを連れて、訪れた当日早々にパリへトンボ帰り。うーん、このあたりの実家帰省でありがちな、親子間の諍いは身につまされて心が痛い。人の振り見て我が振り直したくなりました。
そしてムショ帰りのヴァンサンが登場してから、物語はヒタヒタと何かしら不穏な空気を纏っていくが、このヒタヒタ感が絶妙。何かしでかしそうなヴァンサンの妖しさと、心根は優しそうなのが不安を抱かせるのよね。
やがて、とある出来事が起こり物語は転換点を迎えていく。登場人物の各々が、慎ましくも幸福な人生を歩みたい歩ませたいが故に、一連の出来事についての"秘密"を抱えながら、脆く儚い幸福たるものを壊さないよう繕っていくのだ。
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