劇場公開日 2025年5月30日

「現代社会の根深い問題を笑いを通してあぶり出す力作」犬の裁判 さとうきびさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0現代社会の根深い問題を笑いを通してあぶり出す力作

2025年6月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

悲しい

カワイイ

どうかなぁ~と思いながら観た、フランスの社会派コメディ
すごく良かったです。

基本は法廷ものです。
人に噛みついた犬に情状酌量の余地があるかどうかを法廷で争うのですが、欧米の法廷劇、私は意外と好きです。
日本の法廷物って原告、被告双方の代理人が感情に訴えようとするイメージがあるのですが、欧米の法廷劇の論戦は非常に論理的です。厳密にその行為の法解釈を争うロジカルな部分が魅力です。

本作は、その犬の「犯罪」に絡めて都会人の自然感、身勝手な動物との関わり方、ジェンダーギャップ、格差社会、移民問題などについて問題提起がなされ
DVに苦しむ隣人の少年や、政界への進出を目論んで世論を利用しようとする原告側弁護士など、現代的な風潮が盛り込まれ
コメディとはいえ、十分見ごたえのある内容でした。

主要な登場人物が皆、弁が立つこと立つこと。
法廷以外でも様々な舌戦が繰り広げられ、その見事さに話し下手な私としては感嘆の念しかありませんでした。
怒鳴り合いみたいな状況でも意外と理路整然としているところは文化の違いだなぁと思います。

犬を被告とした法廷劇。
現代社会の根深い問題を笑いを通してあぶり出す力作でした。

さとうきび
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