犬の裁判のレビュー・感想・評価
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Adaptation
実話に基づいた犬の裁判というところに興味を惹かれましたがとんでもない地雷でした。
犬の裁判というのがメインテーマのはずなのに、フェミニズムの問題提起をメインにすり替えていくのでとんでもない嫌悪感が生まれてしまい、今年観た映画の中では初めて途中退席しようか悩んだくらいには不快でした。
製作陣のやりたい事が実話ベースというのを霞ませる勢いでやってしまっているのでそれはそれは大変でした。
強い女性・弱い女性というのがたくさん出てくるんですが、誰も彼も共感できないような変なのばっかり出てきますし、男たちの扱いもなんだか物のような感じでしか出ておらず、それに加えて女性の社会進出やら暴動やらを盛り込みまくるので訳が分からなくなります。
主題そっちのけからのネットミーム制作をしたりするのでこれが本当に面白いと思っているのか?と首を傾げてしまいました。
法廷シーンはもっと緊張感があるべき、ただリアルにやると盛り上がりが欠けるので「意義あり!」くらいなら脚色もありだよなと思いましたが、ただただヒステリックに叫んでギャーギャー言って大暴れしての連続だったので品の無い脚色だなと思いました。
犬がつけてしまった傷が日常生活にとんでもない影響を与えており、それによって色んな考えが巡るとかなら全然良いのに、被害者女性の顔を見せびらかしてこれでもか!と言い張る女性活動家だったりは完全にノイズになっておりもう気色悪かったです。
着地点はしっかり実話なんだと思いますし、残酷だけどそういう話もあったんだな…と納得はいきましたが、その後の人間たちの動向はどうしてもいただけませんでした。
主人公はなぜか活動家になっていたり、被害者はなぜか犬を飼っていたりと、実話ならまだしもなぜそんなオチに持っていった?という疑問が拭えずモヤモヤしたままエンドロールに突入していきました。
あと下ネタが盛りだくさんではあるんですがそれが全然面白くならないし、不快さに拍車をかけまくるばかりでどぎつかったです。
おそらく実話にそんなのは無かっただろうという性行為が挟まれ、それが別にストーリー的には不必要だったりとでマジでこれはなんだ?と疑問を呈さずにはいられなかったです。
今作の良いところはワンコのコディの名演くらいだったと思います。
あんなにワーワー言いまくる人間の周りで目で訴えかけてくる演技をしてくれたコディには感謝しかないです。
コディだけ歩こうぜレッドカーペット。
鑑賞日 6/5
鑑賞時間 18:55〜20:20
現代社会の根深い問題を笑いを通してあぶり出す力作
どうかなぁ~と思いながら観た、フランスの社会派コメディ
すごく良かったです。
基本は法廷ものです。
人に噛みついた犬に情状酌量の余地があるかどうかを法廷で争うのですが、欧米の法廷劇、私は意外と好きです。
日本の法廷物って原告、被告双方の代理人が感情に訴えようとするイメージがあるのですが、欧米の法廷劇の論戦は非常に論理的です。厳密にその行為の法解釈を争うロジカルな部分が魅力です。
本作は、その犬の「犯罪」に絡めて都会人の自然感、身勝手な動物との関わり方、ジェンダーギャップ、格差社会、移民問題などについて問題提起がなされ
DVに苦しむ隣人の少年や、政界への進出を目論んで世論を利用しようとする原告側弁護士など、現代的な風潮が盛り込まれ
コメディとはいえ、十分見ごたえのある内容でした。
主要な登場人物が皆、弁が立つこと立つこと。
法廷以外でも様々な舌戦が繰り広げられ、その見事さに話し下手な私としては感嘆の念しかありませんでした。
怒鳴り合いみたいな状況でも意外と理路整然としているところは文化の違いだなぁと思います。
犬を被告とした法廷劇。
現代社会の根深い問題を笑いを通してあぶり出す力作でした。
なんだかな
日本人とフランス人の感じ方が違うのかなあ。
ワンちゃん映画だから楽しみにして観たけど、結局処分されちゃうし、裁判の内容もひねりがあるとはとても思えないし、なんなら終盤の主人公と犬の専門家のベッドシーンは必要だったのか謎です。ワンちゃん映画は邦画の方が泣けて良いなあ。
最後の最後に
ただのお馬鹿コメディにしない幕引きがかっこいい。
法律は本来人々を不正義から守るための規範であるが、人間の営みの全てをカバーできる訳では無いので、その盲点がしばしば弱者にとって冷酷な判断を生んでしまう。しかしそこで情に溺れて犬を生かしてしまうと、「法治」の根幹が揺らぐ。
法曹人の苦悩とスローガンを連呼してるデモのアホらしさのコントラストが見事。
なに言ってるんだか、訳わからない
スイスで実際にあった出来事を物語にしたとか。 犬が人の顔を嚙んだと...
前提にある知識を知らないと理解に詰まるか
今年138本目(合計1,679本目/今月(2025年6月度)1本目)。
実話をもとにはしているのですが、そのことはかなり前の話だし、法律的な話がちらちらっと出てくるのが厳しいかなといったところです。
中世ヨーロッパ以降、この映画のように動物を裁判にかけるということは実際に行われており、これを「動物裁判」といいます。その中でも牛や馬、犬、オオカミなど一般的に「動物」とされるものが裁判所(とはいえ、三権分立もまだ発達していなかったので、ここでは国王直属の裁判所といったほうが良い)、ネズミや蜂、ハエなどの「小動物」は教会(カトリック教会)における教会法(カノン法)に基づく裁判所と分けられていました。
このことはヨーロッパでは当たり前に行われており、一見すると動物にも人権と同じ考え方を与えていたように思えますが、疫病が絶えなかった中世ヨーロッパ以降では疫病をもたらす動物は畏怖の対象であり(科学・医学というものが発展するのはルネサンス以降)、さらには「山火事の原因」として「山」まで訴えられるというヘンテコな裁判も当時はありました。
映画で述べる「事実に基づく」というのはこの意味で、またこのような裁判は科学の未発達から生じた「自然への畏怖」が元になって実際に行われていた事情から、「自分たちと異なるものを遠ざける」という(こうした一見「真面目な」裁判とは裏腹に)考え方は、それこそ魔女狩りや、近代以降だとユダヤ人迫害、あるいは現在でも女性差別ほか色々なところにあらわれてきます。映画内では中世で実際に行われていた動物裁判と、現在でもやはりのこる女性差別や移民差別(映画内では、ポルトガル移民の話がちらっと出てくる)等と絡めて描かれています。
なお、映画内では字幕にふりがながないのでわかりにくいですが、「物」は(現在の裁判制度でいうところの)「ぶつ」です(「もの」とは読まない)。また、そもそも論でいえば、本映画でいう裁判は日本の分類でいえば刑事裁判にあたりますが、処分が予定されている犬に対する取消しを求める取消訴訟を選択する裁判(行政事件訴訟法)とも解することは可能です(後者の立場からは描かれていない。ただ、そのような解釈も資格持ちは可能)。
全般的にこのような事情(中世における動物裁判の歴史や、それがもたらした弊害)を知らないと、女性差別や移民差別といった問題に飛ぶ理由がわからず、そこで多くの方がつまづくのではないかな…といったところです。気軽に見られる映画と思いきや実はそこそこの知識を要求する点で厳しいといったところです。
採点に関しては以下まで考慮しています。
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(減点0.2/「物」のフリガナがない点について)
この点は本映画は実質的に法律ネタ映画であることまで考えると、民法、民事訴訟法(刑事訴訟法)にいう「物」は「ぶつ」としか読みませんので、その誘導はいるのではないか…というところです(このあたりは資格持ちは気にするところ)。
(減点0.5/上記のような歴史事情がないと何を述べたいのかわからなくなる)
実際はこちらのほうが大きく、中世ヨーロッパ以降に実際に行われた動物裁判に関する知識がないと、このような珍妙な展開になることの理解が難しく、ネタ映画なのかという状態になるので注意です。
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(減点なし/参考/日本の場合)
日本では、民法718条が適用されます(刑法は人に対してしか適用できません)。
※ 刑法1条
この法律は、日本国内において罪を犯したすべての者に適用する。
(民法718条) ※ 2項省略。
動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない。
※ よって、占有者(飼い主)が責任を負うのであって、動物が責任を負うことは民法上ありえないし、人を裁くことしか想定されていない刑法も発動しないので、日本ではこのような展開にはなりません。ただ、中世ヨーロッパ以降で行われていた「動物裁判」は、日本を含む東アジアでも、日本の江戸時代や、李氏朝鮮などでも数は少ないながらも歴史は存在します(日本、韓国(ここでは便宜上使う語)とも、日本でいう明治維新後はこのようなことは行われなくなりました)。
パロディだと思っていたのに!
人間に噛みついた犬が安楽死させられる危機に陥り、飼い主から安楽死させられないように弁護を頼まれたポンコツ弁護士の奮闘物語。
まぁ、犬が被告になり裁判官の質問にポタンで回答するなど笑いを取りたいと云う意図は分かるけど、チョット無理な設定ですね。
結局、犬は安楽死(犬にとっては死刑)、飼い主には賠償責任と云うオチで笑えず!
ケッサク、そして傑作。
映画の舞台はスイスだが、
フランスの小さな町の出来事に基づいているという。
被告となった主人公ならぬ主犬公は、雑種の「コスモス」。
苗字なし、8歳、無職、男性。
演じたコディは、その表情豊かな演技で、ベネチア映画祭の
「パルム・ドール(最高賞)」ならぬ「パルム・ドッグ」を受賞。
初めから、次々笑わせにくる。
そして、ちゃんと次々笑える。
どうして犬が被告になったのか、というと、
「人を3回噛んだ犬は安楽死」という法律を回避するためには、
犬が飼い主の「所有物」ではない、と主張せざるを得ない、と考えた
敗訴してばかりの弁護士アヴリル(レティシア・ドッシュ。監督も)の作戦が
誤算で招いた結果だったんである。
(それを判事に認めさせようとする場面も、笑笑…)
他方、アヴリルの住む高層マンションの隣室には、
12歳の少年が両親と住んでいるんだが、
彼は親から虐待を受けていて、
どうやらアヴリルはそれを何とかしようとして逆に「接近禁止」命令を受けているらしい、
という状況もあり。
(ちなみにこの少年がまた、いい味出してる)
さらには、原告側の弁護人が、
政界進出して右翼政党を立ち上げ、
ポピュリズム街道邁進中の女性だったり。
現代のさまざまな問題もからめて
物語は進むんだけれど
――この後は、ネタバレなしには語れませぬが、結論を言えば、
「自然界における人間という存在」について
深い洞察と大きな啓示が与えられる傑作でありました。
そしてコスモス(コディ)が、
こよなく可愛かったのでありました。
所詮─
ワンコ可愛い、でも困った
かわいらしいポスターに惹かれて、いそいそと劇場へ。こちとら犬猫の出てくる映画には目がない、の、ですが、宣伝ではコメディとあったけどなんか笑えない…見てて困ってきてしまいました。
実話がベースということで、ほんとの話ならまぁしかたないと思いつつ、人間のジェンダー問題を犬にまで広げるのはどうなの、とか唐突なエロ展開いらん、とか要は乗れませんでした。乗れないコメディほど見てて辛いもんは無い。
ワンコの可愛さが救いでひたすらワンコを見つめてて、それも結局ラストの辛さを増幅することに。
「コメディですよ」と書いてあるハシゴをどんどん(首ひねりながらも)登ってったら最後にガッとハシゴ外された感じ。動物愛護(あえてぼかす)はそりゃ問題だらけですよ、だらけですが、その問題提起したいのならこういう映画じゃなくてよかったんじゃないかなぁ…
パルム・ドッグ賞受賞のワンコ以外の好きなところを探すのが難しい作品でした。
あと、人間以外の動物の性差についてですが、犬も猫も発情期があるのは年に数回、数日で、それ以外の期間は言ってみれば中性に近いのです。オス・メスで、ある程度気質の違いはあるけど、人間的な男っぽさ、女っけで考えちゃうとかなり違う。年中発情期で色恋沙汰やってる人間とは違うのです。
オオカミの群れはリーダーがメスなこともよくあるし、なんか色々引っかかりました。
ラストでギョエーとなったのを人と語りたい、でも「見てね」とは言いにくい困った作品でした。
の~ワンだほ~。
負け犬弁護士のアヴリルが犬の弁護をする話。
3人の人間に噛み付くと安楽死というスイスの法の元、3人の人間に噛み付いてしまった愛犬コスモスを安楽死させたくない飼い主、前代未聞の犬裁判が始まる。(実話に着想)
ユーモアな下トークで始まる冒頭からちょっと笑わされ、裁判始まり3人の原告から話を聞いてみれば、コスモスの食事中に触ろうとして噛み付かれた、…うん!そうなるよね!と脳内ツッコミ!
本作レビューを書く前にスイスの犬法律を調べたら結構キビしいんですね!この話がいつ頃の話か分からないけれど、犬を守れ側vsそんな犬は安楽死と考える人達、この犬を巡って街中がこんな事になる!?って思いながらもコメディタッチで観れた本作楽しめた。
コスモスのジーっと見る目が面白かった。
単なるコメディではないコメディ
実話に基づいたフランスの法廷コメディ。なんとワンコが被告人!…という事でずっと楽しみにしていたので早速映画館へ。
フランス映画好きにはたまらない、かなりオープンなセクシャルトークに顔を赤らめることもなく話しを聞き、何ならそのセンテンスを後ろの人が振り返るぐらいの声で繰り返してしまう主人公のうだつの上がらない弁護士のアヴリル。この方、レティシア•ドッシユはなんとこの映画の監督だったという!素晴らしい。
コミカルな掛け合いが多く、笑っちゃうシーンもたくさんあったが、実はこの映画、様々な考えさせるテーマが盛り込まれている。本来は野生動物なのに、ペットが野生の顔を見せると慌てる人間。ワンコのコスモスが女性を特に襲うということから、女性蔑視だと相手側に言われ、くだらないと思いつつも男女平等に接する事が出来るようにトレーニングするアヴリル。人間の身勝手さは、動物にとって気の毒でしかない。かなり重い内容ではあるが、コメディにしてる所で重すぎず助かった。コスモスが森の中で遠吠えするシーンはとても綺麗で、やはり野生の中にいる方が幸せなんじゃないかと考えさせられた。コスモスを殺傷処分にするなんてやめて〜!と思いながら観ていたが、ロレネのマスクを外した瞬間に露わになった顔の傷には複雑な心境になった。ま、それでも面白い掛け合いが続く法廷だが、コスモスを理解すべくあらゆる専門家を呼んだ裁判官には心温まる。
感想が長くなったが、コスモス演じるワンコといい、全ての役者の演技が素晴らしかった。
全く個人的ではあるが、アヴリルのアパートの色使いが素敵で、いつかあんな風にしたいなーと。引っ越した暁にはまたこの映画を観て参考にしたいと思う。
あ、あと、隣の方、遅れて入ってきて欲しくなかったなー。体避けたり荷物動かしたりして冒頭の面白い掛け合い、ちょっと見逃しました(涙)。その後も、4,5人が本編始まってからゾロゾロ入ってきて… あれ、迷惑ですよー、ホント。
今後、私が何らかの事情で遅れたら… 帰ります。
名優コディの神演技(人間目線ですが)に感謝
私は特に犬好きではないのですが、「シンプルな情熱」のレティシア・ドッシュの監督、主演なので鑑賞。
女性蔑視、障害、人種、職業差別、子供の虐待、SNS中傷、気候変動などカオス化するところは、現代の正義の多様化、リベラルの分断を意図的にあらわしていますね。やや詰め込み過ぎで疲れますが、現実もこんな感じで、うんざりしますものね。
全体的にコメディとしてはツボにハマらなかったし、ドッグトレーナーとの(フランス映画らしい)野生の絡みは不要ではと感じました。
監督が言う「人間は動物に不寛容」というのはその通りで、根底に「人間都合」があります。
パンダが見納めとなると殺到し、一方でクマが里に降りてくると即駆除。結局はパンダは政治の道具だし、クマは気候変動の犠牲者なのにね。
すみません、かく言う私も蚊やゴキブリは人間都合で即殺生してしまいますが。。
レティシアにはこれからも独創的な作品に出て、監督もしてほしいです。
これはフランスの映画です。
最初に、内容には一切触れずに、感想と、僕がこの映画をどういう目線で観たのかを書きます。
3月頃、SNSで少し話題になっていて気になっていた映画でした。
「動物は果たして“もの”なのか?」という問いが作品の中心テーマであり、実はシリアスな要素を根幹に持った映画です。ただこれは、犬好きのための“正義の映画”ではなく、もっと広く社会全体に向けた強いメッセージが感じられる作品でした。
とはいえ、映画自体にはコメディ的な表現があり、シリアスな空気感を吹き飛ばすほど、劇場内は笑いに包まれていました。
でも、それこそがこの映画の狙いなんだろうなと感じつつ、「本当は何を伝えたいんだろう?」と深読みしながら観ていると――実は、相当恐ろしい映画なのでは?と思えてきました。
この先はネタバレに踏み入りそうなので、簡潔な感想としてここで終わらせます。
楽しくも、ユーモアと笑いに満ちた映画でした。
でもね、皆さん。
この映画、“フランス”の映画ですよ。
コミカルに楽しませてくれる映画だけれど
犬の映画だけど犬の映画ではない
犬を女性の権利について置き換えてる映画。主人公である被告の弁護人は犬の権利の解放を訴える。それは犬に理解がある訓練士と関係を持つという描写があることからも明らかである。一方原告の弁護人は男性の主張を代弁してるようだった(噛まない犬もいる、噛む犬は殺せ、犬の問題を政治利用する等)。原告の女性は比較的中立な立場だが主人公に生い立ちや職業を指摘されたときにブルジョアと罵ったり解放活動してる意識高いインテリ層を揶揄してるようだった。ただ最期の場面で農場の犬と暮らしてることからも犬の敵ではないことが読み取れる。それは女性の中でも立場が分かれているということを伝えたかったのではないか。最後犬が安楽死になったとき泣いたりせずアヴリルもどこか冷静なのはこの社会に対するある種の諦めのような感じと一方で前向きに生きて行こうとする意思も読み取れた。そして森林環境と動物保護専門の弁護士になったというのも重要
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